5019出光興産IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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出光興産(5019 東証)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:石油・石炭製品

取り立てて特徴の無い大規模上場案件
 原油価格68ドル/バレル(ドバイFOB)を前提とした07.3期の会社発表業績見通しベースでは、EPS750円であり、想定されている公募価格のPERは約13倍となる。

 事業としての成長性や、前提としている原油価格が今となっては若干高めであること、グローバルオファリングを含んだ大規模な上場案件であること、を考慮すると、順当な公募価格設定になるだろう。

 公募割れの水準で価格が推移することも考えにくい一方、株価が高騰する可能性も低いとみる。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/6 1Q 06/9中 07/3会予
売上高(十億円)
2,763
20.4%
3,327

793

1,680
7.6%
3,580
営業利益(十億円)
99
-28.1%
71

23

--

--
経常利益(十億円)
79
-11.0%
70

25

36
14.4%
81
当期利益(十億円)
-5

27

7

10
9.5%
30
総資産(十億円)
純資産(十億円)
2,228
294
2,280
368
2,236
406
--
--
--
--
株主資本比率(%) 13.2% 16.2% 18.2% -- --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
3.6%
--%
3.1%
7.4%
1.2%
2.0%
--
--
--
--
発行済株式数 40,000 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
-147
7,357
685
9,218
200
10,169
250
--
750
--
配当(円/株) -- -- -- -- --
07.3期見通しの前提は、原油68ドル/バレル(ドバイFOB)、為替115円/ドル

事業概要
石油・石油化学製品等の製造販売と、原油・石炭等のエネルギー資源の開発生産
 出光興産グループは、当社出光興産と子会社94社・関連会社34社から構成されており、事業の種類別セグメントと、それに対応する主な事業内容は以下の通り。

■石油製品
石油製品の輸入、精製、販売。原油・石油製品の輸送・貯蔵。LPガスの輸入・販売。石油製品の販売。

■石油化学製品
石油化学製品の製造・販売

■石油開発
石油資源の調査、開発、販売。

■その他
石炭の調査、探鉱、開発、販売。ウランの調査、探鉱、開発。地熱資源の調査、探鉱、開発、販売。電子材料の製造・販売。自動車関連商品の販売、リース業等。保険代理店業。クレジットカード業。

情報開示の状況
開示なし、この先が心配
 出光興産のウエブサイトには9月26日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。上場承認についてのニュースリリースが出されているだけで、それ以外に参考になる資料とコンテンツとしては、会社情報ぐらいしかない。会社規模からして、やや心もとない開示状況にある。


収支の状況
原油価格の影響大、足元の価格ではやや強気な見通しか
 06.3期の業績は、原油価格の上昇などによって前期比+約20%の増収となったものの、原油価格の上昇分を卸価格に十分に転嫁できなかったことなどから、営業利益では前期比-約28%の減益となった。

 石油製品部門では、ガソリンは前期並みの販売、ジェット燃料とナフサではそれぞれ、航空輸送と石油化学需要が堅調だったことで増加、灯油は昨年末の寒波の影響によって販売が前期と比較して増加した。一方、軽油はディーゼル車の台数減少、産業用A重油・C重油は価格上昇に伴って他エネルギーへの転換が進んだことなどで販売が減少し、石油製品全体では前期並みの販売数量となった。結果としては、原油価格が上昇したことでの価格上昇分だけ、増収となった形になる。

 石油化学製品部門では、ナフサが前期と比較して約20%価格が上昇したものの、中国をはじめとするアジア市場での需要が好調であった。また、ポリカーボネートを中心にOA・IT機器などの工業材料分野の需要が好調であったこと、樹脂加工製品で製品価格の改定によって原料価格の上昇分をほぼ吸収することが出来たことなどもあって、部門全体では、前期比+約15%の増収となった。

 石油開発部門では、原油価格が高騰したことは収益に貢献したものの、一部鉱区での生産停止の影響によって原油生産量が前期と比較して減少したことから、前期と比較して若干の減収減益となった。

 その他部門では、石炭、ウラン、電子材料、透明電極材料等で、前期と比較して増収増益。

表1 事業の種類別セグメントの利益状況(百万円、%)
       石油製品 石油化学製品 石油開発 その他 連結
05.3売上高   2,083,645 477,671  72,776 129,574 2,763,668
05.3営業利益   21,823  30,542  37,885  9,097   99,382
05.3利益率      1.0%   6.4%   52.1%   7.0%    3.6%
06.3売上高   2,552,545 550,744  71,445 152,667 3,327,403
06.3営業利益   -9,039  32,152  36,954  11,312   71,432
06.3利益率      --    5.8%   51.7%   7.4%    2.1%
* 外部顧客に対する売上高

 05.3期に当期損失を計上しているのは、閉鎖した製油所や油槽所、不採算SSの遊休土地を主に対象とした減損損失の計上約500億円によるもの。減損については、06.3期も引き続いて特別損失に計上しているが、金額的には約77億円と小規模であり、特別利益の計上で部分的に相殺されており、収支に対して大きな影響は与えていない。

 07.3期見通しでは、原油価格68ドル、為替レート115円を前提として、前期と比較して若干の増収増益を見込んでいる。第一四半期の進捗率では、通期見通しの達成に向けてインラインという状況。現状の原油価格の情勢が持続すれば、ほぼ見通し通りに着地すると思われる。足元の原油価格は低下傾向にあるので、このまま価格が低下した場合には、今期の見通しはやや強気となる。

 出光興産が1995〜98年に防衛庁と締結したガソリン・灯油等の販売契約が、談合に基づく無効な契約であることを理由として、防衛庁から、出光興産が受領した販売代金の一部である781百万円等について不当利得返還請求訴訟を起こされている。この金額については、将来的なコスト増要因となる可能性がある。

 また、この件に関連して、出光興産は公正取引委員会から排除勧告を受けており、この課徴金681百万円については支払い済みとなっている。更に続いて、2001年に公正取引委員会からポリプロピレンの販売価格に関して、競争を実質的に制限したとして排除勧告を受け、現在審判中となっている。

株式の状況
SOなし、VC保有ウエイトも小さいが、大規模上場案件
 出光興産の06年6月時点の発行済み株式数は27,321,500株(取引単位は100株)で、上場にあたっての公募が11,521千株(うち7,721千株が国内、3,800千株は海外募集)、オーバーアロットメントによる売り出しが1,157,500株予定されている。オーバーアロットメント分については、主幹事である大和証券SMBCを引受け先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプションの未行使残高はない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は40百万株とした。

 目論見書での想定発行価格は9,500円で、この価格に基づく出光興産の国内公募による手取り概算額は、約73,026百万円とされている。海外公募分で約35,806百万円、第三者割当増資の上限約10,953百万円とあわせて、将来の事業拡大のための戦略投資と既存設備の維持更新投資等に充当する予定。

 ベンチャーキャピタルの保有株式は、株主名簿では357,100株で、全体に占めるウエイトは小さい。その他の株主では取引先法人や金融機関等が多く、既に安定株主対策は非上場段階での第三者割当増資によって、周到に準備されている。

 既存の大株主である法人1社、2財団、幹事証券会社2社に対しては180日間のロックアップが付されている。ロックアップの対象となる株式数は約11,900千株、発行済み株式数に対するウエイトは3割程度となる。


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