4572カルナバイオサイエンスIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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カルナバイオサイエンス(4572 JASDAQ-NEO)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:医薬品

創薬支援ビジネスだけを取出せば、評価できなくもないが
 いわゆるバイオベンチャーであり、足元は赤字決算が継続している。ただ、内訳では、創薬事業は赤字だが、創薬支援事業では08.12期には約250百万円の営業黒字の計上を見込んでいる。

 仮に創薬支援事業だけのビジネスだとすれば、税考慮後EPS約2,800円となり、PER12倍として35千円程度の株価でも納得感はある。今後の成長性を加味して、5〜6万円というところか。

 今後の創薬事業での成功と支援事業での更なる成長を織り込んでの想定公募価格12.5万円ということなのだろうが、現時点では将来の成功は保証されていない。株式公開時点での公募取得は、ベンチャーキャピタリストに対するよりも開示された情報量が少なく、かつ、ベンチャーキャピタリストよりも割高なベンチャー投資となる可能性もあるとみる。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 06/12 07/6中 07/12 08/12予
売上高(百万円)
405

266
26.9%
514
38.5%
712
営業利益(百万円)
-256

-48

-147

-86
経常利益(百万円)
-269

-46

-159

-134
当期利益(百万円)
-332

-48

-180

-138
総資産(百万円)
純資産(百万円)
1,939
1,653
1,943
1,628
1,622
1,436
--
--
株主資本比率(%) 85.3% 83.8% 88.5% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
--
--
--
--
--
--
--
--
発行済株式数 55.165 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
--
29,963
--
29,511
--
26,030
--
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
キナーゼ阻害薬の創薬基盤技術を用いた、製品・サービスの販売(創薬支援)と、医薬品の研究・開発(創薬)
 カルナバイオサイエンスは、鐘紡から新薬事業の営業譲渡を受けたオランダ系の製薬企業・日本オルガノンをスピンオフして設立された。

 ガン・炎症・リウマチなどの病気の際には、人体内で細胞の異常な増殖や分化が起こっているが、この原因と考えられている分子の一つに、細胞内外の情報伝達をつかさどるキナーゼという酵素がある。しかし、キナーゼは細胞の機能維持に重要な働きを担っているため、キナーゼを阻害する薬は副作用が強いのではないかと考えられてきた。近年、特定のキナーゼだけを抑制する安全で有効な分子標的治療薬の研究が活発となり、現在では、多数のキナーゼ阻害薬が臨床試験に入っている。

 カルナバイオサイエンスは創薬支援事業と創薬事業とを行っている。創薬事業では、自社及び共同でキナーゼ阻害薬の創薬研究を行っている。

創薬支援事業では、製薬企業等が創薬研究において行うキナーゼ阻害薬候補化合物の評価(プロファイリング、スクリーニング)に用いるキナーゼタンパク質、アッセイ(測定実験)キットやアッセイ系を開発・提供して、製薬企業等に対して当該化合物の阻害活性の評価業務を受託するサービスを提供している。

情報開示の状況
開示はこれから
 カルナバイオサイエンスのウエブサイトには、2月22日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されているが、コンテンツは掲載されていない。タグがついていて今後掲載予定と思われる項目としては、決算関連資料、株式情報、株価情報等となっている。


収支の状況
創薬支援事業は既に黒字化、創薬事業の赤字は当面続く見通し
 06.12期は、期末時点でカルナバイオサイエンスが保有するキナーゼタンパク質の数は248種類となり、取引社数は前期比の57社から83社に増加した。以上によって、創薬支援事業では、対前期比+約10%の増収となり、売上高全体では、同+約93%の増収となった。

 キナーゼの品揃えの強化や創薬プロジェクト等の研究開発費が増加したことで、営業損益以下では赤字決算となったものの、赤字額自体は前期と比較して縮小。

 創薬事業の赤字は06.12期まで継続して発生しているが、創薬支援事業については06.12期に営業損益が黒字転換(106百万円)し、07.6中間期も営業利益(100百万円)をあげている。

表1 事業別の販売実績(百万円、%)
              06.12期 07.6中
キナーゼタンパク質 140 +83.8% 122
アッセイ開発      60 +210.1% 47
プロファイリング等   91 +164.0% 56
そ   の   他    65 +67.7%  24
創薬支援事業計   357 +110.9% 251
創  薬  事  業  47 +18.8%  14
合         計 405 +93.3% 265

 08.12期の業績予想では、売上高は、日本国内での大型年間契約の受注と米国での物流拠点の設置、欧米での営業網の充実によって、創薬支援事業では対前期比+約44%の増収を見込んでいる。創薬事業では、対前期比マイナス約57%の減収の見通しで、合計では、対前期比+約38%の増収の見通し。

 営業損益では、創薬支援事業では、米国の物流拠点設置による追加費用が発生するものの、増収効果等によって、対前期比+約42%の増益を見込んでいる。創薬事業では、引き続いて研究開発費が増加することで、営業損失が見込まれており、全体でも、86百万円の営業損失の見通し。

マイルストーン開示
 マイルストーン開示では、09.12期と10.12期の目標が開示されている。創薬支援事業については、この期間も順調に営業黒字を拡大する一方、創薬事業に関しては、この2期でも営業赤字の見通しになっている。ただし、10.12期には、創薬支援事業の黒字が創薬事業の赤字額を初めて上回ることで、全体では、営業黒字化する目標になっている。

株式の状況
VC保有は例によって多数だが、ストックオプションは多くは無い
 創薬ベンチャーらしく、公募前段階での発行済み株式数のうち半数以上はベンチャーキャピタルの出資となっている。それなりにロックアップも対象にも入ってはいるが、上場後のVCからの売却は遅かれ早かれ避けられない。

 ストックオプションは何回にも分けて発行されているが、トータルでの対象株数は決して多いわけではない。創薬ベンチャー系の株価が公募価格を下回るケースが多いことを考慮して、下記では行使価格10万円未満のものだけが当面は行使されるとみて、675株だけを潜在株式に算入した。

A. 発行済み株式数 44,490株(04.5に1:10株式分割後)
B. 公募 8,700株、増資によるオーバーアロットメント 1,300株
C. 売出し 株(売出し元は)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 2,645株
 E. うち潜在株式に算入する数 675株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 55,165株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 28,950株
既存株主へのロックアップ情報: 多数のベンチャーキャピタル株主に対して180日間。対象株数は9,980株で、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。その他に、これまでの第三者割当増資15,800株については、上場後6ヶ月間の保有確約の対象。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
03年9月 60株 5千円(万円ではない) 03年9月〜13年9月
04年6月 295株 5万円 06年6月〜14年6月
04年6月 230株 5万円 04年6月〜14年6月
04年6月  90株 5万円 06年10月〜14年6月
05年1月  60株 10万円 07年1月〜15年1月
05年1月  80株 10万円 07年4月〜15年1月
06年3月 180株 10万円 08年4月〜16年3月
06年3月 190株 10万円 08年7月〜16年4月
06年3月  40株 10万円 08年10月〜16年4月
06年3月  50株 10万円 09年1月〜16年4月
07年3月 980株 10万円 10年4月〜17年3月
07年3月 390株 10万円 10年7月〜17年3月

 目論見書での想定発行価格は125千円で、この価格に基づく公募によるカルナバイオサイエンスの手取り概算額は約972百万円とされている。資金使途は、創薬支援事業の設備投資資金に436百万円を充当し、残額は運転資金に充当する予定。

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