IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
タカタ(7312 東証)IPO |
公募価格は妥当な水準で割安感になし、特別損失の計上動向には注意要 当期利益が年度によって変動がある以外は、収支に関してはほぼ安定的に推移している。当期利益に関しては、06.3期にメキシコでの工場火災に関する特別損失を計上したことが大きく影響している。この影響については、07.3期にも引き続き発生する可能性があり、今期業績については下振れリスクを考慮する必要があるとみる。 会社発表の今期見通しベースでのEPSは約310円で、想定されている公募価格4,100円のPERは約14倍となる。自動車関連機器の製造・販売事業としては、このレベルで十分妥当なPERレンジと考えられ、公募価格には特に割安感はない。 連結データ(肩は対前期比(%))
タカタグループは、タカタと子会社53社(うち非連結子会社1社)、関連会社2社から構成されており、自動車安全部品の開発・製造・販売を主に行っている。 開発・製造・販売の拠点は米州、欧州と日本を含むアジアの3拠点あり、各地域間で部品等の相互供給を実施し、グローバルレベルでの最適な生産体制の構築を図っている。 タカタの主要製品は、シートベルトとエアバッグ、その他の3種類に区分される。 シートベルトは、従来のシートベルトに加えて、事故の危険を未然にシートベルトを通じてドライバーに知らせるモータライズド・シートベルト等のアクティブ・セーフティを実現する製品や、衝突の瞬間にベルトを引き込んで拘束性能を上げる、より高度なパッシブセーフティを実現するためのプリテンショナー付きシートベルト、モータースポーツ用の競技用シートベルト(フルハーネス)などの製品の開発・製造・販売も行っている。 その他製品としては、ステアリング・ホイール、トリム、チャイルドシート等を開発・製造・販売している。 |
06.3期は、シートベルト製品では、米州と日本での販売が好調であり、特に米州で米国ビッグ3向けの販売が好調だったことと、日系自動車メーカーの販売が好調だったことを背景として、対前期比+約17%の増収となった。 エアバッグ製品は米州での販売が好調、その他製品でも日本と米州でのシート・ウエイト・センサーの販売が好調であったこと等によって増収となり、全体の売上高では対前期比+約9%となった。 一方、費用面では、営業費用で研究開発費用が増加したことや、輸出の増加に伴って発送運賃が増加したこと等によって増加し、経常利益段階では対前期で減益となった。更に、06年3月にメキシコの工場で発生した火災に伴う損失を特別損失に計上したことで、当期利益段階では約26%の対前期減益となった。 表1 製品別06.3期販売実績(百万円、前期比%) シートベルト 154,471 +17.8% エアバッグ 173,682 +3.2% その他 137,768 +8.9% 合計 465,922 +9.4% 前述のメキシコ工場火災に関連する損失は、06.3期に特別損失に約27億円を計上しているが、これだけでは終わっておらず、07.3期についても、設備の復旧保守等に関連する損失として34百万ドルが発生している。これらの費用支出については、損害保険による補償が見込まれるが、現時点での保険金収入額は13百万ドルとなっている。 タカタの訴訟リスクとして、00年10月に米国で発生した交通事故において、タカタ製品であるシートベルトの欠陥によって損害を被ったとする損害賠償訴訟が起こされている。06年4月には、約17百万米ドルの支払いを命じる第一審判決が出ているが、引き続き係争中。賠償規模は会社利益と比較して致命的な金額ではなく、通常は保険等で手当てされる部分があると考えられるため、業績予想上は、特段のリスクとして考慮する必要はないだろう。 07.3期の会社発表業績見通しでは、売上高は微増で、経常利益も微増の見通しとなっている。当期利益では、前期に特別損失を計上したことの反動で大幅増益の見通し。結局、収支全体としては、05.3期に戻る形となり、成長性は期待出来ない。更に、上記のような火災損失・訴訟関連での費用増加の可能性があることを考えると、今期見通しには下振れリスクがある状態と考える。
06年6月時点のタカタの発行済み株式数は、58,544千株(取引単位は100株)で、上場にあたっての公募が11,000千株、売り出しが11,000千株(売り出し元は、会社関係者とその法人)、オーバーアロットメントによる売出しが2,000千株予定されている。オーバーアロットメントのうち、1,000株は主幹事である大和証券SMBCを割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。 また、ストックオプションの未行使残高が下表のように合計2,902千株残っており、全てが上場後に行使可能となるので、潜在株式とする。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、73,446千株とした。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年3月 2,000千株 1,840円 05年7月〜10年3月 05年5月 894千株 1,840円 05年7月〜10年3月 06年1月 8千株 2,600円 06年1月〜10年3月 目論見書での想定発行価格は4,100円で、この価格に基づく公募によるタカタの手取り概算額は約44,850百万円とされている。資金使途は、大和証券SMBCを割当先とした第三者割当増資の想定手取り額約4,100百万円と合わせて、新規工場や研究開発施設の建設、工場内の生産ラインに使用する生産設備や研究開発のための評価設備等の更新・拡充に20,000百万円を充当し、残額は借入金の返済に充当する予定。 会社関係者等1社5名には、180日間のロックアップが付されている。ロックアップ対象者の保有株式数合計は60,387,700株(SOを含む)で、このうち9,050千株が売り出し対象となっている。従って、上場後のロックアップ対象数は、約51,337千株となる。発行済み株式数に占めるロックアップ対象のウエイトは約7割となり、株式需給面では比較的タイトな印象を受ける。ベンチャーキャピタルの株式保有は、ほとんど無い。
10月9日時点で、タカタのウエブサイトには投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場に関するニュースリリースも掲載されていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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