4244東山フイルムIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research
| IPO初値分析・株式投資  | What's New  | LINKs  | SITE MAP  | IPO株日記  |

東山フイルム(4244 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:化学

短期での売買よりも、長期保有に向いている印象
 基本的には、普通の化学メーカーのイメージであり、07.12期業績予想ベースのEPS約75円に対して、想定されている公募価格はPER約10倍となる。適度なディスカウントがされた、妥当な公募価格水準になりそうな状況。

 東山フイルムの場合には、普通のメーカーとはいえ、足元の業績の伸びは高い。更に、現在の業績は薄型テレビ関連製品の好況に牽引されているものの、家電製品向け等、他の分野での販売ウエイトも決して低くなく、仮に薄型テレビが減速しても、他の事業分野でカバーできる可能性もある。目先の配当性向は高くないが、こうした点を考慮すると、長期保有することのメリットもあると考えられる。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/12 06/12 07/6中 07/12予
売上高(百万円)
5,074
6.8%
5,418

3,124
13.5%
6,149
営業利益(百万円)
189
93.4%
365

379
50.3%
548
経常利益(百万円)
170
97.1%
336

368
37.6%
462
当期利益(百万円)
86
96.5%
168

223
68.2%
283
総資産(百万円)
純資産(百万円)
6,069
1,235
8,408
2,624
8,513
2,867
--
--
株主資本比率(%) 20.4% 31.2% 33.7% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
2.8%
6.9%
4.0%
6.4%
4.3%
7.8%
--
--
発行済株式数 3,741 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
22.9
330.2
45.0
701.4
59.7
766.3
75.6
--
配当(円/株) -- 5 -- 15

事業概要
フィルム加工事業
 東山フイルムグループは、当社東山フイルムと在外子会社2社から構成されており、ポリエステルフィルム等の製品用途に合わせた塗工剤を塗布し、液晶テレビやプラズマテレビ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に使われる光学フィルムや、エレクトロニクス製品等に使われる高機能フィルム、エアコンモーター等に使われる絶縁フィルム、自動販売機のディスプレイ等に使われるフィルム等の加工販売を行っている。

 東山フイルムグループは、フィルム加工事業の単一事業だが、フィルムの機能・用途ごとに、コーティング部門、印刷材料部門、電気絶縁・情報材料部門、自販機ディスプレイ部門に事業部門を4分類している。

 コーティング部門では、主にFPD用途に向けたポリエステルフィルムのコーティング加工を行っており、顧客からの加工委託に基づいて、光学用高機能フィルター部材を生産するほか、独自ブランド製品として、高機能ハードコートフィルムのコーティングも行っている。主な製品は、反射防止フィルム、近赤外線遮断フィルム、電磁波遮断フィルムなど。

 印刷材料部門では、ポリエステルフィルムに東山フイルム独自の表面改質技術によって特殊処理を施したメンブレンスイッチ用材料、携帯電話などの小型液晶画面部品を生産する際に用いられるセパレーター、PETボトルを再利用した透明耐熱フィルム等を加工・販売している。主な製品は、洗濯機・炊飯器等家電製品用のメンブレンスイッチ材料など。

 電気絶縁・情報材料部門では、エアコン用モーター等に使われる電気絶縁フィルムや、携帯電話の生産ラインに使われるポリエステルフィルムを加工・販売し、自販機ディスプレイ部門では、飲料品やタバコの自動販売機に用いられるディスプレイ用ダミーや、広告シートの企画・受託製造・販売を行っている。

情報開示の状況
実質的には開示は上場後
 東山フイルムのウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページは開設されているが、コンテンツの掲載等の実質的なオープンは上場予定日となっている。
収支の状況
07.12期業績予想も達成ペースでの上期進捗だが、下期は減速か
 06.12期は、コーティング部門ではFPD向け加工品の出荷が好調、印刷材料部門では、主力販売先である銘板会社が中国進出したり、原料不足などの減収要因はあったものの、セパレーターの売上が好調で、特に小型液晶関連では、携帯電話・携帯ゲーム機などの堅調な伸びがあった。こうした要因によって、両部門では対前期比で増収。

 電気絶縁・情報材料部門では、主力製品であるコンプレッサー用モーター向け絶縁加工品や小型絶縁バックライト製品など、取引先の中国での現地生産体制の確立などによって受注高が減少したことで、減収となった。

自販機ディスプレイ部門でも、全国的な日照時間不足や記録的豪雨などの天候不順の影響を受けた飲料メーカーの業績が伸び悩んだことから、ダミー商品にかける販売促進費の削減や、納入業者間での価格競争の影響を受けたことで、減収。

 以上から売上高全体では、対前期比+約6%の増収となり、営業利益以下の利益項目では、対前期比でほぼ倍増となる増益となった。

表1 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%)
          06.12期  07.6中
コーティング 1,378 +22.6% 987
印刷材料   1,910 +27.9% 907
電気絶縁等  1,518  -6.8% 789
自 販 機    610 -26.2% 440
合    計  5,417 +6.7% 3,124

 07.12期の見通しは、東山フイルムの主力製品である画像用光学フィルム製品では、FPD市場の成長に伴って需要が拡大すると予想して、既存3生産ラインの稼働率向上と新設1ラインからの供給によって、対前期比+約56%の増収を見込んでいる。また、銘板業界向けのハードコートフィルム製品や、中国での小型液晶関連製品の生産が集中拡大する傾向を受けて、クリーン用セパレートフィルムの輸出に注力することで、全体の売上高では、対前期比+約13%の増収の見通し。

 増収に伴う材料費・労務費の増加と新設工場の減価償却費負担の発生はあるものの、量産化・合理化技術の向上による製造原価の低減効果などもあって、営業利益では対前期比+約22%の増益の見通し。

 07.12期業績予想では、前年度と同様に高い増益率が見込まれているが、中間期の進捗をみると、達成にあたって特に問題はなさそうに見える。むしろ、下期には上期と比較してあまり利益が出ない下期見通し(通期予想-上期実績)になっている点については、本当に下期に減速するのか、保守的な見通しになっているのかは、疑問が残る。

株式の状況
ストックオプションはあるが、当面の行使は難しい価格
 ベンチャーキャピタルの出資はない。ストックオプションの未行使残高はあるものの、ボリュームは千小さく、行使価格が高めに設定されていて、上場後の即行使が難しい水準であることから、あまり考慮しなくてもよいと思われる。

A. 発行済み株式数 3,136千株(単元100株)
B. 公募 500千株、増資によるオーバーアロットメント 105千株
C. 売出し 200千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 97千株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 3,741千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株
既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者4名に180日間。対象株数は、2,321,500株。また、06.6以降に実施した第三者割当増資 計600千株は、上場後6ヶ月間の保有確約の対象。この分の割当先は、取引先事業法人や金融機関等で、ロックアップ対象との重複はない。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
06年12月 97千株 2,000円 08年12月〜18年12月

 目論見書での想定発行価格は750円で、この価格に基づく公募による東山フイルムの手取り概算額は約363百万円とされている。第三者割当増資の手取り概算額約78百万円とあわせた資金使途は、新工場の建設資金の決済に充当する予定。



IPOを申し込む時に便利な銀行・証券会社はどこか?管理人が解説します > 「IPOのための証券会社・銀行選び」

 | 2007年IPO一覧(既上場)  | IPO初値分析・株式投資 |
本資料における個別銘柄に関する注意事項
 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。
 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。
その他の重要な注意事項
本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。
本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送