3832T&CホールディングスIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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T&Cホールディングス(3832 ヘラクレス)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:情報・通信業

ベンチャーキャピタルがロックアップ対象なら好条件だったのだが
 業績に関しては急成長中であり、同業態のフィスコが上場時にそこそこ人気化したことなども、T&Cホールディングスにとっては好条件となる。

06.11期の業績見通しベースのEPS約1万円に対して、想定されている公募価格のPERは約33倍となっている。想定公募価格のバリュエーション自体は、成長性が見込めるものの業態としてはそれほど安定的な収益構造では無い点を考慮すると、妥当な水準に感じられる。

 あとは、先に掲げたプラス評価要素と、ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが高いことによるネガティブ要素と、どちらが強いかの判断となる。現在の市況を踏まえると、後者の勢いが強いように思える。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/11 06/5中 06/8 3Q 06/11予
売上高(百万円)
870

689

932
41.3%
1,229
営業利益(百万円)
74

197

177

--
経常利益(百万円)
79

195

175
147.6%
196
当期利益(百万円)
11

148

118
1199.8%
138
総資産(百万円)
純資産(百万円)
774
491
1,411
711
1,396
627
--
--
株主資本比率(%) 63.5% 50.4% 44.9% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
10.2%
2.2%
13.8%
20.9%
12.5%
18.9%
--
--
発行済株式数 13.706 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
773
35,829
10,818
51,853
8,630
45,739
10,044
--
配当(円/株) -- -- -- --

事業概要
投資情報提供事業と金融アドバイザリー事業
 T&Cホールディングスグループは、日本株、中国株、為替・国際金融情報などを提供する投資情報提供事業と、アドバイザリー業務、コンサルティング業務、責任投資業務などを行う金融アドバイザリー事業とを行っている。

 日本株情報については、証券会社を中心とした金融機関向けに、専用端末を通じて1日150本以上のリアルタイム株式情報を有料で配信するトレーダーズ・ダイレクト、個人投資家向けの有料の会員制株式情報サイトであるトレーダーズ・プレミアム、国内外の株式市況やIPO情報、各種経済データなどを揃えた無料株式情報サイトであるトレーダーズ・ウェブによってサービスを提供している。

 トレーダーズ・ウェブの月間平均ページビューは600万件超となっており、証券会社などのバナー広告を掲載することで広告収入を得ている。また、ネット証券各社のニーズに合わせて、上記の投資情報をカスタマイズして、証券会社の証券口座開設者向けのウエブサイトに提供している。

 中国株情報は、中国株投資情報サイト、週刊中国株レポート、中国株二季報などによって行っている。

 為替・国際金融情報提供については、金融機関向けにEメールやFAXで1日に8〜10本の為替・金融レポートの配信や、通信専用回線を経由してリアルタイムで為替市況を24時間配信するニュースシステムなどによって、情報提供している。

 金融アドバイザリー業務では、国内外のインデックス先物や外国為替、株式、未公開株式、知的財産権、不動産、映画などの投資対象、投資スキーム、投資タイミングを投資家に情報提供するアドバイザリー業務を行っている。

また、T&Cホールディングスが発行する私募債について、これを購入する外部の投資家と同じ立場でT&Cホールディングスが購入し、投資家の信頼を得ることで、事業の信用補完等につなげることを目的として、自社が発行する私募債を購入することでの投資運用を行っている。

情報開示の状況
自社の投資情報も積極開示すべき
 T&Cホールディングスのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、上場関連のニュースリリースと上場関連の資料となっている。他の事業を行っている会社なら、この程度でも問題ないだろうが、投資情報サービスを提供する会社である以上、もう少し積極的な開示が望まれる。
収支の状況
06.11期見通しは達成可能ペースだが、第三四半期だけで見ると赤字決算
 05.11期は投資情報提供事業では、日本株関連で株式市況の活況を背景として増収となったほか、主力商品の「トレーダーズ・ダイレクト」の契約台数が順調に推移したこと、インターネット証券を中心に、差別化を図るためにカスタマイズを要するコンテンツ提供が増加したことによって、増収となった。

 中国株関連では、中国株式の市況は他市場と比べて不調だったものの、法人向けのコンテンツ・株価提供の売上が増加し、中国本土の銀行向けに金融データベース販売に注力したことで、増収となった。

 為替・国際金融情報提供では、前年度からサービスをスタートした立ち上げ期であることから、業績は伸びている。

 金融アドバイザリー事業では、アドバイザリーサービスを提供する契約資産が30億円超となり、T&Cホールディングスで購入・運用する私募債のパフォーマンスも好調だったことで、売上高は前期と比較して大幅に増加した。

 利益ベースでは、本社移転費用と役員退職慰労金などを特別損失に計上したことと、法人税調整額がプラスとなったことによって、当期利益の額が経常利益の規模と比較して小さくなっている。

表1 事業別の販売実績(百万円、%)
05.11期 05.11期対前期差 06.5中間期
日本株         316 +45 175
中国株         201 +56 124
為替・国際金融情勢 142 +89 105
投資情報提供計     660 +191 405
アドバイザリー     124 +110 106
コンサルティング    19 +13   8
責任投資        66 +63 169
金融アドバイザリー計 209 +187 284
合計           869 +379 689

 法人税額については、評価性引当額の増減による出入りが激しい上に、連結対象となるか持分法適用になるかで税率が変わる部分があること等によって、非常に複雑になっている。05.11期ベースでみた場合、連結調整に伴う差異や海外子会社の税率差異などは、当面継続するようにみえるが、連結範囲自体が変更になれば状況は全く違ってくる。

 今後に関しては、現状を前提とすれば、06.11期見通しでの税率が当面継続すると考えるしか、方法が無い。

 06.11期の会社発表業績見通しについては、第三四半期実績までの進捗状況をみると、十分達成可能な状況にみえる。ただ、第三四半期単独の業績では、赤字決算(中間決算よりも3Q決算は悪い)となっている点が、気掛かりな点としてある。

株式の状況
ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが高い上に、ロックアップはない模様
 T&Cホールディングスは05年8月に1:2の株式分割を行い、以降新株引受権の行使によって株式数が増加した結果、06年11月の発行済み株式数は11,226株となっている。上場にあたっての公募が1,500株予定されている。売り出しの予定はない。ストックオプションの未行使残高が以下のように1,136株あり、うち980株については上場直後から行使可能となるので潜在株式と認識する。以上から、上場時点の発行済み株式数は、13,706株とした。

表2 ストックオプションの未行使残高の状況
総会決議 対象株数 行使価格   行使期間
01年10月 20株  25,000円 01年12月〜07年11月
04年9月 960株  62,500円 06年12月〜09年11月
05年6月 156株 140,000円 07年11月〜09年11月

 目論見書での想定発行価格は33万円で、この価格に基づく公募によるT&Cホールディングスの手取り概算額は約482百万円とされている。資金使途は、将来の事業拡大に伴う運転資金に充当する予定。

 既存株主へのロックアップは付されていない模様。株主名簿からの推計では、ベンチャーキャピタルの保有株式数は3,200株となる。この規模は公募株式数の約2倍に相当し、株式需給に関しては、リスクとなる。



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