IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ニューフレアテクノロジー(6256 JASDAQ)IPO |
成長性は高く見えるが、未達リスクもありえる 業績面では好調を継続している上に、新規参入分野の業績貢献も、将来見通しには織り込まれているのではないかと考える。このため、会社発表の業績予想では成長性が高い反面、成功するかどうかのリスクが相当存在するとみる。 業績面では強い一方で、東芝グループとしてのディスカウント要素がある。この点では上場時点で高い評価を得られる可能性は低く、更に業績については下振れリスクを考慮する必要があるとみる。 08.3期業績予想ベースのEPSからの想定公募価格のPERは約12倍となるが、この価格レンジで当面は十分な評価ではないかと考える。 個別データ(肩は対前期比(%))
ニューフレアテクノロジーは、東芝機械の半導体装置事業を分社化する形で、02年に設立された。ニューフレアテクノロジーでは、電子ビームマスク描画装置、エピタキシャル成長装置、マスク検査装置の3製品を中心とした半導体製造装置の開発、製造、販売を主たる事業としている。当社は東芝機械の子会社、東芝の関連会社に該当する。 電子ビームマスク描画装置は、LSI製造工程において、電子ビームを用いてナノ・オーダーの微細な電子回路パターンを回路原版(フォトマスク)となる感光剤を塗布した石英ガラス基板上に描画する装置。 エピタキシャル成長装置は、半導体製造の基盤材料であるシリコンウエハ上に、下地の基板の結晶面にそろえてシリコン単結晶を成長させる装置。パソコンやワークステーションに搭載される高性能MPUには表面に結晶欠陥のほとんどないエピタキシャルウエハが用いられている。 マスク検査装置は、フォトマスクに形成された電子回路パターンを検査する装置で、紫外線の中でもより短波長な深紫外レーザーを光源とした光学技術をコアとして構成されている。ニューフレアテクノロジーでは、国内協力会社と顧客であるフォトマスクメーカー等で共同開発した技術成果を製品化し、06年6月に事業参入することを決定した。当社の今後の成長分野と位置付けられている。
ニューフレアテクノロジーのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページは既に設置されている。ただ、現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージだけとなっている。コンテンツに関しては、今後を期待。 |
06.3期はパソコンや携帯電話向け半導体デバイスの需要が好調であり、また携帯型オーディオプレーヤーやデジタルカメラ向けフラッシュメモリ需要が好調に推移した。これを背景として、ニューフレアテクノロジーでは、主力の電子ビームマスク描画装置を中心に受注が順調に推移し、売上高は、対前期比+約19%の増収となった。 販売費・一般管理費は増加したものの、売上原価率の低下によって、経常利益・当期利益でも売上高とほぼ同水準の対前期比+約20%強の増益となった。 06.9中間期でも、デジタル民生品向けの半導体デバイスが引き続き好調で、電子ビームマスク描画装置などの受注は好調に推移している模様。07.3通期の業績予想でも、上期の好調が下期も継続する見通しになっている。ただし、上期の実績を下期の業績が大幅に上回る見通しになっている点には、リスクがあるとみる。 表1 事業部門別の販売実績 06.3期 06.9中 電子ビームマスク 15,055 +14.9% 7,541 エピタキシャル 972 +10.4% 519 マスク検査 1,054 +220.4% 22 合計 17,083 +19.3% 8,084 08.3期の業績予想では、更に対前期伸び率の高い売上・利益になる見通しになっている。新規参入を予定しているマスク検査装置分野の業績貢献が加味されているのではないかと思われるが、実績の無い新規参入分野での業績貢献を大きく考慮することには、違和感がある。08.3期について、現在の段階ではここまでの増収増益に本当になるのかの確証はない。
東芝グループの会社ということで、ベンチャーキャピタルの保有等はない。既存株主としては、東芝と東芝機械のウエイトが圧倒的に大きい。当社をグループ内に留まらせたいと考えるなら、売り出し以上に保有株式を売却することはないだろうが、グループ内取引はそれほど大きくない模様なので、保有株を更に売却して、グループ外へのスピンアウトを図る可能性もありえる。 A. 発行済み株式数 90,000株 B. 公募 10,000株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 8,500株(売出し元は東芝機械)、既発株のオーバーアロットメント 2,500株 D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 100千株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者6名と東芝機械、東芝に180日間。対象株数は8,600株。但し、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。 目論見書での想定発行価格は215千円で、この価格に基づく公募によるニューフレアテクノロジーの手取り概算額は約1,979百万円とされている。ニューフレアテクノロジーでは、06年6月にマスク検査装置事業への参入を決定しており、資金使途は、電子ビームマスク描画装置と、エピタキシャル成長装置、マスク検査装置の生産能力の増強のために開設した横浜事業所の建設資金の一部に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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