8771イー・ギャランティIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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イー・ギャランティ(8771 JASDAQ)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:その他金融業

面白い業態だが、今後の成長性を十分織り込んだ公募価格の想定に
 繰越欠損金がまだ残っているため、07.3期の業績見通しでも依然として法人税の実質的な負担がなし状態になっている。この分を考慮した07.3期の実力ベースでのEPSは約5千円と想定する。

 上記EPSでみた想定されている公募価格のPERは約50倍以上と、高いバリュエーションで設定されている。イー・ギャランティでは、金融法人向けサービスが事業を始めたばかりでまだ業績貢献していないが、この新規ビジネスでの業績の伸びなどが想定公募価格には織り込まれているとみられる。

 面白みのある業態だが、公募価格には今後の成長性も十分織り込まれていると考える。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3予
売上高(百万円)
682
52.8%
1,042

626
30.6%
1,361
営業利益(百万円)
59
138.4%
142

77

--
経常利益(百万円)
58
148.7%
144

77
19.5%
172
当期利益(百万円)
115
38.3%
159

80
-9.4%
144
総資産(百万円)
純資産(百万円)
1,390
842
1,724
1,001
1,834
1,081
--
--
株主資本比率(%) 60.6% 58.1% 59.0% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
4.2%
13.6%
8.3%
15.9%
4.2%
7.4%
--
--
発行済株式数 20.2 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
5,686
41,707
7,867
49,573
3,936
53,510
7,129
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
事業法人、金融法人向け信用保証事業
 イー・ギャランティは伊藤忠商事の企業グループに属し、金融・不動産・保険・物流カンパニーの保険部門の事業会社として、事業法人・金融法人向けに企業の債権保証を行っている。

 具体的には、地方銀行14行と大手都市銀行の保険代理店子会社2社と提携し、全国で、商取引や金融サービスの提供に伴うリスクの引受けを行っている。引き受けたリスクは、金融機関等の嗜好に合致したポートフォリオを組成して、リスク商品とし、業態の異なる金融機関に再保証を委託する形で、リスク移転を行う。

 イー・ギャランティで提供するサービスは、事業法人向け保証サービスと金融法人向け保証サービスの2種となっている。

 事業法人向けでは、売上債権を主とした売買契約や請負契約等、事業会社間に生じる商取引上の債権回収リスクの保証受託を行う。このサービスでは、契約先の取引先が倒産等の事由によって債務不履行になった場合に、あらかじめ設定をした支払い限度額を上限として、イー・ギャランティが保証金を支払う。契約先にとっては、未回収リスクを最小限にすることが可能となる。

 金融法人向けでは、金融機関等が保有する各種債権に関する信用リスクを保証受託している。イー・ギャランティが信用リスクを保証受託し、再保証委託先のニーズに応じて運用商品として組成し、金融機関等に再保証委託することで、金融機関等が保有するクレジットリスクを交換している。


収支の状況
07.3期も金融法人向けサービスの業績貢献は小
 06.3期は、事業法人向けで、従来は首都圏・近畿圏を中心としていた営業範囲を全国に拡大したことや広告宣伝の強化による認知度上昇、地方銀行などとの提携による販路の拡大など、更に、近畿圏では大阪支店を開設したこともあって、契約数が順調に増加した。売上高は対前期比+約53%の増収となった。

 金融法人向けサービスでは、企業間電子商取引決済サービスでの取引縮小の影響で決済保証残高が減少したものの、リース会社の行う保証に対する再保証を開始したこと、前期に開始したクレジットカード会社向けの保証サービスが通期で売上高に寄与したことなどによって、対前期比+約46%の増収となった。

表1 顧客数の推移(件)
04.3末 05.3末 06.3末 06.9末
 90   183   289   356

表2 商品別販売実績(百万円、前期比%)
          06.3期  06.9中
事業法人向け 956 +53.3% 593
金融法人向け  85 +46.7%  32
合計      1,041 +52.8% 625

 07.3期業績予想では、倒産件数が緩やかな増加基調であることと、地方銀行チャネル経由での優良契約者の取り込みを背景として、事業法人向け保証サービスでの保証契約数の順調な増加を見込んでいる。金融法人向け保証サービスは、本格的な業績貢献は来期以降になると見込み、売上高全体では、対前期比+約30%の増収の見通し。

 費用面では、業績の拡大に伴って人員の採用費用が増加したこと等で、売上高以上の対前年比でコスト増になる計画となっており、経常利益段階では対前期比+約19%の増益に留まる見通しになっている。

 イー・ギャランティは伊藤忠商事を親会社としているが、伊藤忠商事グループとの取引は、全売上高のうち12%程度にすぎない。大半は、グループ外との取引になっている。

 06.3期末時点での繰り越し欠損金が307百万円あり、このために06.3期までは実質的な法人税負担がされていない。欠損金の規模は、06.3期並みの決算であれば丸2年経過しないと一掃できない規模になっている。このため、07.3期は法人税負担のない形での決算になる可能性が高い。

株式の状況
ベンチャーキャピタル保有株のロックアップ期間だけ90日と短い
 ストックオプションの未行使残高はあるが、ボリュームは大きくない上、行使できるようになるのは1年以上先になる。

 取引先金融機関等の保有株もロックアップの対象になっているが、実際に売却する可能性はベンチャーキャピタルほど高くないとみるのが一般的であり、余り気にする必要はないだろう。ベンチャーキャピタルの保有株のロックアップ期間は90日と短く設定されており、こちらのほうには留意する必要がある。

A. 発行済み株式数 19,200株
B. 公募 1,000株、増資によるオーバーアロットメント なし
C. 売出し 1,498株(売出し元は伊藤忠商事500株、残はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント 200株
D. ストックオプション等の残高総数 695株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 20,200株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 5,284株
既存株主へのロックアップ情報:ベンチャーキャピタル6組合に90日間、対象株数は4,286株。親会社の伊藤忠商事と、帝国データバンク、取引先金融機関等4社に180日間、株数は12,216株。合計の対象株数は16,502株。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議  対象株数 行使価格 行使期間
06年10月 695株 18万円 08年11月〜14年10月

 目論見書での想定発行価格は253千円で、この価格に基づく公募によるイー・ギャランティの手取り概算額は233百万円とされている。資金使途は、審査能力・経理能力拡充のためのシステム開発投資に100百万円、営業網拡大のための支店開設に10百万円、残額を金融法人向け保証サービスでの金融機関担保金に充当する予定。

情報開示の状況
実質的には開示なし
 イー・ギャランティのウエブサイトには2月5日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場関連のニュースリリースと決算広告は掲載されている。

IPOを申し込む時に便利な銀行・証券会社はどこか?管理人が解説します > 「IPOのための証券会社・銀行選び」

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