3264アスコットIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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アスコット(3264 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:不動産業

足元の業績を考慮すると妥当な公募価格になりそうだが、もう少し先を考えると楽観視もしにくい
 08.9期業績予想ベースのEPS約290円に対して想定されている公募価格のPERは約3倍となる。08.9期見通しまでの業績をベースに考えると、最近の不動産不況も考慮された妥当な公募価格とみることができる。

 問題は09.9期以降も、08.9期見通し並みの利益水準が出せるかどうかになる。最近の不動産関連各社の状況をみていると、アスコットの場合も想定されている公募価格のPERが3倍だからと言って、必ずしも安心できるものではないとみる。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 06/9 07/9 08/3中 08/9予
売上高(百万円)
11,803
38.2%
16,310

13,435
49.6%
24,400
営業利益(百万円)
1,620
72.1%
2,788

3,062
53.1%
4,270
経常利益(百万円)
1,322
63.3%
2,159

2,677
57.0%
3,390
当期利益(百万円)
726
72.1%
1,250

1,592
50.4%
1,880
総資産(百万円)
純資産(百万円)
22,363
1,661
30,485
2,977
33,846
4,539
--
--
株主資本比率(%) 7.4% 9.8% 13.4% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
5.9%
43.7%
7.1%
42.0%
7.9%
35.1%
--
--
発行済株式数 6,537.6 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
111.1
254.1
191.2
455.4
243.5
694.3
287.6
--
配当(円/株) 11 10 -- 20

事業概要
分譲マンション開発・収益不動産開発による不動産開発事業と、ソリューション事業等
 アスコットグループは当社アスコットと連結子会社1社、持分法適用関連会社2社から構成されており、東京都内を中心に、不動産開発、ソリューション、不動産ファンド、不動産管理を主たる事業としている。

 不動産開発事業は、分譲マンション開発と収益不動産開発に区分される。分譲マンション開発では、アスコットグループブランドであるデザイナーズマンション「アスコットパーク」シリーズの企画・開発を行っている。アスコットグループでは販売部門を設置せず、販売委託会社を通して、一般顧客に分譲販売を行っている。また、物件の規模によっては、単独での事業化リスクを考慮して、共同事業方式をとり、開発用地仕入れ等にかかわる資金負担を軽減して、アスコットでは企画・開発に特化している。08年5月末時点で、販売委託会社を通じてのマンション販売総戸数は1,033戸。

 収益不動産開発では、東京都内・地方主要都市において、賃貸マンション、オフィスビルを開発し、竣工後に不動産投資ファンドや不動産投資家等に売却している。08年5月末時点で、売却した開発物件は、賃貸マンション9棟、オフィスビル5棟。また、テナント募集を行った上で収益力を高めてから売却する場合もあり、このケースでは、アスコットグループでの保有期間において、借主から賃貸料を受け取っている。

 竣工した物件には、連結子会社がプロパティマネジメント・ビルマネジメント業務を行って、資産価値の向上を図っている。

 不動産ファンド事業では、他社が組成する不動産ファンドに出資し、配当やキャピタルゲインを取得するほか、他不動産ファンドが不動産を購入する時に、対象物件の事前調査や企画開発に関するアドバイス等を行うプロジェクトマネジメント業務も受託している。

 不動産管理事業では、連結子会社が、主にアスコットが分譲したマンション等の組合管理業務や、企画開発した賃貸マンション・オフィスビル等のプロパティマネジメント業務等を行っている。08年5月末時点で、分譲マンション9棟390戸、賃貸マンション8棟312戸、商業ビル1,563坪の管理を行っている。

情報開示の状況
開示あり
 アスコットのウエブサイトでは、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。掲載されているコンテンツはマネジメントメッセージと決算公告だけだが、「会社案内」からは財務情報が閲覧可能。
収支の状況
08.9期は対前期比で+約50%の増収増益見通し
 07.9期は、不動産開発事業では、収益不動産開発へ本格的に進出を進めていることから、分譲マンション開発では2棟89戸の引渡しを完了したものの、売上高・営業利益は対前期で減少した。一方で、収益不動産開発では、賃貸マンション5棟の竣工を完了し、対前期で増収増益となった。セグメント全体でも、対前期で増収増益。

 ソリューション事業では、1物件の売却があったこと等から対前期で増収減益、不動産ファンド事業では譲渡益・分配金が増加したことで、増収増益となった。これに不動産管理事業を加えた合計では、売上高は対前期比+約38%の増収となり、営業利益以下の利益項目では、対前期比+約60-70%の増益となった。

表1 セグメント別売上高(百万円、前期比%)
                 07.9期   08.3中
 分譲マンション開発 3,383  -59.2%  1,663
 収益不動産開発  11,048 +690.3% 11,033
不動産開発  小計 14,432  +48.9% 12,696
ソリューション      787  -60.0%   703
不動産ファンド      999  +908.4%   --
不動産管理        91  +108.1%   34
合計           16,309  +38.2% 13,434

 08.9期の業績予想では、不動産開発事業で、共同事業を含めて2棟の分譲マンションの引渡しを予定、収益不動産開発ではレジデンス5棟、オフィスビル5棟の売却を予定しており、同事業では、対前期比+約61%の増収の見通し。ソリューション事業では、自社保有の1物件の売却とアスコット保有物件からの賃貸料の収受を予定し、対前期比+約20%の増益の見通し。他のセグメントを含めて、売上高全体では、対前期比+約49%の増収の見通しとなっている。

 営業費用では、事業拡大に伴う人員増による人件費の増加や、不動産開発事業にかかわる広告宣伝費の増加、内部統制システムの構築による支払い報酬の増加などが見込まれているものの、販売費・一般管理費全体では、対前期比+約15%に留まる見通し。

 以上から、営業利益では、対前期比+約53%の増益となる見通しとなっており、経常利益・投機利益でも、同様の傾向の見通しになっている。

株式の状況
株式需給に対する大きな問題点は見当たらない
 ストックオプションの未行使残高はあるものの、行使された場合の希薄化は大きいものではない。既存株主に対するロックアップもあるので、当面の株式需給には大きな問題はないと見られる。

A. 発行済み株式数 5,405千株(単元100株、07.3に1:3、07.9に1:2、08.3に1:100株式分割後)
B. 公募 1,000千株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 210千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント 180千株
D. ストックオプション等の残高総数 162,600株
 E. うち潜在株式に算入する数 132,600株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 6,537,600株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株
既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者等13名と1法人に対して180日間。対象株数は4,930千株。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
05年9月 71,400株   90円 07年8月〜15年8月
06年8月 61,200株  500円 08年9月〜16年8月
07年9月 30,000株 1,000円 09年6月〜17年6月

 目論見書での想定発行価格は850円で、この価格に基く公募によるアスコットの手取り概算額は約829百万円とされている。資金使途は、全額を不動産開発事業とソリューション事業における事業拡大のための開発用地仕入れ等の事業資金に充当する予定。



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