IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
マルマエ(6264 マザーズ)IPO |
グリーンシートでの取引価格が妥当な水準か 07.8期の会社発表業績見通しに基づくEPSは約15,500円であり、想定されている公募価格のPERは約30倍、グリーンシートで取引されている60万円の価格ではPER約40倍となる。足元の業績は至って好調であり、翌08.8期にも増収増益のトレンドを維持すると考えれば、既に取引されている60万円前後の価格でも妥当となる。 一般にグリーンシートから上場する銘柄ついては、流動性が高まることでのプレミアムが付くケースが多いが、マルマエの場合には、既に高い成長性が取引価格に織り込まれていると考えられ、これまでの取引価格の水準から更に高い価格で買いあがることにはリスクがあると想定する。 個別データ(肩は対前期比(%))
マルマエは、液晶・半導体・太陽電池等の製造装置を構成している精密加工部品を製造する切削加工事業を行っている。主には、液晶、半導体、太陽電池の製造装置メーカーから、精密加工部品の製造を受注している。 液晶製造装置関連部品は、液晶パネル製造装置と検査装置を構成する部品で、チャンパーと呼ばれる耐真空容器や電極と呼ばれるチャンパー内蔵物を製造している。 太陽電池製造装置関連部品は、太陽電池パネルの製造装置を構成する部品で、製造工程の中でも、薄い金属膜を基板上に生成する工程に使われるアルミ製部品を製造している。その他の分野として、オートバイのレース用部品、カメラ・顕微鏡等の光学分野、医療装置なでの産業用装置部品、水質浄化装置部品などを製造している。 生産拠点は鹿児島県出水市に2箇所あり、マシニングセンタ19台、NC旋盤6台、その他6台の計31台の切削機械装置と、CAD/CAM21台を保有している。
マルマエのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。グリーンシートで取引されている実質的な既公開企業であるので、コンテンツは充実している。財務ハイライトやカレンダーのほか、四半期決算の資料、説明会の資料等までダウンロードが可能。開示水準に関しては、安心できる内容になっている。 |
06.8期は、大型液晶関連の需要が増加していることを背景に、第7世代以降の次世代大型ガラス基板向け製造装置部品の受注が増加したほか、半導体分野も好調、太陽電池関連の受注も本格化したことで、売上高は対前期比+約65%の大幅増収となった。 利益に関しても、売上高の増加に伴って対前期比で増益となった。ただし、売上高の対前期伸び率と比較すると、利益の伸びは低くなっている。製造原価把握の高精度化やシステム改善にコストがかかっている模様。 表1 製造分野別の06.8期販売実績(百万円、%) 液晶 634 +94.1% 半導体 203 +43.4% 太陽電池 43 +24.4% その他 49 -18.8% 合計 930 +64.9% 07.8期も液晶・半導体等の分野での需要増加を背景として、更に増収増益となる見通しになっている。 マルマエの主な販売先は、上位4社合計で売上高全体の約7割を占めるシェアとなっている。 マルマエの有利子負債依存度は比較的高く、06.8期末時点での有利子負債残高は約12億円で、総資産に占める割合は68%となっている。上場時の公募資金によって、このうち2.5億円ほどを有利子負債の返済に充当する予定なので、この時点では有利子負債の総資産ウエイトは半分程度となる。特に留意する必要はないだろう。
06年8月時点の発行済み株式数は7,230株で、上場にあたっての公募が2,000株、売出しが400株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプションの未行使残高が下表のようにあり、このうち上場直後から行使可能となる588株について、潜在株式と認識する。以上から、上場時の想定発行済み株式数は、9,818株とした。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年10月 450株 10万円 06年10月〜14年10月 05年6月 121株 10万円 06年10月〜14年10月 05年10月 17株 36万円 06年10月〜14年10月 06年1月 55株 421千円 07年11月〜15年11月 06年4月 44株 431千円 07年11月〜15年11月 目論見書での想定発行価格は47万円で、この価格に基づく公募によるマルマエの手取り概算額は約862百万円とされている。資金使途は、316百万円を熊本事業所に関わる設備資金に、257百万円を長期借入金の返済に、残額は運転資金に充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は推計181株で、ベンチャーキャピタルを含めた全既存株主にはロックアップは付されていない。 マルマエは上場前からグリーンシート銘柄として取引されている。06年10月の最高値は60万円、最低は55万円だった。ただし、月間の出来高はたいがい10株未満と、非常に少ない出来高での価格形成の結果ではある。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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