3090ナチュラムIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ナチュラム(3090 大証ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:小売業

現段階で想定公募価格以上に評価する材料は見当たらない
 法人税の将来負担を考慮すると08.1期の予想EPSは約6千円強となり、想定されている公募価格に対するPERは約40倍となる。

 ネット関連企業としては理解できなくもないPER水準だが、ナチュラムの場合、08.1期業績予想の伸び率は売上高で20%以下、利益項目で10%以下と決して成長性が高いわけではない。現在の業績動向を見る限りは、想定されている公募価格以上で、今の段階で評価する材料は見当たらない。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 06/1 07/1 07/7中 08/1予
売上高(百万円)
2,687
28.8%
3,461

2,028
18.9%
4,114
営業利益(百万円)
60
116.3%
129

64

--
経常利益(百万円)
57
119.8%
126

62
8.1%
136
当期利益(百万円)
56
158.4%
144

55
-20.8%
114
総資産(百万円)
純資産(百万円)
676
372
869
516
1,100
572
--
--
株主資本比率(%) 55.1% 59.4% 52.0% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
8.5%
15.0%
14.5%
27.9%
5.6%
9.7%
--
--
発行済株式数 12.946 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
4,304
28,748
11,120
39,868
4,282
44,150
8,806
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
釣具、アウトドア用品等のインターネット通信販売事業
 ナチュラムは、ショップサイト「アウトドア&フィッシング ナチュラム」を中心としたEコマース(インターネット通信販売)事業を主たる事業とし、その他に、自社のノウハウを活かしたEコマース事業者向け支援サービスを提供するECソリューション事業を展開している。

 Eコマース事業では、インターネット上でキャンプ用品を中心としたアウトドア関連商品、釣竿・ルアー・フライ等を中心とした釣具、スポーツ&フィットネス関連商品等の一般消費者向け販売を行っている。また、インターネット上で、会員向けには、アウトドア等の基礎知識や、フィールド(釣り場・キャンプ場)情報などの各種情報提供、コミュニティの運営を行っている。

 更に、自社サイトの他には、多店舗出店によるブランド価値の醸成と集客に利用するために、ヤフーや楽天などが運営するオンラインモールにも出店している。07.1期のEコマース事業全体の売上に占めるヤフー・楽天のショッピング・モールの割合は、37.3%。

 このほか、スポーツ&フィットネス関連商品のショップサイト、釣具・アウトドア用品を卸売り業者・小売業者に販売するサイト、環境に配慮したエコロジー関連商品のショップサイトを運営している。

 07年8月時点で、ショップサイトでは約20万アイテムを取り扱っている。顧客ニーズの高い定番商品、季節商品、スポット商品は物流委託先に保有し、それ以外の商品は、顧客からの受注後に問屋やメーカーに商品を発注している。カヌー・ボート等の大型商品については、メーカーから顧客に直送している。

 07年7月末時点の自社サイト会員数は、約204千人で、その属性は、釣具・アウトドア関連商品共に、30代から40代が購買層の70%以上を占めている。07.1期までの会員購入リピート率は、52.3%。

 ECソリューション事業では、オンラインショップ統合管理システムのASPサービス提供を行う、「ECシステム」と、ECシステムの構築やECサイトの運営、決裁・物流の業務受託を行う「アウトソーシング」を展開している。

情報開示の状況
一応開示あり
 ナチュラムのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、実質的には上場関連のニュースリリースと会社概要ぐらい。
収支の状況
08.1期予想は達成ペースだが、ネット企業の伸び率としては物足りないイメージ
 07.1期は、主力事業であるEコマース事業では、ロングテール・ショートヘッドの営業戦略で、膨大な「非売れ筋商品」を揃える一方、専任バイヤーによって多くの消費者から支持される売れ筋商品の安定確保に取り組んだ。ブログポータルサイトのアクセス数も徐々に増加して、06年10月には1,000万ページビューを越えた。

 健康と美容・自然食品のポータルサイトでは、06年7月に独自アフィリエイトプログラムをリリースし、11月には心身の健康を考えるブログポータルサイトを立ち上げた。

 以上の取り組みの結果、07.1期は、売上高では釣具でリール・ルアー・ウエーディングウエア・ブーツ等、アウトドア用品ではフィールドギア・サイクル等の販売が拡大し、対前期比+約28%の増収、経常利益では同+約19%の増益となった。

表1 07.1期の事業部門別販売実績(百万円、前期比%)
Eコマース     3,283 +27.3%
ECソリューション  177 +64.1%
合    計     3,461 +28.8%

 08.1期の業績予想に対して、中間期の進捗率はほぼ半分になっており、通期見通しの達成にはあまり問題なさそうに思える。ただ、業績予想での利益の対前年伸び率は、売上高よりも低く想定されている上、伸び率の絶対値としても、ネット中心でのビジネスモデルの業態としては低い。ネットビジネスとしての成長性の点では、若干物足りなさを感じる。

 また、過去の赤字決算等の影響によって、法人税の負担にあたっては評価性引当額が考慮されており、これまでは実質的な法人税負担がされていない。08.1期の業績予想でも、法人税負担は本来の額では織り込まれていない模様であり、法定実効税率40.7%をベースとした08.1期予想EPSは約6,200円と考える。

 業績の季節変動については、ナチュラムで取り扱う商品は基本的に屋外で楽しむものが中心になっているため、3月〜4月の段階で5〜10月の釣具・アウトドア関連商品の需要を見込んで新製品が投入される傾向にある。このため、ナチュラムでは、春から秋に売上高が増加する傾向がある。

株式の状況
ストックオプションとVC保有株式には共に注意が必要
 ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが3割強と相当高い点が、まず特徴的になっている。一部は上場時の売り出しになっているが、大多数が残ることになる。これに対してのロックアップはない模様。

 ストックオプションの行使による希薄化効果にも注意が必要。ストックオプションの過半数は、11上場後いつでも行使できると思われる行使価格になっているが、一部の行使価格は想定されている公募価格と同水準のため、必ずしも行使できるかどうかはわからない状況。

A. 発行済み株式数 9,667株
B. 公募 1,500株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 600株(売出し元はベンチャーキャピタルが326株、残は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 1,779株
 E. うち潜在株式に算入する数 1,779株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 12,946株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 3,901株
既存株主へのロックアップ情報: なし

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
00年12月 469株 114,286円 03年1月〜09年12月
03年10月 550株 114,300円 05年11月〜13年10月
04年10月 665株 250,000円 06年11月〜14年9月
06年1月  101株 250,000円 08年2月〜15年12月

 目論見書での想定発行価格は25万円で、この価格に基づく公募によるナチュラムの手取り概算額は、約331百万円とされている。資金使途は、Eコマース(インターネット通信販売)事業での基幹業務システムの改良・改善と、仕入れ業務システムの改良、顧客情報や商品情報等のデータベース管理用サーバー増設の設備投資に200百万円を充当し、残額は、商材・商品購買資金等の運転資金に充当する予定。



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