IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
アクロス(3072 名証セントレックス)IPO |
業態のイメージからは意外な低成長、その分公募価格も妥当な水準か 07.5期業績予想では、利益が頭打ちになる想定になっている点が評価できない。業態としては面白みがあり、本来は成長性が評価できる銘柄であってもおかしくはないところだが、これだけ低い利益水準の予想を会社から出されると、評価のしようがない。 その分、想定されている公募価格も低めに抑えられている印象であり、公募での取得でも特段のリスクはないだろう。 個別データ(肩は対前期比(%))
アクロスの主な事業内容は、複合カフェのフランチャイズ展開と直営店の経営。複合カフェは全国にフランチャイズ店舗を展開し、06年12月末の店舗数は143店舗、うち直営店が2店舗となっている。 アクロスが提供する主要コンテンツは、コミックとインターネットで、その他店舗規模や商圏特性に応じて、カラオケルーム等の娯楽系アイテム、ゲルマニウム温浴等の癒し系アイテム、食事等を提供している。 直営店舗は、フランチャイズ加盟店の店舗研修としても利用している。又、複合カフェ以外にも、レンタルビデオ店2店舗、エンターテイメントカフェ(海外映画を題材とした喫茶店)1店舗を経営している。 フランチャイズ事業では、フランチャイズ加盟店から加盟契約時に受ける加盟金、開業準備コンサルティングにかかる開業準備料、コミック、パソコンその他店舗什器・備品等の販売による収入、開業後のロイヤリティ、物品販売等による収益を得ている。
アクロスのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。ただし、現在掲載されているコンテンツは、上場承認に関するニュースリリースだけとなっており、やや寂しい開示状況。 |
06.5期の加盟店契約件数は91件、フランチャイズ加盟店の開業は49店舗、期末のフランチャイズ加盟店舗数は108店舗となった。店舗数の増加に伴って売上高は増加し、フランチャイズ事業で前期比+約183%、売上高トータルでは+約194%の増収となった。増収に伴って、営業利益以下でも、増益・黒字化した。 表1 事業部門別の06.5期販売実績(百万円、前期比%) フランチャイズ 2,387 +183.4% 直営店 154 +605.1% 合計 2,542 +194.1% 05.5期には営業外費用でデリバティブ評価損を約7百万円、特別損失で関係会社整理損を約126百万円計上したことが、利益水準が低いことに影響している。 07.5期の業績見通しでは、売上高では対前期比で3割以上の増益を見込む一方、利益ベースでは前期並みか、当期利益に至っては前期割れの想定になっている。中間期の進捗率をみると、通期予想の半分には達していないので、そもそも達成リスクも考えられる。成長性の観点からは、評価しにくい状況になっている。
大株主はロックアップの対象で、ストックオプションは行使可能になるには上場後半年経過さないといけない。ベンチャーキャピタルの保有ウエイトは無視できないボリュームだが、こちらも、当面は保有確約の対象になっている。上場後半年程度の期間については、株式需給も良好になると見込める。 A. 発行済み株式数 12,000株(05.7に1:10株式分割、05.9に第三者割当増資、06.9にSO行使後) B. 公募 1,000株、増資によるオーバーアロットメント なし C. 売出し 1,000株(売出し元は会社関係者)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,821株 E. うち潜在株式に算入する数 1,821株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 14,821株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 3,900株 既存株主へのロックアップ情報:会社関係者1名と法人1社に180日間。対象株数は8,000株。05.9第三者割当増資4千株(割当先は全数がベンチャーキャピタル)は保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年8月 1,821株 5万円 07年9月〜15年8月 目論見書での想定発行価格は10万円で、この価格に基づくアクロスの手取り概算額は約88百万円とされている。資金使途は、POSシステム、コンテンツ配信システム等の新規設備投資の資金に充当する予定。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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