IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ダイヤモンドダイニング(3073 ヘラクレス)IPO |
公募価格の設定は若干強気だが、当面はそれを上回る株価も期待できる 07.2期業績予想に基づくEPS約24,000円での想定公募価格のPERは約34倍となる。一定の成長性を織り込んだ公募価格設定になるとみられる。 今期の業績の上振れ期待、来期以降の更なる業績の向上も期待されるところであり、上場直後の段階では株式需給も、そう悪くないと考えられる。比較的ポジティブな要素の多い案件と判断し、PER40倍程度の約100万円まで、当面の株価上昇余地はあるとみる。 個別データ(肩は対前期比(%))
ダイヤモンドダイニングは、客単価4,000円前後の設定を行った、中価格帯ダイニング業態を中心に自社で業態を開発し、東京23区内を中心に、07年1月末時点で飲食店舗を29店舗、直営で展開している。 一般的な居酒屋チェーンやレストランチェーンが少数のブランドを開発して展開していく傾向にあることとは異なって、ダイヤモンドダイニングの場合は、多様な市場のニーズにあわせて多数のブランドを開発し、出店候補地の実地調査やマーケット分析・細かい内装や価格帯の設定を行っている点が特徴。 |
06.2期は期中に11店舗を新規出店、06.8中間期では6店舗を新規出店し、出店数の増加に伴って、売上高・利益ともに増加傾向にある。 表1 事業部門別の販売実績(百万円、前期比%) 06.2期 06.8中 飲食事業 1,728 +16.6% 1,509 その他 25 -28.0% -- 合計 1,753 +10.4% 1,509 ダイヤモンドダイニングが展開する飲食店では、歓送迎会需要と忘年会需要が属する第1、第4四半期に売上が集中する傾向にある。これまでの実績では、期中にも店舗数が増加していることから、四半期単位で見た場合には、常に直前四半期の売上高を次期は上回る傾向にもあるが、特に第4四半期の通期業績に占めるウエイトは高くなっている。 過年度の傾向では、上半期は経常赤字、下半期で通年分の黒字を計上するほどに偏りが発生している。この点を考慮すると、07.2期については、上半期でも既に黒字決算となっており、下半期には、上期実績を超える利益計上されることも十分可能性がある。通期見通しに対する上半期の経常利益の進捗は過半を超えているが、上記の点を考えると、期末実績は、見通しを上回る可能性もあるとみる。
ストックオプションの未行使残高とベンチャーキャピタルの保有ウエイトはそこそこある。ただし、ストックオプションの過半は、当面行使できないし、ベンチャーキャピタルの保有株についても、部分的には05.6月以降に割り当てられたものがあり、これについては保有確約の対象になっている。以上の状況を踏まえると、上場直後の株式需給に特別な影響を与えることは無いと想定する。 A. 発行済み株式数 4,881株(05.2に1:20株式分割後、05.6、9、06.2月に第三者割当増資) B. 公募 800株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 400株(売出し元は会社関係者とその関連法人)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 416株 E. うち潜在株式に算入する数 115株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 5,796株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 570株 既存株主へのロックアップ情報: なし。05.6以降の第三者割当増資881株は、上場後半年間の保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年7月 271株 5万円 08年7月〜10年7月 06年2月 115株 5万円 上場後の2年間 06年2月 30株 80万円 09年2月〜11年2月 目論見書での想定発行価格は82万円で、この価格に基づくダイヤモンドダイニングの手取り概算額は約587百万円とされている。資金使途は、全額を新規出店のための設備資金に充当する予定。
ダイヤモンドダイニングのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライト、上場関連のニュースリリースとなっている。上場前段階としては、平均的な開示レベル。 |
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