IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
エー・ディー・ワークス(3250 JASDAQ)IPO |
主力事業の不動産流動化事業がどこまで伸びるか 売上高・利益項目の対前期伸び率をみると、かなりのペースで成長している。内容をみると、売上高の大半は不動産流動化事業が占めており、具体的には低評価不動産を買い取ってリフォーム・リノベーションすることで価値を向上させて、再販売する事業が、不動産価格の高騰を背景にして、伸びてきている模様。 こうした事業実態を考えると、今後もこれまでのような高いペースで伸びていくとは考えにくい。08.3期業績予想ベースのEPS約1万円に対して、想定されている公募価格のPERは約8倍となる。PER1ケタ台であり、足元の高い成長率を考慮すると決して割高ではない。しかし、事業内容を考えると際立って割安な設定でもないとみる。 中間決算等で途中経過が判明していない今の時点では08.3期予想自体の達成確度も不透明であり、PER12倍程度までの評価が妥当と考える。 個別データ(肩は対前期比(%))
エー・ディー・ワークスでは、不動産鑑定・コンサルティング事業と、不動産投資ファンド・サポート事業、不動産マネジメント事業、不動産流動化事業の4つの事業を行っている。 不動産鑑定・コンサルティング事業では、主に農政局や地方公共団体等公的機関から依頼のあった不動産鑑定評価、住宅・商業施設・オフィスビル等の一般鑑定評価、デューデリジェンス業務、相続対策をはじめとする不動産有効活用のための助言などの運用コンサルティング業務を行っている。また、依頼者のニーズに応えて必要な内容だけを抽出した簡易鑑定も行っており、内部調査文書として、金融機関の担保不動産の調査等に利用されている。 不動産投資ファンド・サポート事業では、国内のファンド・REITと提携して、ファンドビジネスのうち不動産に係わるあらゆる業務を取り扱うファンド・サポート業務(ノンアセット型ファンド・サポート)と、自社で不動産投資ファンドを企画・組成し、投資家に提供するアセット型ファンドを行っている。 ノンアセット型ファンド・サポート業務では、あらかじめフィーを取り決めて、それに基づいて、ファンドからフィーを収受している。受け取るフィーの形態には、不動産投資関連のコンサルティングやファンドスキームを組成した際に得られるアドバイザリーフィー、不動産をファンドに組入れる際に得られる物件の発掘・買付け業務に対するアクイジションフィー、不動産投資ファンドの管理・運用に対して得られるアセットマネジメントフィー、不動産投資ファンドの運用成績に応じて得られるインセンティブフィー、不動産物件の処分・売却の際に受け取るディスポジションフィーなどがある。 アセット型ファンドについては、エー・ディー・ワークスで過去に組成した実績はあるが、過年度に全て売却しており、現時点ではエー・ディー・ワークスで組成したアセット型ファンドはない。 不動産マネジメント事業では、不動産ファンドの投資対象となる物件を中心とした管理受託物件の管理・運営と、未販売の販売用不動産等の管理・運営・賃料を収受する業務を行っている。具体的には、入居者の募集、入退去手続き、賃貸借条件の交渉、クレーム対応、賃料滞納に伴う督促業務、建物メンテナンス管理を行っている。 不動産流動化事業では、個人・事業法人・ファンド等を対象として、何らかの事情によって本来の市場価格よりも過小に評価されたものを取得して、建物管理状態の改善や用途変更、テナントの入替、大規模修繕等を実施することで物件価値の向上を図り、売却している。 |
07.3期は不動産鑑定・コンサルティング事業で、大量の受注に対応できる体制を整え、新規取引先の開拓を行ったことで、一般不動産鑑定業務とデューデリジェンス業務での受注件数が大幅に増加したことから、対前期比+約54%の増収となった。 不動産投資ファンド・サポート事業では、自社組成したファンドを売却したことでのディスポジションフィー、インセンティブフィーの獲得に加えて、自己勘定による分配金収入があったことで、売上高は前期比+約302%の大幅な増収。 不動産マネジメント事業では、個人オーナーやファンドから受託した管理物件戸数が前期末557戸から、当期待つ1,384戸に増加したことで、管理収入が増加した。また、不動産流動化事業で取得した販売用不動産の大型化による賃貸収入の増加もあって、売上高は、対前期比+約76%の増収。 不動産流動化事業では、大型物件の売買を進め、物件単価の上昇と予定外の仲介案件が発生したことで、売上高は対前期比+約60%の増収となった。 以上から、売上高全体では対前期比+約63%の増収となり、売上高の増加に伴って、営業利益以下の利益項目では、40〜50%の増益となった。 08.3期の業績予想では、不動産鑑定・コンサルティング事業では、受注先の拡大と多様化をすすめ、ファンド関連会社やREITからの受注増を見込んで、対07.3期比で+約11%の増収の見通し。 不動産ファンド・サポート事業では、ファンド組成による各種手数料収入やファンド・サポート事業などの拡大を織り込んで、対前期比+約52%の増収の見通し。 不動産マネジメント事業では、管理戸数を約650戸増加させることで、管理収入・附帯収入を拡大、また、不動産流動化事業で購入した販売用不動産の大型化に伴う賃貸収入の増加を織り込んで、対前期比+約50%の増収の見通し。 以上によって、売上高では対07.3期比で+約28%の増収、営業利益以下では20〜30%の増益の見通しになっている。 表1 事業部門別の07.3期販売実績(百万円、前期比%) 鑑定・コンサル 197 +54.8% ファンド・サポート 197 +302.6% マネジメント 406 +76.5% 流 動 化 7,128 +60.9% 合 計 7,929 +63.9%
ベンチャーキャピタルの保有ウエイトは1割を超え、ロックアップ対象にはなっていない。極端にベンチャーキャピタルの出資ウエイトが高いわけではないが、比較的多い部類、という状況にある。 ストックオプションが今後行使されることでの希薄化効果も1割程度ある。こちらは、大半の行使価格は14千円と安く、上場後、即行使される可能性も考慮する必要がある。 A. 発行済み株式数 28,620株(05.7に1:100株式分割後) B. 公募 5,400株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 1,000株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント 960株 D. ストックオプション等の残高総数 4,393株 E. うち潜在株式に算入する数 3,734株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 37,754株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 4,070株 既存株主へのロックアップ情報: 売出人と法人1社に180日間。但し、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。対象株数は21,006株。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年8月 1,100株 14千円 05年9月〜15年8月 05年8月 2,634株 14千円 07年9月〜09年8月 06年3月 462株 75千円 08年4月〜10年3月 07年3月 197株 82千円 09年4月〜11年3月 目論見書での想定発行価格は8万円で、この価格に基づく公募によるエー・ディー・ワークスの手取り概算額は約387百万円とされている。資金使途は、全額を不動産流動化事業の物件購入資金に充当する予定。
エー・ディー・ワークスのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは決算公告だけで、上場関連のニュースリリース等はなく、内容的には乏しい印象。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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