IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
メディサイエンスプラニング(2182 大証ヘラクレス)IPO |
条件的には特に悪いところが見当たらない銘柄 足元の業績の伸びは目覚しいものがある。メディサイエンスプラニングの足元の成長性を考慮すると、08.8期業績予想ベースのEPSに対してPER約10倍で想定されている公募価格には、割安感がある。 マーケットの冷え込みが続いているとはいえ、想定されている公募価格にも妥当性があり、株式需給にも問題点が見られないことを考慮すると、初値から大きく公募価格を割り込む展開は考えにくい。 個別データ(肩は対前期比(%))
メディサイエンスプラニングでは、製薬会社等との契約によって、臨床試験等の管理・運営に関する様々な専門的サービスを提供するCRO(医薬品開発業務受託機関)を行っている。製薬会社等にとっては、臨床試験に係わる業務をCROに委託することで、開発コストの変動費化を実現し、また、CROが持つノウハウを活用することで、効率的に臨床試験を実施することが可能となる。 メディサイエンスプラニングのCROサービス業務は、モニタリング業務と、データマネジメント業務、ファーマコヴィジランス業務、その他業務(メディカルライティング業務、コンサルティング業務、CSO業務)等に区分されている。 なお、CSO業務は、医療機関に対する医薬品・医療機器等の営業活動やマーケティング業務等を受託して行う業務を指す。一般的にこれらの業務は製薬会社のMR(医薬情報担当者)が行う業務だが、CSOは独自にMRを採用し、製薬会社等からの依頼に応じてMRの特定派遣・委受託契約による業務受託を行う。 モニタリング業務では、臨床試験の依頼者である製薬会社等に指名されたCRA(モニター)が、臨床試験の実施状況を調査し、臨床試験が臨床試験実施計画書、標準業務手順書、薬事法に規定する基準等に沿って実施・記録・報告されていることを監視・確認する業務。受託期間は通常2-3年で、モニタリング業務を担当するモニターを製薬会社等に派遣する特定派遣業務も行っている。 データマネジメント業務では、臨床試験においてモニターによる収集されたデータを記録・管理し、そのデータを生物統計学的手法を用いて解析し、当該医薬品等の有効性・安全性等の試験成績を評価・検討している。受託期間は、通常6ヶ月から1年程度。 ファーマコヴィジランス業務は、製薬会社等から委託を受けて、臨床試験、製造販売後臨床試験、製造販売後調査、文献・学会調査等で発生した安全性情報の収集や、評価分析、当局への報告書作成等を支援する業務。 その他業務のうちメディカルライティング業務では、医薬品等の研究開発から承認までに必要な、当局への各種申請書類、各種報告書、論文等の作成支援を行っており、コンサルティング業務では、医薬品開発戦略の立案や、当局への相談、申請資料作成に関して総合的なコンサルティングを行っている。 |
07.8期の売上高は、モニタリング業務では、国内・外資系製薬会社の医薬品開発案件の増加に対応し、既存・新規プロジェクトの受注が堅調に推移した結果、対前期比+約77%の増収となった。 データマネジメント業務では、新システムの導入や営業体制の強化、大幅な人員増強によって対前期比+約116%の増収となった。ファーマコヴィジランス業務でも、営業体制の強化とサービスラインナップの拡大を図った結果、既存顧客からの受託と派遣業務の受託が順調に推移したことで、対前期比+約129%の増収。 以上によって、売上高全体では対前期比+約80%の増収となり、増収効果によって、営業利益以下では対前期比で大幅な増益となった。 表1 業務別販売実績(百万円、前期比%) 07.8期 08.2中 モニタリング 3,961 +77.7% 2,330 データマネジメント 108 +116.5% 156 ファーマコヴィジランス 220 +129.8% 120 その他 19 +126.7% 23 合計 4,309 +80.8% 2,631 08.8期業績予想の売上高は、モニタリング業務では臨床開発を中心に対前期比+約23%と堅調に推移し、データマネジメント業務では、前年度計上予定の売上げが当期にずれこんだ影響等によって、対前期比+約113%の増収となる見通し。ファーマコヴィジランス業務でも対前期比で増収となる見通しで、売上高全体では、対前期比+約26%の増収の見通しとなっている。 営業費用では、67名の人員増加を前提として、労務費の増加と人員の増加に伴う事業所の増床等を計画しており、対前期で費用は増加するものの、売上高の増加効果によって、営業利益以下の利益項目では、対前期比+70%前後の増益の予想となっている。 08.8期の業績については、既に第三四半期実績までが開示されており、そこでの進捗状況をみると、年度見通しの達成には特に問題はないように見える。
ベンチャーキャピタルの出資はあるものの、全体に占める割合は大きくない。一応上場後6ヶ月間の保有確約の対象になっていることもあり、株式需給には特段の影響はないと思われる。また、ストックオプションによる希薄化懸念もなく、最近の上場案件の中では、比較的株式需給リスクが小さい部類に入る。 A. 発行済み株式数 2,347,600株(単元100株、08.2に1:100株式分割後) B. 公募 250千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 250千株(売出し元は会社関係者12名、法人1社)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 25,976,00株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 75千株 既存株主へのロックアップ情報: ないが、07年6月に実施した第三者割当増資(分割考慮後で4,251千株、価格400円/株)は、上場後6ヶ月間の保有確約の対象。この第三者割当増資のうち、75千株はベンチャーキャピタルを対象とした割当。 目論見書での想定発行価格は1,050円で、この価格に基づく公募によるメディサイエンスプラニングの手取り概算額は約231百万円とされている。資金使途は、社債償還資金として110百万円を充当し、人員増加への対応等での事務所の増床・レイアウト変更に伴う敷金・設備資金の一部に121百万円を充当する予定。
メディサイエンスプラニングのウエブサイトには、直接、投資家向け情報開示のページは設置されていない。ただ、トップページからは上場関連ニュースへのリンクが張られており、これが大証ヘラクレスのサイトを経由してIRサービス提供会社にリンクする形で、上場関連の情報開示はなされている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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