IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ナインユー・インターナショナル・リミテッド(3855 大証ヘラクレス)IPO |
赤字箇所は7/3訂正 成長性は十分評価できるが、株式の需給・制度面は課題あり ナインユーグループに対しては、中国当局から各種の優遇税制がとられている模様であり、07.12期の業績予想でも、実質的な法人税の負担は織り込まれていない。 この分を考慮した07.12期の想定EPSは約7千円となる。公募価格仮条件の上限でのPERは約28倍で、現在の中国でのオンラインゲームの拡大・過熱を考えると、業績面からは妥当な価格設定と考える。業績だけをみれば、むしろ割安感もある。 問題は、公募・売り出しでの合計が10万単位あり、調達額も約70億円と比較的大きい点となる。更に、ナインユーの株式を日本国内の投資家が購入するには、わざわざ外国証券口座を開設しなければならない。最近では、外国株だからということで、マーケットでディスカウント評価されることも無いとは想像するが、公募価格から大きく乖離した初値は望みにくいと考える。 連結データ(肩は対前期比(%))
ナインユー・インターナショナルは、当社ナインユーと連結子会社3社から構成されており、中国においてオンラインゲームの企画・開発、配信・運営、自社開発タイトルの中国国外へのライセンス提供、ポータルサイトの運営とインターネット広告等を主な業務としている。 中国の民間リサーチ会社の調査では、中国の大中型カジュアルゲーム市場での、2006年のナインユーグループの売上高シェアは43.6%とのこと。 ナインユーの事業は、オンラインゲームの企画・開発・配信・運営とライセンス提供を行うオンラインゲーム事業部門と、インターネット広告販売とバーチャルアイテムの販売を行うその他の事業部門に2区分される。ポイントの販売代金やロイヤリティ、広告代金等を主な収入源としている。 オンラインゲームの配信・運営では、短時間で気軽にプレイできるカジュアル・オンラインゲームに注力している。音楽に合わせてキー操作を行う音楽シミュレーションゲームや、音楽に合わせてキャラクターを踊らせるダンスシミュレーションゲーム、スポーツシミュレーションゲーム、レーシングゲーム等を提供している。このほか、多人数参加型オンライン・ロールプレイングゲーム(MMORPG)を07年4月末時点で2本提供している。 オンラインゲームでの課金方法は、時間課金や定額課金ではなく、バーチャルアイテムと、オンラインゲームのユーザー間でチャットを行うためのメッセンジャーなどの付加サービスの販売が収入源になっている。 ユーザーは、プリペイメント方式で取得したポイントを使ってバーチャルアイテム等を購入する。ポイントの販売代金は先払いで入金されるが、売上の計上タイミングは、代理店からポイントを購入したユーザーがバーチャルアイテム等を購入した時点となる。 また、ゲームに使うダンスパッドやゲームのキャラクターをプリントしたクッションなどの周辺グッズの販売や、中国国外各地域のオンラインゲーム運営事業者に対してゲームタイトルをライセンス提供することも行っている。 07年4月末時点では、台湾・米国・カナダ・タイ・インドネシア等と欧州31カ国の計41の国・地域でライセンス契約を締結しており、このうち5つの国・地域で、配信・運営が行われている。 インターネット広告販売では、ナインユーグループが運営するポータルサイト上のバナー広告を含むネット広告スペースの販売や、ナインユーグループの配信・運営するオンラインゲーム内に設置するゲーム内広告の販売を行っている。ポータルサイトの07年4月の平均PVは約240万PV/日、ユニークユーザー数は約43万人/日となっている。 |
中国でのオンラインゲームの普及に伴って、業績は大幅に向上している。 07.12期の業績予想に対して、第一四半期の実績はちょうど1/4程度になっている。安定的な業績の会社であれば、「問題のない進捗ペース」だが、オンラインゲーム業種の場合には、毎月業績が伸びている状況にあり、残る3四半期の業績が、第一四半期並みにとどまることは考えにくい。 前年度からの伸び率を考慮しても、07.12期見通しは、相当低めに見積もっている可能性がある。中国で長時間連続でのゲームが問題になるなど、今後は業績を抑える方向でのリスクもあるが、基本的には伸びを持続すると考えるのが妥当だろう。 表1 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%) 05.12期 06.12期 前期比 オンラインゲーム 832 6,784 +614.5% その他事業部門 21 144 +477.6% 合 計 854 6,929 +611.1% 中国の一般的な企業所得税の税率は33%だが、ナインユーグループは、各種の優遇税制の適用を受けている。このため、過年度の決算では実質的な法人税の支払がされていない状態になっている。今後に関しても、優遇税制の適用期限、期間満了後の扱いが不明確な点も多い模様。逆に、これまでは免除されていたものが、後年度に当局から追納を要求される可能性もあり、税額については、不透明な部分が多い。
ストックオプションが比較的大量に発行されているが、期間に応じて行使制限が付けられている上、ロックアップの対象になっているので、当面は希薄化効果が出ないと考えてよいだろう。 一方で、既存株主については、外国企業のため詳細はわからないが社名を見る限りでは、ベンチャーファンドが連なっている状態に見える。ただし、全ての既存株主がロックアップの対象になっている。 A. 発行済み株式数 412,500株(07.4に100:1株式併合後) B. 公募 46千株、増資によるオーバーアロットメント 9,700株 C. 売出し 51千株(売出し元はベンチャーファンド)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 56,200株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 468,200株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 不明だが、ほぼ全数か 既存株主へのロックアップ情報: 全ての既存株主とストックオプションに対して180日間。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 対象株数 行使価格 行使期間 31,600株 5,760円 05年12月〜15年12月 (期日による行使制限つき) 7,900株 16,100円 06年3月〜16年3月 (同上) 16,700株 公募価格 07年5月〜17年5月 (同上) 目論見書での想定発行価格は157千円〜197千円で、この平均価格177千円を基にした、公募によるナインユー・インターナショナルの手取り概算額は、約7,340百万円とされている。 資金使途は、約5,324百万円を新規タイトルの研究開発資金に、約1,093百万円をサーバー等、ゲーム配信のための設備資金に充当し、残額約977百万円は、ライセンスタイトルの獲得資金として使用する予定。
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