IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
バンテック・グループ・ホールディングス(9382 東証)IPO |
安定的な業績の、比較的大型な上場案件 国内物流部門での収益性の向上は見込みにくいが、国際部門が引っ張ることで、全体業績は、堅実に向上している。 08.3期の業績予想ベースEPS約19千円に対して、想定されている公募価格のPERは約13倍となる。同業他社のレンジも考慮すると、PER15〜17倍程度の株価では30万円前後が妥当な水準と考える。 配当方針について、配当性向で20%目処となっているが、もう少し配当性向は向上して欲しいところ。 連結データ(肩は対前期比(%))
バンテック・グループ・ホールディングスグループ(以下バンテックグループ)は、当社と連結子会社31社、持分法適用会社5社、持分法非適用の関連会社1社から構成されており、主に企業物流の分野を対象に、自動車・船舶・航空機での国内・国際間の物流と、流通加工等の関連サービスを提供している。 主な事業内容は、国内での貨物自動車運送事業、梱包事業、港湾運送事業などの国内物流事業と、航空運送代理店業、航空・海上混載事業、貨物保管・流通加工・海外における自動車運送事業などの国際物流事業、重量機工、引越し、人材派遣などのその他の事業の3分類となる。 国内物流事業では、主に大型トラックを使った生産用自動車部品の輸送として、工場間物流や外製部品調達物流などを行っている。また、飲料・生活用品・医療材料などの消費財の物流について、中・小型トラックを主体として輸送を行うほか、国内外向け自動車サービス部品などの管理・梱包・発送業務や、国内で生産された輸出用完成車両について、自動車メーカー専用埠頭の車両専用倉庫での保管、車両の埠頭出し、本船積み、本船内車両縛着作業等、海外からの輸入車両の荷揚げ作業などを行っている。 国際物流事業では、輸出航空貨物について、顧客の工場・倉庫等からの集荷・梱包・通関・混載仕立・航空機への搭載・現地輸送までの一貫した業務を行う航空輸出や、輸入航空貨物について、混載貨物の仕分け、通関、流通加工、配達等を行う航空輸入、船舶を利用した輸出・輸入流通の業務を行っている。 航空輸出では、複数の小口貨物を混載によって大口に仕立てて、航空会社の運送手段を利用して運送を行う利用航空運送事業と、航空会社を代行して荷主にサービス提供を行う航空運送代理店業が業務の中心になっている。 その他の事業では、自動車関連を中心に、機械設備、車両組立て設備などの重量物の解体、据付、撤去、試運転等の企業向け重量機工サービスと、法人向けを中心とした引越し業務、物流関連を中心とした作業要員の派遣・作業受託等を行っている。
バンテックグループのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと、上場関連のニュースリリース、財務ハイライトとなっている。 |
07.3期は、連結業績全体としては、売上高で、対前期比+約8%の増収、経常利益では販売費・一般管理費が増加したものの増収効果によって、対前期比+約4%の増益となった。 セグメント別では、国内物流事業では、既存主要顧客である自動車・自動車部品製造取引先の輸出・清算・国内販売が不振だったことでの減収影響があった。一方で、自動車部品物流事業での新規子会社の買収が貢献したことや、非自動車部門では飲料関係の既存取引先との輸送・作業の増加によって、売上高では対前期比+約7%の増収となった。しかし、顧客による在庫圧縮、物流費引下げ要請があったことから、利益率は低下しており、営業利益では、対前期比マイナス約8%の減益となった。 国際物流事業では、繊維・雑貨・生鮮関連の輸入不振の影響があったものの、中国・東南アジア向けの自動車関連の輸出増加や、米国子会社からの好調な対日輸出、新規に設立した中国湖が会社の寄与などによって、業績は好調に推移した。売上高では対前期比+約10%の増収で、営業利益では、同+約30%の増益。 表1 07.3期 事業の種類別セグメントの利益率(百万円、%) 国内物流 国際物流 その他 連結 売上高 85,756 60,332 12,692 151,107 営業利益 3,371 2,968 338 6,680 利益率 3.9% 4.9% 2.7% 4.4% 売上高に関しては、国際物流部門が牽引する形で、着実な増収トレンドになっている。しかし、セグメント別での売上高営業利益率は、上記のように良くて4%台となっており、決して収益性は高いとはいえない。 当社の連結子会社であるバンテックは、元々、日産自動車の部品関連の輸送業務を目的に設立された経緯もあって、バンテックグループの主要取引先は、日産自動車グループになっている。07.3期の全体の売上高に占める日産自動車関連の売上高シェアは、約26%となっている。 バンテックグループでは、業務委託契約に関連しての訴訟を2件、取引先から提起されている。訴訟規模は、それぞれ数億円単位であり、訴訟の今後の展開次第では業績に影響を及ぼす可能性がある。ただ、それぞれの案件の動向よりもむしろ、法人間取引を中心にしたビジネスの中で、2件の訴訟案件が発生していること自体に、何らかの事業リスクがあるのではないかという疑問もある。
ベンチャーキャピタルの出資ウエイトは高いものの、その大部分はロックアップの対象になっている。行使価格が低いストックオプションが、株式公開直後から行使可能にはなるが、こちらもそれほど大量ではない。 A. 発行済み株式数 215,123.4株 B. 公募 25千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 25千株(売出し元は15,608株がベンチャーキャピタル、残は事業会社)、既発株のオーバーアロットメント 7,500株 D. ストックオプション等の残高総数 7,858株 E. うち潜在株式に算入する数 7,858株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 247,981.4株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 124,162株 既存株主へのロックアップ情報: ベンチャーキャピタル2社に180日間。対象株数は、約101千株。ただし、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 02年6月 4,290株 34,700円 公開日〜11年1月 03年6月 650株 34,700円 公開日〜13年1月 03年9月 88株 34,700円 公開日〜13年1月 04年6月 740株 110,000円 公開日〜16年6月 04年12月 2,090株 34,700円 公開日〜11年1月 目論見書での想定発行価格は253千円で、この価格に基づく公募によるバンテックグループの手取り概算額は、約5,905百万円とされている。資金使途は、グループのコア事業の拡大を目指して、国内物流事業・国際物流事業での事業提携等の戦略投資に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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