IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ソースネクスト(4344 マザーズ)IPO |
想定公募価格には十分成長性が織り込まれている印象 07.3期の会社発表業績予想ベースで実質的に課税されていない法人税負担を考慮したEPSは約5千円となる。想定されている公募価格24万円はPER約50倍となる。 業績は急激に改善している状況だが、PER50倍で評価するには、続く08.3期・09.3期に連続で対前期比+50%の増益が必要となるイメージになる。公募価格には成長性を十分に織り込んでおり、これ以上の価格を付けることにはリスクが大きいと考える。 個別データ(肩は対前期比(%))
ソースネクストは、主として個人向けパソコンソフトウエアの開発・販売とその他サービスを行っている。開発方法では、自社内開発と外注による開発、他社著作のライセンスを受けての製品化の3形態で、販売チャネルとしては店頭とインターネットショップ(EC)の2つの方法をとっている。 店頭・ECでソースネクストの製品を購入した顧客に対しては、オンラインでのユーザー登録・メールニュース購読を図っており、06年9月末時点でのユーザー登録者数は315万人、メールニュース工読者数は139万人となっている。 06年9月末での製品数は499タイトルで、主な製品分野は、セキュリティ、ホームページ制作関連、携帯電話関連、PDF作成、教育、ゲーム、特打、驚速など。 製品・販売方法等の特徴としては、1,980円を中心とした低価格での販売、通常パソコンソフトを取り扱っている家電量販店だけでなく、書店・コンビニエンスストア・大型スーパー・ホームセンターなど、販売網を多様化している点がある。
ソースネクストのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、上場関連のニュースリリースと資料、決算公告となっている。平均的な開示水準といえる。 |
06.3期には期末時点の製品タイトル数が394タイトルまで拡大し、販売チャネルについては、従来の家電量販店、書店等に加えて、文具店、カメラ専門店、大学生協等に販路を開拓した。また、家電量販店意外でのソースネクスト専用什器による「ソースネクストコーナー」を展開する店舗数は05.3松の2,646店舗から06.3期には4,209店舗まで拡大した。 こうした取り組みの結果、ソースネクストのマーケットシェアは03年以来3年連続で本数ベースで業界一位、金額ベースで四位となり、パソコンソフト全32ジャンルのうち10ジャンルで首位、25ジャンルで上位三位以内となった。 06.3期の売上高では、店頭販売部門で対前期比+約11%増、EC部門で対前期比+約15%となった。07.3期の会社発表の業績予想では、現在の販売戦略の維持を背景に、引き続き増収が見込まれており、利益に関しても増収効果で大幅な増益となる見通し。 表1 製品カテゴリー別06.3期の販売実績(百万円、前期比%) セキュリティ 2,424 +57.6% ホームページ関連 1,409 +15.4% 携帯電話関連 727 -33.0% PDF作成 647 +63.9% 教育 636 +48.6% ゲーム 583 +224.1% 実用 569 -25.1% ビジネス・ホーム 569 -20.9% ユーティリティ 563 +19.0% 特打 446 +85.5% 驚速 408 -9.4% マルチメディア 281 -15.1% その他 1,091 -20.7% 合計 10,359 +12.6% 表2 販売チャネル別の06.3期販売実績(百万円、前期比%) 店頭販売 6,820 +11.1% EC 3,538 +15.6% 合計 10,359 +12.6% ソースネクストは、02.3期に開始したハードウエアの取り扱い等による利益率の低下や、03年2月から開始したコモディティ化戦略に伴うスリムパッケージの採用と既存製品の入替えによる廃棄等の損失によって、02.3期から03.3期にかけて、3期連続で当期純損失を計上した。この結果、06年3月末での当期未処理損失は約1,151百万円となった。 このことによって、06.3期は実質的な法人税負担が発生していない。また、赤字決算の中での資金調達を借入金等で行ったことで、有利子負債依存度が高くなっている。06.3期末での自己資本比率は約10%、有利子負債依存度は約50%となっている。 過年度から通してみれば、過去に事業戦略の失敗でシュリンクした時期もあったものの、方針を転換して高収益体質に改善されている。有利子負債の多さや未処理損失が残っていることなどで、過去の負の遺産は残っているものの、足元の業績はしっかりしているので、過度に気にする必要はないだろう。ただ、業績は改善中とはいえ、売上高経常利益率は、まだ4%程度に留まっており、更に利益率を改善する必要はある。
06年9月時点のソースネクストの発行済み株式数は56,448株、上場にあたっての公募が5,000株、売り出しが2,000株(売り出し元は会社関係者)、オーバーアロットメントによる売出しが1,050株予定されている。オーバーアロットメント分については、主幹事である野村證券を割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプションの未行使残高が下記のように284株あり、全数が上場直後から行使可能となるので、潜在株式と認識する。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、62,782株とした。 表3 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 00年6月 56株 262,500円 02年6月〜10年6月 01年2月 180株 262,500円 03年2月〜11年2月 01年10月 48株 287,500円 03年10月〜11年10月 目論見書での想定発行価格は24万円とされており、この価格に基づくソースネクストの手取り概算額は約1,089百万円とされている。第三者割当増資による手取り金、約231百万円と合わせた資金使途は、ソフトウエア製品の製品マスターの販売権取得費用や開発費用に270百万円、業務システムとECシステム強化のための設備投資に約791百万円、残額は借入金の返済に充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は、株主名簿では474株だが、この他にドリームインキュベータ4,020株やVTホールディングス380株などは、早期に売却される可能性がある。 会社関係者2名には180日間のロックアップが付されている。但し、発行価格の2倍以上での市場売却は可能。ロックアップ対象の株式数は売り出し対象となっているものを除くと、約37,500株となる。全体の半分強がロックアップ対象だが、会社の支配権の維持のためには、これ以上売却できない水準であり、ロックアップに関してはあってもなくても有効性に変わりはないと考えられる。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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