5440共英製鋼IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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共英製鋼(5440 東証)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:鉄鋼

セカンダリーのほうが面白い銘柄になる可能性があるのでは
 06.3期は鉄鋼事業も環境リサイクル事業も好調に推移したが、07.3期については、一転して増収減益の予想となっている。

 07.3期予想ベースのEPS約340円に対する想定公募価格のPERは約7倍となり、他の鉄鋼関連の銘柄と比較しても、若干の割安感がある。銘柄特性としては、初値の段階では高騰しにくいだろうが、逆に低めの価格で寄り付けば、将来性として環境関連事業を持っていることもあり、セカンダリーのチャンスが出てくるのではないかと考える。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3会予
売上高(百万円)
137,811
8.3%
149,309

75,866
2.5%
153,000
営業利益(百万円)
25,600
11.8%
28,613

11,921

--
経常利益(百万円)
24,905
18.5%
29,517

12,537
-22.1%
23,000
当期利益(百万円)
15,063
15.6%
17,412

8,976
-11.0%
15,500
総資産(百万円)
純資産(百万円)
137,663
46,484
148,617
66,703
154,177
74,525
--
--
株主資本比率(%) 33.8% 44.9% 48.3% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
18.1%
32.4%
19.9%
26.1%
8.1%
12.0%
--
--
発行済株式数 44,899 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
335
1,035
388
1,486
200
1,660
345
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
鉄鋼製品の製造・販売とリサイクル事業
 共英製鋼グループは、共英製鋼と連結子会社8社、持分法適用関連会社3社等から構成されており、鉄鋼事業と環境リサイクル事業を主たる事業としている。

 鉄鋼事業では、電気炉を使用して鉄スクラップを溶融し、精錬・圧延成形を施して、土木・建設用鋼材を中心とした鉄鋼製品を製造・販売している。主な製品は、異形棒鋼、構造用棒鋼、平鋼、山形鋼など。又、鉄鋼製品の仕入れ販売と運搬事業も行っている。

 環境リサイクル事業では、主に医療廃棄物、産業廃棄物、再生砕石などを取り扱っている。衣料廃棄物については、契約医療機関に専用容器を設置して、回収後、電気炉で無害化溶融処理を行っている。産業廃棄物は、ガス化溶融炉で中間処理を行うと同時に燃料ガスを製造している。

 また、その他の事業として、土木資材の販売と、金融資産管理、保険代理店業を行っている。


収支の状況
06.3期は好調だったが、今期は増収減益の見通し
 06.3期は、鉄鋼事業では公共工事は減少しているものの、国内の民間需要が増加したことで、鋼材需要も堅調であったことと、共英製鋼の主力製品である小型異形棒鋼の価格を維持することが出来たことで、対前期比+約8%の増収となった。コスト面でも主原料である鉄スクラップ価格が安定的に推移したことと増収効果によって、対前期比で増益。

 環境リサイクル事業については、産業廃棄物処理の需要が増加しつつあること、ガス化溶融炉が期中に完成して営業運転を開始したこと等で対前期比+約18%の増収となった。ただし、ガス化溶融炉については、まだ調整運転の範囲での稼動とのことで、今後早期に稼働率の改善を図る方針になっている。

表1 事業の種類別セグメントの利益率(百万円、%)
         鉄鋼  環境 その他 連結
05.3売上高  131,081 6,260 470 137,811
05.3営業利益 24,210 1,417  61  25,600
05.3利益率   18.5% 22.6% 13.0% 18.6%
06.3売上高  142,004 6,740 565 149,309
06.3営業利益 27,449 1,786  61  28,613
06.3利益率   19.3% 26.5% 10.8% 19.2%
06.9中売上高 72,222 3,244 220 75,686
06.9中営業利益11,260  835 31 11,921
06.9中利益率 15.6% 25.7% 14.1% 15.8%

 07.3期の会社発表業績予想では、対前期比で増収減益の見通しとなっている。中間実績の進捗状況をみると、妥当な予想とは考えられる。減益の予想にしている理由については、開示されていない。

株式の状況
ストックオプションなし、ベンチャーキャピタルの保有も少量
06年9月時点の共英製鋼の発行済み株式数は37,598,730株(取引単位は100株、自己株式1,842,060株を含む)で、上場にあたっての公募が6,000千株、売り出しが2,722千株(売り出し元は、住友金属1,349千株、エア・ウォーター384千株、会社関係者989千株)、オーバーアロットメントによる売出しが1,300千株予定されている。オーバーアロットメント分については、主幹事である野村證券を割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプション等の希薄化要素はない。

 オーバーアロットメント分を増資する可能性がある点を考えると、自己保有株式については消却も、市場売却もせず、将来的には特定の株主に割り当てる可能性が高いとみる。(消却予定があるとすれば、一方で増資することと不整合となり、市場売却する予定があれば、OA分に充当するのが妥当なため。) このため、自己保有株式は、発行済み株式数の内数と考える。

 以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、44,899千株とした。

 目論見書での想定発行価格は2,400円で、この価格に基づく公募による共英製鋼の手取り概算額は、OA分の第三者割当増資と合わせて約16,350百万円とされている。資金使途は、約3,000百万円を設備投資資金に充当し、残額を借入金返済資金に充当する予定。

 既存株主のうち住友金属とエア・ウォーター、会社関係者2名とその他全役員に対しては180日間のロックアップが付されている。ただし、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。ロックアップの対象となる株式数は、売り出し考慮後で約23,180千株。

ロックアップ対象の株式シェアは約半分程度となるが、ベンチャーキャピタルの保有株は1社90千株だけと少量で、他の株主は持合と思われる金融機関が多い。上場後の既存株主からの売り圧力は大きくはないだろう。

情報開示の状況
財務情報は開示されている
共英製鋼のウエブサイトには、11月16日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。ただ、財務情報として、財務ハイライトと決算短信については、過年度から開示されている。上場関連のニュースリリースが出ていないのは、会社の株式公開に対する意気込みが感じられなく、残念。


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