7822永大産業IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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永大産業(7822 東証二部)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:その他製品

現在の収益構造では、配当利回り以上に評価することは難しい
 原料コスト等の増加によって07.3期は対前期で減益の見通しになっている。元々過年度から、売上高営業利益率に代表される収益性が高くないことに加えて、原料コストの動向によっては、低水準の利益計上が今後も続く可能性もある。

 想定公募価格に対する07.3期予想EPS28円でのPERは約18倍だが、この水準まで評価することすら、難しい状況とみる。株価500円であれば、予想配当利回りは2%となり、この辺りが下支えのラインになると想定する。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3予
売上高(百万円)
75,799
3.8%
78,702

39,261
4.7%
82,400
営業利益(百万円)
1,139
43.2%
1,631

285

--
経常利益(百万円)
1,427
19.1%
1,699

359
-11.7%
1,500
当期利益(百万円)
1,387
15.4%
1,601

253
-18.8%
1,300
総資産(百万円)
純資産(百万円)
70,401
38,322
67,873
40,170
69,378
40,323
--
--
株主資本比率(%) 54.4% 59.2% 58.1% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
2.0%
3.6%
2.5%
4.0%
0.5%
0.6%
--
--
発行済株式数 46,500 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
29.8
824.1
34.4
863.9
5.4
867.2
28.0
--
配当(円/株) 5 8 -- 10

事業概要
住宅用の木質建材と設備機器の製造・販売
 永大産業はかつて東証・大証の一部に上場していた。昭和50年代に会社更生手続きを申し立てることになり、これを受けて一旦上場を廃止した。その後、平成5年に会社更生手続きを終了し、今回の再上場に至っている。

 永大産業グループは、永大産業と連結子会社3社、非連結子会社6社、関連会社2社から構成されており、住宅用の木質健在と設備機器の製造・販売を主たる事業としている。

 事業セグメントとしては、住宅資材事業とエンジニアリングボード事業に2区分される。それぞれの事業セグメントでの主な製品は以下の通り。

■住宅資材事業
建材分野: 合板を基材とした複合フローリング、プリント合板壁材、その他床材、階段セット
内装システム分野: 室内ドア、システム収納、玄関収納
住設分野: システムキッチン、バス、洗面化粧台
その他分野: ツーバイフォー住宅の構造材、中高層集合住宅の内装資材、住宅資材の施工、リフォーム

■エンジニアリングボード事業
パーティクルボード分野: 素材パーティクルボード(木材の廃材をチップ化して接着剤を塗布して熱圧成型したもの)、化粧パーティクルボード(前記ボードの表面にウレタン樹脂等でコーティングした化粧紙を貼り加工したもの)


収支の状況
07.3期は原料コスト増などにより、対前期で減益の見通し
 06.3期は、住宅資材事業では、戸建て持ち家の着工戸数が減少したことで、売上高は前期比+0.2%とほぼ横這いとなった。利益面では、コストダウンと利益率の高い商品の拡販を行ったことで、営業利益で対前期比+約35%の増収となった。

 エンジニアリングボード事業では、新規に子会社を連結した効果で売上高は前期比+約38%の増収となったものの、原料チップと原油価格の高騰による接着剤価格の上昇などによって利益率が低下し、営業利益ではマイナス約41%の大幅な減益となった。ただし、事業規模は、住宅資材事業のほうが大きいため、当事業での減益影響は吸収された結果、全体では増益となった。

 06.9中間期は、住宅資材事業で、売上高はほぼ前年同期並みの+1%となったが、南洋材を中心に輸入合板が高騰したことから、営業利益ではマイナス23%の減益。エンジニアリングボード事業でも、売上高は前年同期並みの水準を維持したが、価格競争の激化や原料等の価格上昇が継続したことから、営業利益では前期比マイナス49%の減益となった。全体では、+1%の増収、マイナス53%の経常減益。中間実績を反映して、07.3期通期の業績予想も、対前期で減益の見通し。

 収益の上がっていた06.3期でもセグメント別の営業利益率は特に高くなく、共通費用を控除した後の連結ベースでの利益率は一段と低い。06.9中間期には原料コストの上昇などの逆風によって、ここから更に利益率が悪化しており、連結ベースでは1%を切る水準まで低下している。

資源価格の高騰に対して事業構造が弱いことを示す結果になっている。07年1月時点では、一時期と比べると原油価格は下がってきているので、06.9中間期ほどの影響は下期には出ないかもしれないが、ここまで事業構造が脆弱な点は、投資リスクと考えざるをえない。

表1 事業セグメント別の利益率(百万円、%)
   住宅資材 エンジニアリング 連結
06.3期売上高  67,733 10,968 78,702
06.3期営業利益 2,996   385  1,631
06.3期利益率   4.4%  3.5%  2.1%
06.9中売上高  33,935 5,325  39,261
06.9中営業利益 1,080   102   285
06.9中利益率   3.2% 1.9%   0.7%

 永大産業は、06年9月末時点で約50億円の税務上の繰越欠損金を持っているこのため、これまでの決算では法人税の負担が軽減されている。

株式の状況
法人保有分の売却可能性もあるが、不透明要素
 ストックオプションはなく、ベンチャーキャピタルの保有ウエイトも低い。しかし、関連企業などによる資本支援が行われた結果、数多くの事業法人・金融機関が株式を保有する状況になっている。大半の既存株主はロックアップ対象にはなっていないので、売却の可能性はある。ただ、こうした法人の場合には、永大産業側と売却しないことで合意している可能性もあり、実態はわからない。

A. 発行済み株式数 42,000千株(単元1,000株)
B. 公募 4,000千株、増資によるオーバーアロットメント 500千株
C. 売出し 500千株(売出し元は東銀リース)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 0株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 46,500千株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 153千株
既存株主へのロックアップ情報:金融機関等の法人8社と会社役員に180日間。但し、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。対象株数は13,456千株超(会社役員分は僅少のため計算外)

 目論見書での想定発行価格は520円で、この価格に基づく公募による永大産業の手取り概算額は約1,908百万円とされている。資金使途は、全額を設備資金に充当する予定。

情報開示の状況
決算広告等だけが開示
 永大産業のウエブサイトには、1月26日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社情報として、決算広告と財務情報が掲載されているだけとなっている。上場承認に関するニュースリリースも掲載されていない。


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