3834朝日ネットIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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朝日ネット(3834 東証二部)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:情報・通信業

06.3期以降の収益性の悪化から、まだ回復していない
 07.3期業績見通しベースでのEPS約20円に対して、想定されている公募価格400円のPERは約20倍となる。

 朝日ネットの場合は、競合の激化等を背景として販売促進費用の増加などから06.3期に対前期で減益決算となっており、07.3期の中間実績・通期見通しでも、収益性の回復は見られない。依然として競争が激しい模様であり、将来的な収益の伸びも足元では織り込みにくい状況にある。

 株価としては、PER20倍程度の想定公募価格で十分ではないかという印象を受ける。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3会予
売上高(百万円)
4,941
3.2%
5,098

2,630
7.9%
5,502
営業利益(百万円)
1,654
-29.3%
1,169

639

--
経常利益(百万円)
1,664
-29.8%
1,169

635
5.4%
1,232
当期利益(百万円)
958
-58.6%
396

375
70.0%
673
総資産(百万円)
純資産(百万円)
5,389
4,656
5,665
5,298
6,820
5,906
--
--
株主資本比率(%) 86.4% 93.5% 86.6% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
30.9%
20.6%
20.6%
7.5%
9.3%
6.3%
--
--
発行済株式数 32,485 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
29.5
143.3
12.2
163.1
11.5
181.8
20.7
--
配当(円/株) -- 3 -- 7
連結子会社を06年2月に合併
事業概要
インターネット接続サービスとその関連サービスの提供
 朝日ネットは、インターネット接続サービスやインターネット関連サービスの提供を主たる業務として、「ASAHI ネット」でのISP事業を主催・運営している。05.3期〜06.3期にかけては、連結子会社で物販事業を行っていたが、06年2月に朝日ネットが吸収合併したため、06.3期末時点では連結子会社は存在しない。

 ASAHIネットでのISP事業は、インターネット接続サービスとインターネット関連サービスに区分される。インターネット接続サービスでは、複数の提携電気通信事業者と契約して、インターネット接続環境提供のためのアクセス回線を会員に提供している。また、これに付随するサービスとして、提携先である東日本電信電話・西日本電信電話の「Bフレッツ」や「ひかり電話」の注文取次ぎ業務を行っている。提携先は、上記NTTグループのほか、ADSLではアッカ・ネットワークス、イー・アクセス、TOKAIで、FTTH(光)では東京電力、モバイルではKDDI、ウィルコム、NTTドコモとなっている。

表1 会員数の推移(千人)
           02.3 03.3 04.3 05.3 06.3 06.10
ASAHIネット会員  283 298 314 319 346 364
ブロードバンド会員  48  89 124 146 177 202

 インターネット関連サービスでは、従来のホームページサービス、独自ドメインサービス、メールサービス、セキュリティサービスに加えて、ブロードバンド接続サービスを基盤にしたIP電話サービス、固定IPアドレスサービス、ASAHIネットTVなどに拡大している。また、個人向けブログサービスやビジネスブログ、ASP型グループウエアサービスなども提供している。
収支の状況
競合激化を背景に、06.3期以降は利益率が低下
 06.3期は、ブロードバンド会員の獲得に向けて、顧客がブロードバンド接続サービスを申し込む時に、朝日ネットの接続サービスと提携電気通信事業者の回線サービスを一括で申し込むことが可能なサービスメニューの充実に注力した。また、ブログサービスなどの新サービスの提供も背景として、会員数は増加し、特にFTTH利用者が増加した。以上によって、売上高では対前期比で+約3%の増収となった。

 一方、コスト面では会員獲得に向けた販売促進費用が増加したこと、ネットワークコスト・社内管理体制の強化のための人件費が増加したことによって、営業利益以下の利益項目では、対前期で約3割の減益となった。更に、当期利益では、役員退職慰労金として500百万円の支払いが発生したこと等で、前期と比べて大幅な減益となった。

表2 06.3期の販売実績(百万円、%)
インターネット接続サービス 4,000 +2.6%
インターネット関連サービス 1,005 +2.5%
その他                91 +49.3%
合計               5,097 +3.2%

 06.9中間期実績の進捗率をみると、通期の業績見通しは達成可能なペースになっている。ただし、通期見通し自体は、06.3期と比較すると、大幅な増収が見込まれているにもかかわらず、利益ベースでは売上高が増加するほどには増加しない見通しに元々なっている。

 06.3期実績では、販売促進費用などの増加によって減益となったが、この状況が07.3期にも継続していると考えられる。競争の激化によって06.3期から収益性が激変したということなのだろう。足元の状況をみると、05.3期以前の高い収益性を回復することは難しいような印象を受ける。

株式の状況
ストックオプションもベンチャーキャピタルの保有株式もない
 朝日ネットは06年8月に1:50の株式分割を実施し、06年9月時点の発行済み株式数は30,785千株(取引単位は千株)となっている。上場にあたっての公募が1,700千株、売出しが8,220千株(売り出し元は会社関係者)、オーバーアロットメントによる売出しが1,020千株予定されている。ストックオプション等の希薄化要素はない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は32,485千株とした。

 目論見書での想定発行価格は400円で、この価格に基づく公募による朝日ネットの手取り概算額は約622百万円とされている。資金使途は、会員向けのサービスの充実のための設備投資に約309百万円、新規会員獲得にかかる販売促進費用等に130百万円を充当する予定。

 売り出し人9人に対しては180日間のロックアップが付されている。対象となる株式数は、売り出し考慮後で20,180千株、オーバーアロットメント考慮後で19,160千株となり、発行済み株式数の約6割が対象となる。発行価格の2倍以上での市場売却は可能だが、発行価格の2倍以上の株価になる可能性はそう高くないだろうから、発動可能性は低いだろう。
 既存株主にはベンチャーキャピタルは入っていない。

情報開示の状況
平均的な水準で開示あり
 朝日ネットのウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。ただ、該当ページにはトップページからはワンクリックではいけない状態であり、アクセシビリティーは今後の課題か。
 掲載されているコンテンツは、会社概要とニュースリリース、上場関連資料となっており、ほぼ平均的な開示水準。



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