8774ジェーピーエヌ債権回収IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ジェーピーエヌ債権回収(8774 ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:その他金融業

諸事情を考えると、妥当な公募価格水準
業績は順調に伸びているものの、07.1期の会社発表業績見通しでは、登記利益水準が前期実績並みとなっており、足元の状態からは今後の高い成長性を期待しにくい。

 利益の伸び率が低下する点と、同業他社の状況、更にクレディセゾンとの親子上場になることでのディスカウントを考慮すると、予想EPS約22,000円に対してPER18倍強で想定されている公募価格は妥当な水準とみられる。初値時点での大幅な高騰は期待しにくい。


個別データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/1 06/1 06/7中 07/1会予
売上高(百万円)
3,742
27.3%
4,765

2,614
11.0%
5,290
営業利益(百万円)
769
13.0%
869

454

--
経常利益(百万円)
769
13.1%
870

473
7.4%
934
当期利益(百万円)
350
54.7%
542

290
0.1%
543
総資産(百万円)
純資産(百万円)
2,274
1,384
2,779
1,854
3,007
2,062
--
--
株主資本比率(%) 60.8% 66.7% 68.6% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
33.8%
25.3%
31.3%
29.2%
15.7%
14.0%
--
--
発行済株式数 24.682 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
14,199
56,054
21,971
75,121
11,736
83,541
22,000
--
配当(円/株) 2,500 2,500 -- 2,500

事業概要
債権の管理回収業務等
 ジェーピーエヌ債権回収はクレディセゾンが発行済み株式数は約90%を所有する債権回収会社(サービサー)であり、00年に「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)に基づく債権管理回収業の許可を受けている。

 サービサー法は、弁護士の特例として、一定の要件の下に、弁護士以外の者が委託または譲渡を受けて、特定金銭債権の管理回収業を行うことを民間の専門業者(サービサー)に許可するもの。ジェーピーエヌ債権回収では、委託を受けて行うものを主体としており、譲渡を受けての債権管理回収は、売上高構成比で1%以下となっている。

 ジェーピーエヌ債権回収の事業は、業務代行事業、バックアップサービス事業、リサーチ事業の3事業部門から構成されている。

 業務代行事業では、債権の種類によって、サービサー法で定められている特定金銭債権の債権管理回収業務と特定金銭債権以外の債権の集金等代行業務、クレジットカードの発行に必要な口座振替依頼書の返送依頼業務等を行っている。

 債権管理回収業務では、訪問回収は一切行わず、電話と文書によって業務を行っている。延滞が2ヶ月程度までの初期未入債権は、告知システムを利用して電話オペレーターが短時間で大量処理を行い、受託債権の早期正常化を図る。中長期未入債権は、債権ごとの工程・業務進捗をシステム上で管理し、債券情報に基づいて債務者へのカウンセリングによって、債権管理回収を行う。取り扱い地域は、札幌、東北、新潟、東京、関西の5管理センターでカバー。

 バックアップサービス事業では、証券化された債権について、オリジネーター(債権の当初保有者)の倒産などによってオリジネーターが債権の回収が出来なくなった場合に、その管理回収業務を引き継ぐもの。具体的な業務内容は、オリジネーターと同じシステムを構築して、定期的にデータを取り込み、システムの互換性を確認するスタンバイ業務、サービサー交替時に委託元に代わって、債務者へのサービサー変更とその後の支払いについて文書で通知を行い、債務者からの問合せ対応を行うトランスファー業務、サービサー交替後の正常債権・未入債権の管理回収を行うサービシング業務がある。

 リサーチ事業の主な内容は、延滞債務者の居住確認、連絡困難者・約束不履行者への訪問面談、クライアントへの連絡、貸倒償却に関する調査業務など。
収支の状況
当期利益では前期実績並みとなる見通し
 06.1期は、東京管理センターを新設し、業務代行事業では、クレジットカード会社や金融機関との提携交渉を進めた結果、小売系カード会社、地方銀行、通信会社、通販会社等21社と契約した。バックアップサービス事業では、国内外信託銀行5行から9口の契約を締結、リサーチ事業では、リース会社、クレジット会社、債権管理回収会社等9社と新規契約を締結したことで、3部門ともに前期比で増収となった。

 営業費用が東京管理センターの新設等によって増加したために経常利益の対前期伸び率は低く抑えられたが、当期利益段階では、退職給付会計関連の特別損失を前期に計上したことの反動によって、大幅な増益となった。

表1 06.1期の部門別売上実績(売上高(百万円) / 前期比(%))
業務代行        4,014 +30.1%
バックアップサービス  418 +20.9%
リサーチ          331  +6.8%
合計           4,764 +27.3%

 06.7中間期の実績は、07.1期の通期見通しに対してほぼ半分の進捗率となっており、年度見通しの達成には特に問題はないと思われる。ただし、07.1期には対前期で増収が見込まれているものの、当期利益の見通しは、06.1期実績並みの水準に抑制されている。

株式の状況
VC、SOなく、クレディセゾンの子会社状態が今後も継続
 ジェーピーエヌ債権回収は06年7月に1:2の株式分割を実施し、06年8月時点の発行済み株式数は21,882株となっている。上場にあたっての公募が2,800株、売り出しが2,500株(売り出し元は、クレディセゾン2,240株、残りは会社関係者)予定されている。ストックオプション等の希薄化要素は存在しない。以上から、上場時点の発行済み株式数は、24,682株とした。

 目論見書での想定発行価格は40万円で、この価格に基づく公募によるジェイピーエヌ債権回収の手取り概算額は約1,028百万円とされている。資金使途は、257百万円を今期の設備投資に充当し、残額は来期以降の設備投資資金とする予定。

 株主名簿にはベンチャーキャピタルは記載されておらず、既存株主へのロックアップも無い模様。上場後も引き続き、親会社であるクレディセゾンがメジャーシェアを握る予定。

情報開示の状況
開示なし
 ジェーピーエヌ債権回収のウエブサイトは、9月19日にリニューアルされているものの、この時に同時に投資家向け情報開示のページは作成されていない。上場承認のニュースリリースすら掲載されていない状態にある。



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