IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
日本テクノ・ラボ(3849 札証アンビシャス)IPO |
業績見通しが本当に達成できるのであれば、割安な価格設定 会社発表の08.3期予想が達成されることを前提とすれば、06.3期から07.3期にかけての業績の急改善は特殊な事情によるものであることを考慮しても、業績は順調に、かつIT関連ビジネスとしては妥当な成長率で業績が伸びることになる。 この前提では、08.3期予想EPS約8千円に対して、PER約13倍で想定されている公募価格には割安感がある。 問題は、08.3期予想が本当に達成できるのか、と地方上場である点の2点。足元の業績は、プリンター関連が伸び悩み、主力事業ではないセキュリティ関連が牽引している状態であり、利益目標の達成は割り引いて見たほうが良いと考えられる。 以上の2点を考慮して、当面はPER20倍程度の15万円近辺までで価格想定することが安全策と考える。 個別データ(肩は対前期比(%))
日本テクノ・ラボは、特殊・産業向けのプリンター・プロッターのコントローラーと、コントローラー用ソフトウエア(制御システムソフトウエア)の開発・販売を行う、プリントサーバ事業を主たる業務としている。 その他の事業として、ファイルストレージソリューション事業、セキュリティ事業、受託開発事業、カスタマーソリューション事業の4事業、計5事業を展開している。 プリントサーバ事業では、プリンターメーカーからのプリンターにかかる制御システムソフトウエアの開発依頼に基づいて、日本テクノ・ラボが開発を行う。開発期間は1〜2年程度で、開発費は全額がメーカー側の負担になっている。開発終了後は、プリンターメーカー等に対して、開発したソフトウエアをOEM販売する。OEM販売期間は、概ね4〜5年で、この期間中はプリンターの販売台数に応じてロイヤリティ収入が当社に支払われる。 ファイルストレージソリューション事業では、1つのボックスにDVD等の複数の記録メディアを収納して、読み込み、取り出し、閲覧が可能となる大容量光ディスクオートチェンジャー装置の販売と、オートチェンジャーを管理するソフトウエアの開発・販売等を行っている。主な最終ユーザーは、官公庁や医療機関等、個人情報を含む大量の情報の取り扱い・管理が求められる法人等であり、大手システムインテグレータ等を通じて販売する。 セキュリティ事業では、パソコン端末への利用制限とパソコン内データの暗号化・複号化の2つの機能を持つUSBデバイス型の製品の販売と、ソフトウエアの不正利用、不正コピーを防止するUSBデバイス型の製品の販売と、本人認証・会員認証システムの構築等のシステムインテグレーションを行っている。
日本テクノ・ラボのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライトとなっている。 先に言及した特別損失の原因となった訴訟に関しては、具体的な内容が目論見書に記載されていない。解決済みなので記載不要と判断したと推測するが、直近年度に計上した特別損失に関わることであり、かつ、これでは今後引き続いてコストが発生するのではないか、という疑念が解消されない点では、開示上の重要な課題だったのではないかと考える。 |
06.3期の部門別の販売実績では、プリントサーバ事業で、一部のプリンターメーカーに対するハードウエアの供給を在庫リスクの軽減等を目的に廃止・縮小したことで、売上高は対前期比マイナス約5%の減収となった。 ファイルストレージソリューション事業では、DVD対応光ディスクオートチェンジャーの制御ソフトウエアの販売が伸びなかったことから、対前期比マイナス36%の減収となった。 セキュリティ・新規・その他の事業では、セキュリティに対する昨今の高い関心を追い風に、販売は増加し、対前期比+約53%の増収となった。 以上の結果、06.3期は、売上高で対前期比マイナス約17%となった。営業外収益でレバレッジドリース取引の約定償還による収益を計上したことで、経常利益段階では、ほぼ前期並みに回復しているが、本業での収益増加ではないので、評価はしにくい。 また、特別損失として、弁護士費用等の訴訟費用約58百万円を計上したことで、当期利益は前期と比較して大幅に減少した。 表1 事業部門別販売実績(百万円、前期比%) 06.3期 06.9中 プリントサーバ 519 -5.5% 202 ファイル・・・ 152 -36.5% 88 セキュリティ他 56 -11.7% 127 受託開発 34 -63.6% 18 カスタマーソリューション85 +8.1% 33 合計 848 -17.4% 470 システム開発関連の企業ではよくあるが、ユーザーの検収や予算の執行、納期が下半期・年度末に集中する傾向がある。このため、日本テクノ・ラボの場合も売上・利益が下半期に偏重して計上される傾向がある。過去の実績では、売上高の上期:下期の比率が05.3期で44:56、06.3期で48:52、営業利益では、05.3期で3:97、06.3期で-20:120となっている。特に利益面での下半期偏重傾向が強い。 06.3期実績を見ると、あまり芳しくない業績だが、07.3期については、第三四半期まで実績が発表されている。07.3期の通期業績見通し自体は、06.3期と比較して、増収増益で相当改善される想定になっている。これに対して、第三四半期までの進捗ペースも、至って順調に推移している。 06.3期の業績がネガティブ方向で目立つのだが、07.3期以降は改善される見通しであり、かつ、今のところ進捗状況も順調ということで、一定の評価はできるだろう。
ストックオプションは無いが、ベンチャーキャピタルの保有ウエイトは約4割と高い水準にある。VC保有分のうち一部はロックアップの対象になっているが、むしろ即売却可能なボリュームのほうが大きいので、ロックアップの実効性には乏しい。 A. 発行済み株式数 10,980株 B. 公募 500株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 900株(売出し元はCSKファイナンス)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 11,480株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 4,482株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者1名(4,126株)とベンチャーキャピタル3社に180日間。このうちVC2社の保有分1,377株については、ロックアップ対象は688株。VCの残る1社は1,170株保有で、ロックアップ対象は合計5,984株。発行価格の2倍以上での市場売却は可能。 目論見書での想定発行価格は10万円で、この価格に基づく公募による日本テクノ・ラボの手取り概算額は約35百万円とされている。資金使途は、A4サイズ等の大判インクジェットプリンタのヘッド制御技術とその関連技術の開発投資に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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