IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
野村マイクロ・サイエンス(6254 JASDAQ)IPO |
ちょうどストライク真ん中の公募価格か 半導体製造に使う製品・装置を製造・販売しているので、景況に対して業績が比較的敏感に反応すると思われる。07.3期の業績は対前期で大きく伸びているが、08.3期業績予想では、増収増益の見通しにはなっているものの、前期ほどの伸び率は見込まれていない。この点については、景況などを伸長に織り込んでいると評価してよいと考える。 08.3期業績予想でのEPSは約110円で、想定されている公募価格のPERはちょうど17倍となる。業績の安定的な半導体関連メーカーとしては、弱含みの最近の市況を考慮して、やはりちょうど妥当な水準での株価評価だろう。特に割安感も割高感も感じられない。 連結データ(肩は対前期比(%))
野村マイクロ・サイエンスグループは、野村マイクロ・サイエンスと、子会社4社から構成されており、超純水製造装置の設計・施工・販売とメンテナンス、消耗品の販売を行っている。 超純水とは、水中に溶解しているイオン類や有機物、生菌、微粒子等を含まない純度の高い水のこと。半導体の製造過程では必須になる洗浄工程では、使用される水の純度が歩留まりに影響するために、超純水が必要になる。 水処理装置事業では、半導体・液晶関連を中心に、各種用途向けの超純水製造装置と排水処理装置の設計・施工・販売のほか、納入した装置のメンテナンスと装置に付帯するカートリッジフィルター、イオン交換樹脂等の各種消耗品の販売、水質分析の受託などを行っている。 その他の事業としては、国内・海外のユーザーに対して、高純度薬品・配管材料等の販売を行っている。高純度薬品は、超純水製造装置システムを構成する各種装置の安定化運転等に使われ、配管材料は、主に半導体産業向けの化学薬品移送用に使われる。 |
07.3期は、韓国・台湾・中国を中心とした需要増加を背景として、大型装置工事の引き合いが多かった。将来的なメンテナンス・消耗品の受注を目的として、水処理装置の受注を積極的に展開したことによって、水処理事業の売上高は対前期比+約51%の増収となった。 海外で低採算の装置受注が多かったことや、人員増に伴う人件費の増加によるコストアップがあったものの、増収で吸収することで、営業利益では対前期比+約33%増、経常利益では同+約16%増の増益となった。経常利益の対前期伸び率が営業利益と比較して小さいのは、前期に多額の為替差益を計上したことの反動によるもの。 表1 07.3期の事業の種類別販売実績(百万円、前期比%) 水処理 26,567 +51.6% その他 654 -33.3% 合 計 27,221 +47.1% 08.3期業績予想は、06.3期に対して大きく伸びた07.3期とは異なって、対前期比では売上高・利益ともに微増の見通しになっている。
ストックオプションはなく、ベンチャーキャピタルの保有ウエイトも高いものではない。法人を含めた既存株主のうち30名がロックアップの対象にはなっているが、上位株主にロックアップの対象になっていない株主がいるため、公募前段階でのカバー率は約8割程度、公募考慮後では約6割になっている。 A. 発行済み株式数 8,152千株(単元100株) B. 公募 1,700千株、増資によるオーバーアロットメント 300千株 C. 売出し 470千株(売出し元は北興化学300千株、残は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 10,152千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 138千株 既存株主へのロックアップ情報: 法人17社とベンチャーキャピタル1社、会社関係者等個人12名に180日間。対象株数は約6,200千株。ただし、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。 目論見書での想定発行価格は1,870円で、この価格に基づく公募による野村マイクロ・サイエンスの手取り概算額は、約2,291百万円とされている。資金使途は、新研究棟の建設資金に900百万円、車載の償還原資に450百万円、運転資金に600百万円を充当する予定。
野村マイクロ・サイエンスのウエブサイトには9月4日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。決算公告が開示されている点と商品情報ぐらいしか、参考情報は掲載されていない。 |
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