5758FCM IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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FCM(5758 ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:非鉄金属

初値が高騰しないほうが面白い銘柄かも
 古河電気工業のグループ内会社である点が割引材料。しかし、業績自体は、電子部品関連事業の好調さを反映して、大きく伸びている。更に、原料となる銅などの価格が高騰した場合でも、コストパススルーする事業構造になっているとのことで、業績の安定感もある。株式需給面では大多数の既存株主はロックアップ対象になっている点も、評価材料となる。

 07.3期業績予想に基づくEPS約175円での想定公募価格のPERは約13倍となる。比較的地味な業態である点と、親子上場等のネガティブ要素もあるので、初値は高騰しないかもしれないが、業績には安定感があるため、長期保有すればPER20-25倍の4,000円程度まで評価される時が来るのではないかと想定する。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3予
売上高(百万円)
16,750
28.1%
21,455

13,726
25.2%
26,866
営業利益(百万円)
284
48.4%
421

278

--
経常利益(百万円)
223
77.3%
395

262
27.6%
504
当期利益(百万円)
161
37.9%
222

167
34.3%
298
総資産(百万円)
純資産(百万円)
8,371
1,498
9,820
1,617
11,537
1,714
--
--
株主資本比率(%) 17.9% 16.5% 14.9% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
2.7%
10.7%
4.0%
13.7%
2.3%
9.7%
--
--
発行済株式数 1,704.267 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
94.4
878.7
130.2
948.7
98.0
1,005.9
174.9
--
配当(円/株) 60 83 37 54(中含)

事業概要
金属メッキ事業とフィルム・特殊機能材事業、伸線事業
 FCMは古河電気工業グループに属し、その中で、電装・エレクトロニクス部門に属する。FCMは、電気機器や電子部品に使用されている材料・部品の金属メッキ加工、化学処理加工、製造・販売を主たる業務とする電子機能材事業と、電線用心線や特殊線材の伸線加工・販売を主たる業務とする電気機能線材事業を行っている。

 電子機能材事業には、金属メッキ加工部門とフィルム・特殊機能材部門がある。金属メッキ加工部門では、携帯電話・デジタルカメラ・パソコン・薄型テレビなどに使われるコネクタ・コンデンサ・スイッチ・センサ等の電子部品について、販売先から支給されものへの金属メッキ加工・販売を行っている。

 フィルム・特殊機能材部門では、セラミックなど非金属へのメッキ加工からの研究開発によって、フィルム素材にメッキ加工や各種の化学処理加工を行うことに応用しており、無線ICタグ用のアンテナ回路や、自動車ワイヤーハーネスシールドフィルムを製造・販売している。また、高容量コンデンサ用のアルミ箔や自動車電子部品用の銅箔を製造・販売している。

 電気機能線材事業では、電線の製造工程の1つである伸線加工を主たる事業としている。FCMが仕入れた、または、販売先から支給を受けた直径8〜15mmの銅線を、各種用途に応じた細さにまで引き伸ばす加工をし、販売している。

 主な最終製品としては、ビルや住宅などの屋内配線用ケーブル、通信用ケーブル、電柱に設置されている配電用トランスやモーター用巻線に使用されている。

情報開示の状況
開示は充実
 FCMのウエブサイトには投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、上場関連資料、財務ハイライト、株式情報と、上場前の時点で掲載可能なものは、網羅されている。今後も決算説明会資料などが開示される予定になっており、充実した開示が期待できそう。
収支の状況
原料価格の高騰はパススルーされる構造で、07.3期も増収増益見通し
06.3期は、金属メッキ加工部門では、携帯電話用途などの電子部品市場での在庫調整の影響があったことや、生産拠点が海外移転の傾向にあること、環境対策として取り組んでいる鉛フリー化対策としてFCMが推奨している3元メッキが認知されきっていないことなどの影響があったことで、売上高はほぼ前年度並みとなった。

 フィルム・特殊機能材部門では、自動車ワイヤーハーネス用のシールドフィルムは順調に拡大しているものの、顧客の生産調整によって、高容量コンデンサ用のアルミ箔の出荷数量が減少したことで、売上高は対前期比マイナス6%の減益となった。

 電気機能線材事業では、銅の国際市況が高水準で推移したことや、住宅着工数・設備投資案件の増加、電力会社の設備更新の再開によって配電用トランスが増加したことなどによって、対前期+約33%の増収となった。

 売上高全体では、対前期比+28%の増収となり、これを受けて各利益項目でも対前期比+40〜70%の増益となった。

 06.9中間期では、金属メッキ加工部門では、主要顧客である電子部品業界が好調であること、鉛フリー対策品が普及してきたこと、自動車部品関連の製品売上が拡大しているとのこと。フィルム・特殊機能材部門では、高容量コンデンサ用のアルミ化成箔や自動車電子部品用の粗化銅箔が好調。

 電気機能線材事業では、伸線加工の主な原材料である銅の価格が高騰したことで、販売は好調に推移している。ただし、屋内配線に使用されるケーブルを主力商品とするメーカーなどの主要電線メーカーが在庫調整に入っていることから、数量面では期初の予想並みの水準になっている。

表1 事業部門別の販売実績(百万円、%)
                06.3期   06.9中
金属メッキ加工     2,761 +1.2%  1,722
フィルム・特殊機能材  136  -5.8%   127
電気機能線材     18,556 +33.7% 11,875
合計           21,454 +28.1% 13,725

 07.3期の通期業績予想は、増収増益の見通しになっている。中間期の進捗率からは十分達成可能と思われる。

 FCMは主として顧客から原材料を受け入れ、それを加工して販売する受託加工の形態をとっている。このため、原材料である銅価格の変動は顧客の負担となっている。このため、FCM自体は銅価格が上昇した場合には、売上高と材料費が共に上昇し、利益面では影響を受けない形になっている。

株式の状況
ロックアップのウエイトが相当高い
 ストックオプションとベンチャーキャピタルの保有がなく、既存株主のほとんどにはロックアップがかけられている。市場に流通する株式は、当面はほぼ公募・オーバーアロットメント分に限定されることになる。

A. 発行済み株式数 1,336,267株(単元100株)
B. 公募 320,000株、増資によるオーバーアロットメント 48,000株
C. 売出し 0株(売出し元)、既発株のオーバーアロットメント なし
D. ストックオプション等の残高総数 0株
 E. うち潜在株式に算入する数 0株
F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 1,704,267株

【参考】(株数は売り出し考慮前)
ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株
既存株主へのロックアップ情報: 古河電気と会社関係者16名に180日間。対象株数は既発行の約1,336千株のうち、従業員持ち株会のシェア約87千株を除いたほぼ全て。

 目論見書での想定発行価格は2,350円で、この価格に基づく公募によるFCMの手取り概算額は約681百万円とされている。第三者割当増資の手取り金約102百万円と合わせた資金使途は、全額を設備資金に充当する予定。
 配当政策としては、配当性向30%を目標。



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