IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ODKソリューションズ(3839 ヘラクレス)IPO |
上場意義が薄く、わざわざ投資するインセンティブが見当たらない 売上の半分弱は学校法人等、グループ外からのものだが、大阪証券金融(8512)、だいこう証券ビジネス(8692)両社のグループ内システム部門という位置付けの会社。このため業績は安定的だが、今後の成長性については評価しにくい。また、グループ内で3社目の上場であり、上場意義も薄い。 今期業績予想ベースでのEPS約5,600円に対する想定公募価格のPERは約10倍強と、一見割安に設定されているが、先に述べた理由があるため、決して人気化する銘柄ではなく、想定価格には、むしろ妥当感がある。 個別データ(肩は対前期比(%))
ODKソリューションズのグループは、ODKソリューションズと親会社の大阪証券金融、その他の関係会社のだいこう証券ビジネスから構成されている。ODKソリューションズは、学校法人、証券会社、一般事業法人などに対する各種の情報処理アウトソーシングサービスの提供と、グループ内向けの情報処理サービスの提供を主たる事業としている。 ODKソリューションズの事業内容を顧客単位でみると、システム運用、システム開発・保守、機械販売で構成されており、この中ではシステム運用が主な事業になっている。 学校法人向けでは、志願票受付や採点合否判定、受験者統計処理、入学手続きなどの入学試験業務のサービス、資料請求や学校案内などの入試広報業務などのシステムソリューションを提供している。 証券業務では、ODKソリューションズが開発したシステム共同利用方式による証券総合システムの提供によって、約定管理から入出金管理、信用取引管理、顧客管理などの証券会社のバックオフィス業務を行っている。一般事業法人向けでは、文章データ分析サービスや販売管理サポートなど。 グループ内企業向けとして、証券金融関連で大阪証券金融のシステム構築全般を請負、貸借取引業務、一般貸株業務、証券担保ローン業務などのシステム開発・保守・運用を、だいこう証券ビジネスの株主名簿管理人業についても、システム開発・保守・運用を全般的に行っている。 |
06.3期は、学事業務では首都圏で新規大学2校の受託に成功、関西圏でも、法科大学院の受託拡大や会計大学院の新設に伴う入試業務の受注、インターネット出願システムの新規受託等が好調に推移したことで、売上高は対前期比+約16%の増収となった。 証券業務では、首都圏2社・関西圏1社の証券総合システムの新規受託があったものの、既存顧客の解約が発生したことで、売上高は対前期比マイナス約35%の大幅減収となった。 グループ内向けでは、大証金の運用業務の受託・大口の機器リプレースの受注があったこと、だいこう証券に対しては、東京支店での一般債保管振替対応と保管振替ダウンサイジング等のシステム開発業務を新規受託したことで、増収。 表1 業務別販売実績(百万円、前期比%) 06.3期 06.9中 学事 1,296 +16.1% 59 証券 163 -35.8% 180 一般 170 +18.4% 77 金融 885 +19.0% 504 代行 1,492 +41.0% 575 合計 4,007 +20.9% 1,397 ODKソリューションズの学事業務の売上高は、大学入試の運用受託が中心だが、大学入試事務は大半が3月に終了することから、売上高は下期に集中する傾向にある。このために利益面でも、下期のウエイトが高くなる傾向にあり、過年度では05.3期・06.3期ともに、上半期営業赤字で、下半期に赤字を取り返す形の決算になっている。 グループ内取引は、過年度から継続的に全売上高の5〜6割を占める。つまり、大証金と、だいこう証券からのシステム開発の受注や、リプレース計画に業績が左右される部分が大きいことになる。 以上のように、季節による業績の変動要因はあるが、販売先がグループ内であることもあって、業績は安定的に推移している。ただ、このことは一方で、企業としての成長性には欠けることになり、更なる業容の拡大のためにはグループ外からの受注の増加が必要となる。 また、グループ内取引に関しては、この先は多少の受注拡大の可能性もある一方で、親会社のコストダウン要請などがあれば、一方的に呑まざるをえない可能性もあり、親会社の業績にも注意する必要がある。
ストックオプションもベンチャーキャピタルの株式保有もなく、更に、既存の株主は全員がロックアップの対象と、株式の保有関係はすっきりしている。 上場にあたっての公募・売り出しによって、全発行済み株式数に占める市場流通分のシェアは30%強になる。既存株主がロックアップ解除後に売却した場合には、特別決議に必要な2/3のシェアを安定株主で確保できない可能性が出るため、既存株主の売却可能性は、ロックアップ解除後も低いだろう。 A. 発行済み株式数 60,000株 B. 公募 22,000株、増資によるオーバーアロットメント 4,050株 C. 売出し 5,000株(売出し元)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 0株 E. うち潜在株式に算入する数 0株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 86,050株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 0株 既存株主へのロックアップ情報: グループ会社2社、法人6社、個人7名(既存の全株主)に180日間。ただし、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。 目論見書での想定発行価格は58千円で、この価格に基づく公募によるODKソリューションズの手取り概算額は約1,145百万円とされている。資金使途は、868百万円を設備投資資金に充当し、残額は今後の事業拡大に充当(要は、使途未定)する予定。
ODKソリューションズのウエブサイトには投資家向け情報開示のページが既に設置されている。ただ、現在掲載されているコンテンツは、財務ハイライト程度になっている。内容については、まだまだこれからという状況。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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