IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ダスキン(4665 東証)IPO |
課題が山積の状態での新規上場 事業は安定的と言えば聞こえが良いが、伸び悩んでいる状態。主力2事業の売上高は横這いで、利益率も決して高くはない。その上に不採算の新規事業を抱えており、それぞれの事業についての課題は多い。 07.3期予想のEPS約125円に対して想定されている公募価格のPERは16倍となる。利益額一定の前提とすれば、全く妥当な水準と考える。高くも安くもない、といったところか。 連結データ(肩は対前期比(%))
ダスキングループは、ダスキンと子会社28社・関連会社4社から構成されており、ダストコントロール商品のレンタルとフードサービス事業のミスタードーナツを主な事業内容として、更にこれらに関連する事業活動をフランチャイズ方式で展開している。 事業区分としては、愛の店関連事業、フードサービス事業、ケアサービス事業、その他事業に4区分される。 愛の店関連事業では、マット・モップ等のダストコントロール商品やキャビネットタオル・空気清浄機のレンタル、日用品やトイレタリー商品の販売を主とするクリーンサービス事業が主体で、その他、化粧品を販売するヘルス&ビューティ事業を展開している。 主力であるクリーンサービス事業は、フランチャイズ方式による展開を基本として、ダスキンは加盟店に対してマット・モップ類のレンタルを行う他、日用品やトイレタリー商品の販売を行っている。加盟店はお客さまに商品を一定期間レンタルし、期間経過後に回収してダスキンに返却する。回収後の商品は、洗浄等の再生加工を施した上で、再製品化を行い、再度加盟店へレンタルを行う。一部地域については、ダスキンの直営店舗や販売子会社を通して、サービスを行っている。 フードサービス事業では、ドーナツ・飲茶等を販売する「ミスタードーナツ」や「カフェデュモンド」、「ザ・どん」をフランチャイズ方式で展開している。 ケアサービス事業では、ハウスクリーニング、家事代行、害虫駆除・予防サービス、樹木・芝生管理サービス等をフランチャイズ方式で展開している。 その他事業としては、旅行用品・ベビー用品・レジャー用品等のレンタル、ユニフォームのレンタル、オフィスコーヒー等の販売などを行っており、これらの事業も原則としてフランチャイズ方式を採っている。 |
05.3期は、携帯電話等通信機器の販売事業を他社一次代理店に営業譲渡したことで、対前期で減収減益となった。また、減損会計の早期適用によって、減損損失約46億円を特別損失に計上したことで、当期利益は大幅に減少した。 06.3期は、愛の店関連事業では、小規模事業所の減少によって事業所向けのクリーンサービスが売上低下傾向にあり、対前期で減収となったが、乾燥工程での省エネ技術の導入等のコストダウンによって営業増益となった。家庭用についても、「不織布モップ」の定着と主婦の在宅率の低下によって厳しい状況のようだが、新機能モップの導入等によって、売上を維持している。 フードサービス事業では、全般的に既存店での売上高が伸び悩んでいることに加えて、一部業態では新規出店の計画遅れもあり、対前期で売上高は微減。営業利益では赤字事業から撤退したことで、増益となった。 ケアサービス事業では、家事代行サービスや病院のマネジメントサービスが好調な一方で、施設管理マネジメント等は不調であり、事業全体では増収だが、営業赤字となった。その他事業では、前述の事業譲渡の影響で減収となり、営業赤字の決算となった。 表1 事業の種類別セグメントの利益率(百万円、%) 愛の店 フード ケア その他 連結 05.3売上高 110,445 57,170 18,337 14,704 200,658 05.3営業利益 17,020 2,052 -654 -1,048 9,143 05.3利益率 15.4% 3.6% - - 4.6% 06.3売上高 108,279 56,709 19,260 9,506 193,756 06.3営業利益 19,714 2,155 -911 -633 11,075 06.3利益率 18.2% 3.8% - - 5.7% セグメント別の営業利益率をみると、ケアサービスとその他事業の2セグメントでは継続的に赤字になっている。主力2事業は黒字だが、それでもフード関連の利益率は低い。また、愛の店事業の利益率は見た目は高い数値となっているが、セグメント共通費用に回しているコストが大きいことが要因となっており、連結した時点では利益は半減する格好になっている。 事業全般に成長性が見られない上、主力事業のうちでもフード関連の利益率の向上と、不採算2セグメントをどうするか、が今後の事業上の課題となっている。 ダスキンのコンプライアンスに関しては、過去に様々な出来事があったが、現時点でもダスキンが関連する訴訟が残っている。主なものとしては、業務委託契約のトラブル、子会社の取締役による不適切な貸付、フランチャイズ加盟店に対する取引条件の変更に関するトラブル、肉まんの添加物混入事件、自己株式の取得についての株主代表訴訟がある。 これらの一連の出来事があった後には、コンプライアンス・ガバナンスには注力している模様ではある。
ダスキンは06年10月に1:5の株式分割、2,567,537株の自己株式の消却を実施し、06年10月時点の発行済み株式数は67,394,823株(取引単位は100株、自己保有株含む)となっている。上場にあたっての公募は無く、売り出しが8,700千株、オーバーアロットメントによる売出しが1,300千株予定されている。売り出し元は自己保有株式。ストックオプション等の希薄化要素は無い。上場後には残る自己株式を消却する可能性もあるが、ここでは全数を潜在株式として考え、上場時点の発行済み株式数は67,394千株とした。 目論見書での想定売り出し価格は2,000円で、自己株式の売り出しによるダスキンの手取り概算額は約17,300百万円とオーバーアロットメント分で2,600百万円とされている。資金使途は、設備投資に1,407百万円、長期借入金返済に7,950百万円、社債償還に4,000百万円を充当する予定。 ダスキン自身に対して180日間のロックアップが付されている。ベンチャーキャピタルの保有数は株主名簿では3,763千株と、ロックアップ非対象だがウエイトは比較的小さい。
ダスキンのウエブサイトには11月9日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。参考になる情報としては、会社情報として、事業報告書が掲載されている程度となっている。事業の透明性向上も目的として上場を計画しているという報道もあったが、それにしては、またしても後手に回っている印象を受ける。 11月初旬になって公開されている売出し目論見書に、9月末の中間決算実績が記載されていない点も、ネガティブポイントといえる。普通は「見通し」を発表する時期ではないはず。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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