4243ニックスIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ニックス(4243 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:化学

足元のコストダウン努力は凄い
 売上高は年度によって増えたり減ったりで、ほぼ横這いになっている一方、利益項目では、製造原価のコストダウン等によって、大幅な増益を達成している。一見、利益の伸び率は高いものの、やはりトップラインが伸びないと、今後の成長という点での将来性は評価しにくく、今期業績予想ベースのEPS約130円に対して、PERでは15〜20倍までの評価になると考える。

 最近の市場環境を考慮すれば、PER15倍の株価2,000円近辺が当面の水準と想定する。

 燃料電池用部品の開発等を行っている点では今後の業績拡大期待もあるが、市場規模やメーカーでの採用可否等、詳細が詰まっていない今の段階では、株価に織り込む必要はないと考える。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/9 06/9 07/3中 07/3予
売上高(百万円)
4,918
-0.3%
4,906

2,476
4.1%
5,109
営業利益(百万円)
410
18.0%
484

336
28.8%
623
経常利益(百万円)
364
23.1%
448

311
38.0%
618
当期利益(百万円)
173
59.0%
276

151
18.9%
328
総資産(百万円)
純資産(百万円)
5,065
1,234
5,413
1,801
5,443
1,966
--
--
株主資本比率(%) 24.4% 33.3% 36.1% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
7.2%
14.1%
8.3%
15.3%
5.7%
7.7%
--
--
発行済株式数 2,464.5 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
70.4
501
111.9
731
61.3
798
133.1
--
配当(円/株) 5 5 -- --

事業概要
工業用プラスチック製品の企画、製造、販売
 ニックスグループは、ニックスと連結子会社2社から構成されており、工業用プラスチック製品の企画、製造、販売を主な事業としている。

 販売については、国内では、事務機業界・生産設備業界・家電業界、自動車業界・住宅設備業界、環境衛生業界などに対して、直接販売を行っているほか、専門商社や販売代理店を通じて販売している。

 海外では、北米地区と中国向けには子会社を通じて、その他の地域向けには、国内外の商社等を通じて製品を販売している。

 ニックスグループの事業・製品種類は、工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密部品と、生産設備冶具、その他に3分類される。

工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密部品では、自動車・電気・電子・OA・通信・住宅設備分野向けに、部品を留めたり、電線を束ねたり、金属エッジから保護する用途に使われている。

 生産設備冶具では、組立て生産工場で、電子部品の自動実装機(マウンター)用冶具として、プリント基板の移送保管に使用するラックを製造している。

 その他としては、プラスチック部品を射出成形するための金型を取り扱っている。

情報開示の状況
開示あり
 ニックスのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメントメッセージ、ニュースリリースと財務ハイライト。上場前の段階としては、特に問題のない開示レベルであり、上場後にも一定水準の開示は期待できそう。

収支の状況
売上高の伸びは低いが、コストダウンによって大幅な増益
 06.9期は、売上高では、工業用プラスチック・ファスナーについて、オフィス用印刷機器等の大手メーカーへの販売は好調だったものの、家電業界向け機構部品の売上が減少したこと等によって、ほぼ前期並みにとどまった。一方、製造コスト削減等によって、経常利益では対前期比+約23%の増益となった。当期利益では、前期に多額の特別損失を計上したことの反動によって、対前期比+約59%の増益。

 07.3中間期では、売上高は工業用プラスチック・ファスナーの販売が好調だったことから、対前年同期比で113百万円の増収となった。工場での生産過程の合理化・効率化が貢献したことなどによって、売上高は増加した一方で売上原価は対前年同期比で15百万円減少した。この結果、営業利益・経常利益では、共に前年同期比で+約80百万円の増益となった。

表1 品目別の販売実績(百万円、前期比%)
           06.9期   07.3中
工業用PF(*)  3,561  -7.5% 1,840
生産設備冶具 1,240 +35.4%  604
そ  の  他   103 -31.6%  30
合     計  4,905  -0.3% 2,476
* プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密部品

 07.9通期の業績予想では、売上高は対前期で微増ながらも、製造原価のコストダウン等によって、対前期比で大幅な増益になる見通し。中間期の進捗状況をみても、通期予想の達成には、特に問題は無さそうにみえる。

 研究開発活動では、メタノールをエネルギー源とした携帯機器用燃料電池のコネクターと、電気式温水タンクに使用する樹脂製の多方弁のバルブとを開発中になっている。これらの研究開発案件が、市場投入が可能になれば、将来は業績に貢献する可能性がある。

株式の状況
ストックオプションの行使には注意が必要
 ベンチャーキャピタルが既存株主になっているが、保有数そのものは大きいものではない。ロックアップはかけられていないものの、VCの保有株式は全数が上場後6ヶ月間の保有確約の対象になっている。また取得原価が1,480円と、想定されている公募価格に近く、上場後の株価動向によっては売却益を計上できるかどうかが微妙なラインになる。

一方で、ストックオプションについては、行使価格も比較的安い上に、残量は発行済み株式数に対して10%以上と大きい。ベンチャーキャピタルの売却よりも、ストックオプション行使の影響力のほうが大きいとみられる。

A. 発行済み株式数 1,874,500株(単元100株)
B. 公募 300千株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 220千株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 290千株
 E. うち潜在株式に算入する数 290千株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 2,464,500株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 52,500株
既存株主へのロックアップ情報: なし。但し、06年9月に実施した第三者割当増資199,500株は、上場後6ヶ月間の保有確約の対象。割当価格は1,480円で、VCの保有株式は全数が、この保有確約の対象。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
04年7月 245千株 517円 06年7月〜14年7月
05年12月 45千株 862円 07年12月〜15年12月

 目論見書での想定発行価格は1,600円で、この価格に基づく公募によるニックスの手取り概算額は、約392百万円とされている。資金使途は、全額を設備資金に充当する予定。



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