8899モリモトIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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モリモト(8899 東証)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:不動産業

今後の配当性向の向上を期待
 業績に対して季節要因による変動影響が大きい点や、住宅関連産業自体の業況に陰りが見られる点があり、08.3期業績予想の達成確度については、読みにくい状況になっている。

 達成されることを前提とすれば、業績予想ベースのEPS約680円に対して、想定されている公募価格のPERは約7倍となる。上記を考慮するとPERでの評価は妥当なところだろうが、08.3期予想での配当性向が10%を切る低い水準になっている。配当性向の向上を待ってから投資しても良いように思える。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 06/3 07/3 07/9中 08/3予
売上高(百万円)
77,959
22.6%
95,607

30,890
26.9%
121,300
営業利益(百万円)
9,429
41.7%
13,360

4,878
25.0%
16,700
経常利益(百万円)
7,458
46.4%
10,921

5,162
55.7%
17,000
当期利益(百万円)
3,940
54.3%
6,077

2,817
57.3%
9,560
総資産(百万円)
純資産(百万円)
150,234
19,424
197,195
26,141
216,401
28,030
--
--
株主資本比率(%) 12.9% 13.3% 13.0% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
5.0%
20.3%
5.5%
23.2%
2.4%
10.1%
--
--
発行済株式数 13,930.1 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
283
1,394
436
1,877
202
2,012
686
--
配当(円/株) 25 25 -- 60

事業概要
分譲マンションの企画・販売及び賃貸物件の開発等
 モリモトグループ゚は、当社モリモトと連結子会社5社、持分法適用関連会社2社から構成されており、「クレッセント」シリーズのマンション販売を主力とした不動産分譲事業、「イプセ」シリーズを中心とした賃貸不動産開発事業と、賃貸業務、分譲管理業務、仲介・受託業務を行う不動産サービス事業を営んでいる。

 不動産分譲事業では、東京都内と横浜・川崎エリアを中心に、分譲マンションの用地仕入れ、企画、近隣調整業務、建築管理、販売等を行っている。取り扱っている住宅のタイプは、ファミリータイプを主としたものの他、都心立地志向のコンパクト系、ハイグレード仕様となっている。

 賃貸不動産開発事業では、J-REITを初めとした不動産ファンド市場の進展を背景とし、マンション分譲で培ったノウハウを活用して、住居系。商業系・オフィスビルの賃貸物件の用地仕入れ、企画、近隣調整業務、建築管理、販売等を行っている。

 また、賃貸物件の開発に加えて、既存物件を仕入れて大幅な改修工事を行うリノベーション業務や、既存物件を仕入れてリーシングの実施や、テナントの入替、小修繕を行う収益不動産のバリューアップ業務によって、物件の収益向上を図っている。最終的には、この事業部門の物件は、ファンド等投資家へ売却している。

 不動産サービス事業では、賃貸不動産開発事業において保有する物件を売却するまでの賃貸業務、モリモトグループ保有不動産の賃貸業務、マンスリーマンション業務などの賃貸業務を展開している。

また、分譲したマンションの顧客で構成される管理組合との間で管理委託契約を締結して、管理員の派遣、保守・清掃、大規模修繕計画の企画・提案、設備メンテナンス等の各種の管理運営サービスや、賃貸募集等に対応した仲介業務、J-REITを運営するビ・ライフ投資法人の資産運用受託業務を行っている。

情報開示の状況
開示あるが、トップページからは探しにくい
 モリモトのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。同社サイトのトップページからの行き先案内は不親切だが、会社概要から、入ることが出来る。現在開示されているコンテンツは、マネジメントメッセージと財務ハイライト。
収支の状況
季節要因が強く、08.3期の業績予想の達成確度は想定が難しい
 07.3期は、不動産分譲事業では、ディンクス・シングル向けを中心に16棟・718戸の引渡しを完了したが、引渡し戸数ベースで対前期比マイナス約1%の減少であり、売上高では同マイナス約25%の減収となった。

 賃貸不動産開発事業では、住居型の引渡し9棟、商業店舗施設の引渡し3棟を行った。また、他社が開発した新築・中古の収益物件をリーシングやテナントの入替、修繕等を行うバリューアップ業務を推進し、売上高では対前期比+約124%の増収となった。

 不動産サービス事業では、賃貸住宅のリーシング業務、外部から取得した収益物件に対するバリューアップ業務の拡充に伴って、賃貸収入・プロパティマネジメント業務等が順調に推移した。また、マンション販売の好調を反映して、分譲マンションの新規管理契約物件も好調に推移し、07.3末の管理戸数は、対前期比+約6%の11,664戸となった。以上により、同事業部門では、売上高は対前期比+約13%の増収となった。

 全体の売上高では、対前期比+約22%の増収、増収を背景として営業利益では同+約41%、経常利益では同+約46%の増益となった。

表1 セグメント別の利益率(百万円、%)
分譲不動産 賃貸開発 不動産サービス 合計
06.3期  売上高 49,676 23,712 4,570 77,959
06.3期 営業利益 5,748  4,124 1,238  9,429
売上高営業利益率 11.6%1 7.4% 27.1% 12.1%

06.3期  売上高 37,228 53,182 5,196 95,607
06.3期 営業利益 3,237 11,163 1,175 13,359
売上高営業利益率 8.7% 21.0% 22.6%  14.0%

 不動産分譲事業と賃貸不動産開発事業では、販売物件の引渡し時期に、業績が影響を受ける構造になっている。このため、売上高が下期に集中する傾向にあり、逆に中間決算段階では、営業赤字・経常赤字になる可能性がある。過年度では上半期・下半期で極端な傾向が発生している。

 08.3期の通期業績予想に対する中間期の進捗率は、良くないように見えるが、上記のように、上期・下期のウエイトの違いが大きく出る傾向にあるので、中間時点の進捗率では判断のしようがない。ただ、最近の住宅関連産業が建築基準法改正の影響を受けがちな点を考えると、通期予想の達成に関しては、慎重に見たほうがよいと思われる。

 モリモトには、現時点で土地取引に関するものと、建築中のオフィスビルに対する近隣住民の建設反対に関する訴訟2件があると開示されている。

株式の状況
ストックオプションはあるが希薄化効果は限定的、VCもシェア小
 ストックオプションの残高はあるが、規模は大きくないため、希薄化効果は限定的。ロックアップのカバー率が高い点と、ベンチャーキャピタルの出資シェアが小さい点も、新規の株主にとっては、評価できる点になっている。

A. 発行済み株式数 10,238,400株(単元100株)
B. 公募 3,000千株、増資によるオーバーアロットメント 570千株
C. 売出し 800千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 121,700株
 E. うち潜在株式に算入する数 121,700株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 13,930,100株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 18千株
既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者等9人と1法人に180日間。対象株数は9,765,600株。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
06年3月 121,700株 2,700円 08年3月〜13年3月

 目論見書での想定発行価格は4,000円で、この価格に基づく公募によるモリモトの手取り概算額は約11,920百万円とされている。第三者割当増資で予定されている手取り概算額約2,271百万円と合わせた資金使途は、10,595百万円を借入金の返済に、残額を不動産分譲事業・賃貸不動産開発事業での事業用地取得のための運転資金に充当する予定。



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