IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
サイバーコム(3852 JASDAQ)IPO |
今後の成長性を見込めば、想定公募価格には割安感はある 足元の成長性は、ユビキタス関連のインフラ整備等の関連で活況になっている模様で、年率10%強の成長率は望める内容になっている。 08.3期は、これまで成長を牽引してきたソフトウエア関連では伸びずに、前期に大幅な減収となった他の2分野での増収が見込まれている。この点では成長ドライバーに陰りが出てきている可能性があるものの、会社予想を前提とした08.3期予想EPSは約185円となる。想定されている公募価格のPERは10倍強に過ぎないので、サイバーコムの当面の成長性を考慮すると、十分にディスカウントされているとみる。 株式需給にも問題はないが、富士ソフト(9749)との親子上場になる点は、割り引いて考える必要がある。 個別データ(肩は対前期比(%))
サイバーコムは、富士ソフト(9749)グループに属しており、グループ内では通信系分野のソフトウエア開発を行う企業として位置付けられている。 サイバーコムの事業は、主として通信インフラ網に関わる製品・システムなどを手掛ける通信基盤分野を中心としたソフトウエアの受託開発を行うソフトウエア開発事業を主力事業としている。また、多様化する顧客ニーズへの対応として、テクニカルサービス事業と、ITコンポーネント事業を展開している。 サイバーコムが受託開発する通信系ソフトウエアの概要は以下の通り。 ■通信基盤分野 ・ 携帯電話網における基地局・制御局に関わるソフトウエア開発 ・ 次世代ネットワークシステムにおける制御・管理ソフトウエア開発 ■通信端末分野 ・ 携帯電話に搭載される通信ソフトウエア開発 ・ ネットワーク融合型カーナビゲーションに関わるソフトウエア開発 ■通信ソリューション分野 ・ 映像配信システムのソフトウエア開発 ・ ECショッピングサイトシステムのソフトウエア開発 制御系ソフトウエアでは、工業用ロボットの制御や、複合機・複写機・印刷機に搭載され制御を行うソフトウエア開発、各種デジタル家電に搭載され制御を行うソフトウエア開発、鉄道・航空分野で自動改札機の制御を行うソフトウエア開発などを行っている。 業務系ソフトウエアでは、作業日報読み込み、セキュリティ診断、業務電話管理用などのソフトウエア開発を行っている。 テクニカルサービス事業では、システム導入・運用、コンサルティング、教育、ネットワークの設計・構築・保守、サーバー機器の管理、セキュリティ構築、携帯電話やIP通信機器の製品評価等、顧客企業のシステム等に関する各種ニーズに対応して、ソフトウエア開発に付随した各種サービスを提供している。 ITコンポーネント事業では、テクニカルサービス事業の受注案件に付帯する形で、PC等の機器類・ソフトウエア等の仕入れ販売を行っている。 |
07.3期の売上高は、ソフトウエア開発事業では、ユビキタス関連で市場が活性化している次世代通信ネットワークの基盤である次世代ネットワーク関連の受注が好調に推移していることから、対前期比+約23%の増収。一方、それ以外のテクニカルサービス事業とITコンポーネント事業では、ソフトウエア開発事業に注力した反動で、売上高は前期割れの水準となった。売上高全体では、対前期比+約21%の増収。 コスト面では、従業員の増加や受注量の拡大と開発業務の効率化のための外注要員の増加によって外注費が増加したことなどで、営業費用全体では、売上高の対前期伸び率と同じ水準で増加した。この結果、営業利益段階では、対前期比+約18%の増益。 08.3期には、売上高では、ソフトウエア開発事業では、対前期比+約9%と、実績と比較すると低い伸びを見込んでいる一方で、前期には減収となったテクニカルサービス事業とITコンポーネント事業では、大幅な増収が見込まれている。売上高全体では、対前期比+約11%の増収の見通し。 営業費用では、前期に引き続いて労務費・外注費関連のコスト増加が売上高の伸び率とほぼ同水準で見込まれており、営業利益では対前期比+約14%の増益の見通し。 表1 事業の種類別販売実績(百万円、前期比%) 06.3期 06.9中 通信系ソフト 5,468 +44.4% 3,214 制御系ソフト 930 +23.8% 515 業務系ソフト 143 +111.5% 113 ソフトウエア開発計 6,542 +42.1% 3,843 テクニカルサービス 333 -30.0% 152 ITコンポーネント 89 -71.6% 23 合計 6,965 +29.1% 4,019 親会社である富士ソフトに対する売上高の全体に占めるシェアは、05.3期の62%から、06.3期50%、07.3期31%と徐々に低下している。親会社の業績や取引条件によって、サイバーコムの業績が左右されるリスクは、軽減される方向にあると見てよいだろう。
上場後も、親会社である富士ソフトの持株数は1,100千株強あり、上場後に追加売却をしない限りは、過半数を維持することになる。主要な既存株主は、軒並みロックアップ対象になっており、株式の需給面には問題はない。 A. 発行済み株式数 1,655,400株(単元100株、05.1に1:30株式分割後) B. 公募 350千株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 100千株(売出し元は富士ソフト)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 2,005,400株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: 売り出し人の富士ソフトの他、会社関係者23名に180日間。対象株数は1,393,800株。 目論見書での想定発行価格は1,900円で、公募によるサイバーコムの手取り概算額は約635百万円とされている。資金使途は、95百万円を今後の事業展開に備えた人材教育費・人材採用費に、残額については、業容拡大に伴う運転資金に充当する予定。
サイバーコムのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、電子公告、財務情報となっている。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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