IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
きちり(3082 大証ヘラクレス)IPO |
将来の利益拡大はあるかもしれないが、足元の利益伸び率は低め 売上高については、店舗数が順調に増加していることに伴って、これまで高い伸び率で増収になっている。この一方、経常利益段階での伸び率は、07.6期予想では売上高ほどには至っておらず、店舗展開を急拡大ですすめている反面、まだ利益には貢献していない状況にみえる。 07.6期業績予想ベースのEPSは約8,500円で、想定されている公募価格に対するPERは約18倍となる。足元の利益の伸び率を考慮すると、現時点ではPER20から、せいぜい25倍程度までしか評価できない。株価では、20万円辺りが目処と想定する。 個別データ(肩は対前期比(%))
きちりは、団塊の世代ジュニア以降を対象に、現代人の食ニーズに合った「モダン和食」を商品コンセプトとし、「Modern Japanese Dining KICHIRI」と「Casual Dining KICHIRI」を主力業態として、07年5月末時点で大阪府に24店舗、兵庫県に5店舗、京都府に3店舗、奈良県に1店舗、東京都に1店舗の直営による飲食事業を展開している。
きちりのウエブサイトには、6月7日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場承認のニュースコメントが掲載されているだけになっている。 |
06.6期は、「Modern Japanese Dining KICHIRI」を京都に1店舗、「Casual Dining KICHIRI」を大阪・京都・神戸・奈良に10店舗、新業態として、「本格酒場 フクリキ」を出店した。この結果、売上高では、対前期比+約24%の増収、営業利益では前期の赤字から黒字化し、経常利益では対前期比+約560%の増益となった。 06.12中間期では、「Casual Dining KICHIRI」を大阪・東京に6店舗、「本格酒場 フクリキ」を大阪に2店舗出店し、関東圏への進出と利益の拡大を図った。 表1 業態別の販売実績(百万円、前期比%) 06.6期 06.12中 Modern Japanese Dining KICHIRI 355 +8.3% 185 Casual Dining KICHIRI 1,741 +286.8% 1,289 Traditional Dining KICHIRI 196 -19.7% 93 その他 80 +119.9% 90 合計 2,373 +124.1% 1,658 07.6期業績予想では、売上高で対前期比+約51%の増収、経常利益で+約24%、当期利益で+約58%の増益の見通しになっている。中間期までの進捗率をみると、通期予想の達成確度には、特に問題はないと思われる。 一方、売上高の伸び率の割には、利益の伸びが低い見通しになっている。特に、特別損益の状況や税効果会計が反映されている当期利益段階よりも、経常利益段階での伸びの小ささが気になる。
ストックオプションの行使による希薄化効果とベンチャーキャピタルの保有ウエイトは、下記のように相当高い水準にある。しかし、ストックオプションでは、行使価格が15万円のものと30万円のものとがある。上場後の株価動向によるものの、行使価格30万円のものについては、行使は難しいと思われる。 ベンチャーキャピタルの保有分についても、一部に30万円から60万円で割り当てられたものがある。これについては、ストックオプションと同様に当面売却することは難しいだろう。 以上を考慮すると、株価が30万円を超えない限り、株式需給は悪くないと想定する。 A. 発行済み株式数 7,052株(06.6に1:2株式分割後) B. 公募 1,100株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 100株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,070株 E. うち潜在株式に算入する数 1,070株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 9,222株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,052株 既存株主へのロックアップ情報: なし。ただし、05.10と06.6に実施した第三者割当増資321株(事業法人3社合計70株を除いて、ベンチャーキャピタルに割当)については上場後6ヶ月間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年9月 300株 150千円 07年2月〜13年6月 05年9月 770株 300千円 07年10月〜13年6月 目論見書での想定発行価格は152千円で、この価格に基づく公募によるきちりの手取り概算額は約142百万円とされている。資金使途は、全額を設備投資資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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