| IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
カービュー(2155 マザーズ)IPO |
ソフトバンクとマイクロソフトには成功報酬が入るが 運営サイトのページビュー数が順調に増加していること、事業の再構築を行って利益幅の大きい事業モデルにシフトしたことで、足元では、IT関連企業の中でも特に目立つ増収増益率を達成している。 グロース銘柄として十分評価・期待できる業績ではあるが、一方で想定されている公募価格のPERは08.3期予想EPSベースで約80倍と、既に相当高い評価が織り込まれている。他のインターネット広告関連企業では、伸び悩んでいる企業もある中で、ここからの上値を期待することにはリスクがあると考える。 連結データ(肩は対前期比(%))
カービューは親会社であるソフトバンクとマイクロソフトが合弁で、マイクロソフトが米国で行っていた自動車総合ウエブサイトの運営を日本で行うために、社名変更の上で従来の放送事業からインターネット事業へと事業の再構築を行った。カービューグループは、当社カービューと連結子会社1社から構成されており、インターネット広告事業とコンサルティング事業を主たる事業としている。 インターネット広告事業では、カービューグループが運営する自動車総合ウエブサイト「carview.co.jp」において、見積り情報や在庫情報等を希望するユーザーと、「eCRMシステム」を利用している企業を結びつけるリスティング広告事業と、「carview.co.jp」を広告媒体として同ウエブサイトに掲載するインターネット広告等の企画・掲載を事業とするメディア広告事業の2つの事業から構成されている。 リスティング広告事業の代表的な広告サービスである「中古車査定仲介サービス」は、ユーザーが入力する郵便番号等の情報に連動して表示される事業者のロゴを掲載し、ユーザーによる任意の事業者の選択によって選択された事業者に見積りを依頼する広告形態になっている。見積り依頼提供数に応じてサービス利用料を事業者から受け取っている。なお、ユーザーからの見積り依頼を獲得するために、積極的に他社ウエブサイト等に広告出稿を行っており、その費用はこのサービスの売上に対する原価として計上されている。 メディア広告事業では、主に自動車メーカーを中心とするナショナルクライアントを対象として、想定インプレッション型広告掲載サービスと、タイアップ企画型広告掲載サービスの2つの広告掲載サービスを提供している。 想定インプレッション型広告掲載サービスでは、「carview.co.jp」のあらかじめ定められた広告掲載枠に、文字・静止画・動画等の形式による広告を掲載することで、同サイトを訪問する不特定多数の利用者に掲載した広告を訴求する広告形態で、掲載内容と掲載期間等に応じて、広告掲載料を受け取っている。 タイアップ型広告掲載サービスは、カービューグループが広告の訴求方法、掲載場所等の企画を立案して広告主に提案し、独自性のある広告を制作・掲載し、サイトを訪問する利用者に広告を訴求する広告形態。掲載内容と掲載期間等に応じて、広告掲載料を受け取っている。 コンサルティング事業では、主に「tradecarview.com」を活用して情報掲載サービスを利用する国内輸出事業者を対象に、海外中古車輸入事業者の開拓、紹介を行うマーケティングサービス、輸出手続き等の指導、実地研修を行うコンサルティングサービスを提供している。 その他の事業として、自動車保険の代理店事業を行っている。
カービューのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に掲載されている。現在掲載されているコンテンツは、上場に関する資料、ニュースリリースだけになっている。 |
06.3期の自動車総合サイト「carview.co.jp」は、クルマに特化した専門性の高いソーシャル・ネットワーキング・サービスである「みんなのカーライフ」の成長が貢献し、06年3月の月間総ページビュー数は、約2億6千万ページ(前年同月比+103%)となった。 インターネット広告事業では、中古車査定仲介サービスなどが堅調に推移したことや、国内中古車輸出事業者向け広告サービスと中古車の基本的な動作の故障を保証する「カービュー保証」の新規サービスを開始したこと等によって、リスティング広告は売上高で対前期比約17%の増収、営業利益では対前期比+約15%の増益となった。 メディア広告事業では、運営サイトのページビュー数が増加したことで、広告掲載枠が増大し、売上高で対前期比+約146%の増収、営業利益で+約214%の増益と、大幅な増収増益となった。 05.3期には、主に国内自動車オークション等から中古車を購入し、ウエブサイトに中古車在庫情報を掲載して、海外中古車輸入事業者向けに中古車を輸出していたeコマース事業については、06.3期に事業の再構築を行って、カービューグループが中古車を購入して海外に輸出する事業を停止する一方で、ウエブサイトを国内の中古車輸出事業者に開放し、これらの事業者がサイトを利用したリスティング広告とコンサルティング事業に移行した。この結果、eコマース事業の売上高が減少した一方で、事業の再構築によって増益に貢献した。 上記の結果、全体の売上高では対前期比マイナス約14%の減収となったが、事業再構築の影響を大きく受けた結果の減収であり、経常利益段階では逆に対前期比で4倍を超える大幅な増益となった。事業運営を上手に修正したということで評価すればよいだろう。 06.9中間期では、06年9月の「carview.co.jp」月間ページビュー数は、約2億9千万PV(前年同月比+約167%)と、前期に引き続いて倍増以上の伸びを継続している。PV数の増加を背景として、リスティング広告、メディア広告、コンサルティング事業は共に堅調に推移している模様。 表1 事業の種類別販売実績(百万円、前期比%) 06.3期 06.9中 リスティング広告 2,369 +17.3% 1,607 メディア広告 193 +146.4% 106 コンサルティング事業 26 -- 23 その他の事業 255 -- 2 合計 2,845 -14.1% 1,739 08.3期業績予想でも、前期までに引き続いて高い伸び率での増収増益が予定されている。足元のサイトのPV数の増加率を見ると、順当な想定と思われる。当期利益の対前期伸び率は低いが、08.3期から本来の税率での税負担が発生する模様。
既存株主に対しては、ストックオプションの一部が保有確約の対象になっている点を除いて、ロックアップは付されていない。しかし、シェアの大きい既存株主であるソフトバンクとマイクロソフトが、早々に保有株を手放すことは、今後の事業運営上、考えにくい。即行使可能なストックオプション以外には追加的に市中で出回る株式は多くは無いと想定する。 A. 発行済み株式数 27,440株 B. 公募 2,500株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 3,550株(売出し元はソフトバンク1,000株、マイクロソフト2,500株、会社関係者50株)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,903株 E. うち潜在株式に算入する数 1,570株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 31,510株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: なし。ただし、ストックオプションの一部約420株は上場後6ヶ月間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 02年9月 1,270株 22千円 04年10月〜09年9月 04年12月 330株 100千円 07年1月〜11年12月 06年6月 303株 127千円 08年10月〜13年9月(時期による行使制限あり) 目論見書での想定発行価格は150万円で、公募によるカービューの手取り概算額は約3,420百万円とされている。資金使途は、コンテンツサービスの拡充や、安定した運用のための設備投資に1,800百万円、人材確保や人材育成、人員増に対応した事業所拡充に600百万円を充当する予定。 |
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