IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
駐車場綜合研究所(3251 東証マザーズ)IPO |
資本政策は再考要か 07.3期が増収に伴う増益であったが、08.3期業績予想では減収見通しにも係わらず、大幅な増益予想になっている。四半期の進捗状況をみると、決して達成不可能ではないものの、通期予想の達成には、若干の不安が残る。 予想EPSを若干低めに想定して2,200円とすると想定されている公募価格のPERは約12倍となる。業績自体は非常に高い伸び率で伸びているものの、理由が不明瞭であり、以下の資本政策の面でも不安があるため、PERで15倍程度までの評価が無難と考える。 今後は固定賃料等の負担が発生しない自社保有駐車場の開発を進めていく方針になっている。 自社で固定資産を取得した場合には、確かに賃料は発生しないが、今回の公募増資のように、資金を株主から調達するのであれば、一方で株主コストが増加する。株主コストは一般に、賃料よりも低いとは言えず、資本コストの概念について、会社側がどこまで理解しているのかには疑念がある。 自社でのアセット保有を進めていこうとするのであれば、負債の有効活用策を具体的に示さないと株主からは評価されないだろう。 個別データ、06.3期のみ個別(肩は対前期比(%))
駐車場綜合研究所は、主に大都市圏の大型施設に設置される駐車場の運営サービスを提供する駐車場管理運営事業と、民間駐車場や市街地再開発駐車場の運営に関する綜合提案を実施するコンサルティング事業を行っている。 駐車場管理運営事業は、主に駐車場オーナーから駐車場を借り上げ、駐車場の運営自体を代行する運営受託と、駐車場オーナーから駐車場施設を賃借しないで、その駐車場の管理を代行する管理受託によって、サービスを提供している。 運営受託では、駐車場利用者からの利用料を売上に計上する一方、長期運営を目的として、固定賃料のほかに、設定した売上基準値超過部分の一定割合を変動賃料としてオーナーに支払っている。 管理受託では、売上連動型の変動委託料を含む場合もあるが、原則として固定の業務委託料を売上に計上し、オペレーターの人件費が主に売上原価に計上される。 コンサルティング事業では、民間駐車場や市街地再開発駐車場の運営効率の向上を目指した運営計画案や現状調査分析、改善計画案を提供している。駐車場の運営に関するコンサルティング実績が評価されて、その駐車場の管理運営業務を受託するケースもある。
駐車場綜合研究所のウエブサイトには、10月1日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。関連情報としては07.3期の決算公告が掲載されている程度になっている。 |
07.3期は、駐車場管理運営事業では、年度内に、葛飾区450台、大阪市460台、静岡市362台、千代田区112台の管理運営を新たに開始したことで、売上高は対前期比+約41%の増収となった。 コンサルティング事業では、ウエブ営業によるコンサルティング案件の受注が拡大、大阪市・横浜市等の地方公共団体が保有する駐車場のコンサルティング案件が増加した。しかし、長堀駐車場の保守案件が無くなったことと、大型コンサルティング案件の受注が減少したことで、当事業の売上高は対前期比マイナス約37%の減収となった。 以上の結果、売上高全体では対前期比+約39%の増収となり、駐車場施設利用料の増加や新規駐車場オープンに伴う初期投資によるコスト増加などがあったものの、営業利益では対前期比+約95%の増益となった。経常利益・当期利益でも、ほぼ対前期比で倍増の増益。 表1 事業部門別の販売実績(件、車室数、金額百万円、前期比%) 物件数 車室数 金額 前期比 運 営 受 託 25 7,084 3,342 +45.6% 管 理 受 託 5 2,204 291 +6.9% 管理運営小計 30 9,288 3,633 +41.5% コンサル事業 -- -- 45 -37.5% 合 計 30 9,288 3,679 +39.3% 08.3期業績予想では、売上高は対前期比で減収だが、営業利益以下の利益項目では、前期に引き続いて大幅な増益が見込まれている。大幅な増益になる理由については、業績予想の中では触れられていない。新規駐車場の開設が一段落して初期費用が低下することかず織り込まれているのではないかと推測する。 一方、第一四半期の実績は通期予想に対して1/4まで達していない。季節変動や新規駐車場の稼動開始等があることが予想されるが、通期見通しの達成については、若干の心配がある。 駐車場綜合研究所の今後の方針としては、駐車場管理運営事業において駐車場を賃借して運営するという従来の形態から一歩踏み出して、自社保有駐車場の運営を柱の一つに加えることを目指している。 具体的には、営業開発過程で遭遇する破綻第三セクター駐車場や、再開発プロジェクトにおけるコンサルティング過程で発生する保留床の取得を目指し、固定賃料の負担等、駐車場オーナーとの契約に左右されない自社保有駐車場を管理運営するとのこと。
ストックオプションは当面行使できない状態にある。ベンチャーキャピタルの保有株式について、シェアは1割程度あるものの、大部分はロックアップの対象になっている。ロックアップ対象部分については、発行価格の2倍以上のマーケット価格がついた場合には売却することが可能だが、現在の市況で、そこまで考慮する必要は無いだろう。 A. 発行済み株式数 73,010株(06.5に1:100株式分割後) B. 公募 5,500株、増資によるオーバーアロットメント 1,650株 C. 売出し 5,500株(売出し元は会社関係者5,000株、自社保有500株)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 4,130株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 80,160株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 7,800株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者6名とベンチャーキャピタル1法人に対して180日間。対象株数は、66,864株。但し、当該VCだけは発行価格の2倍以上での市中売却は可能。また、ストックオプションの全数と06.9に実施した第三者割当増資310株は、上場後6ヶ月間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 06年9月 4,130株 20千円 08年9月〜13年9月 目論見書での想定発行価格は27千円で、この価格に基づく公募による駐車場綜合研究所の手取り概算額は約129百万円とされている。資金使途は、収益力の向上を目的に、駐車場オーナーに対する支払賃料が発生しない、自社保有物件の購入のための調達資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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