3828ニフティIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ニフティ(3828 東証)IPO

公募価格バリュエーションと初値予想等

セクター:情報・通信業

何が彼等をこうさせたのか?
 会社発表の07.3期業績予想ベースでのEPSは約5,200円で、想定されている公募価格25万円はPER約48倍となる。

 業績に関しては、光ファイバーの新規敷設や顧客獲得サービスなどのコストがこの2年では増加している模様で、07.3期予想に関しても05.3期の利益水準には届かない見通し。市場の飽和度が相当高くなっていると想定されるインターネットサービス事業での妥当なPERは約20倍程度と考えられ、この公募価格は理解できない。本当にこの公募価格で上場するのであれば、追加説明が欲しいところ。


連結データ(肩は対前期比(%))
決算期 05/3 06/3 06/9中 07/3予
売上高(百万円)
63,106
8.9%
68,701

39,261
22.8%
84,397
営業利益(百万円)
3,849
-49.4%
1,947

1,302

--
経常利益(百万円)
3,191
-49.0%
1,629

1,148
30.9%
2,132
当期利益(百万円)
1,795
-58.3%
748

583
58.0%
1,182
総資産(百万円)
純資産(百万円)
28,005
16,006
29,203
16,215
30,754
16,984
--
--
株主資本比率(%) 57.2% 55.5% 55.2% --
ROA(%、経常利益)
ROE(%、当期利益)
11.4%
11.2%
5.6%
4.6%
3.7%
3.4%
--
--
発行済株式数 227.8 (修正後、千株)
EPS(円/株)
BPS(円/株)
7,880
70,263
3,284
71,181
2,559
74,557
5,189
--
配当(円/株) 2,835.5 1,536.5 -- 1,400

事業概要
インターネットサービス事業
 ニフティは、富士通と日商岩井(現双日)の共同出資によるパソコン通信サービス事業を行う会社として設立された。現在では富士通が100%の株式を保有する同社の子会社となっている。

 ニフティグループは、ニフティと連結子会社4社で構成されており、インターネットサービス事業を行っている。

 インターネットを快適に安心して利用することを支援するサービスであるプラットフォーム分野では、ブロードバンドを中心としたインターネット接続環境を提供するISP事業と、セキュリティやデータ保管などの付加価値サービスを提供するIAS事業、電話・メール・出張によってお客さまのインターネット利用に関する問題解決をするサポートデリバリ事業の3事業を行っている。

 インターネットを活用して暮らしを便利で豊かにすることを支援する「利活用」分野では、目的別検索・ブログなどのサービスの提供を通じて利用者の情報発信・情報活用を支援するコミュニティ・メディア事業と、パソコン・携帯電話向けに多様なコンテンツを提供するデジタルコンテンツ事業の2事業を行っている。

情報開示の状況
開示なし
 ニフティのウエブサイトには11月6日時点で投資家向け情報開示のページはまだ設置されていない。公募・売り出しによって最大約8万単元分の新規株主が発生することを考えれば、もう少し開示に力を注いだほうが良いのではないか。
収支の状況
前期ほどではないが、今期も業績は苦戦

表1 ニフティグループの会員数の推移(万人)
               04.3末 05.3末 06.3末
ブロードバンド接続会員数 85  107  138
会員総数           528  530  518
ニフティの国内FTTHシェア 7.9% 7.6% 9.3%

 06.3期は上記のようにFTTHの会員数が増加したことと、セキュリティに関連するサービスやIP電話サービスなどの利用が拡大したことを受けて、プラットフォーム分野では対前期比+約7%の増収となった。利活用分野でも、ブログサービスが広く一般に普及したことを背景としてニフティグループが提供するココログの利用が個人・法人ともに拡大し、広告料収入の増加によって、対前期比+約18%の増収となった。

 一方でコスト面では、光ファイバー接続会員を獲得するための先行投資として、各家庭への光ファイバーを開通するための工事費やインターネット接続設定サービスを無料提供するなどのコストが当期に集中して増加したことで、営業費用が対前期比で大幅に増加し、営業利益以下では対前期で減益となった。

 更に、子会社コマースリンク社の経営不振を受けて、関係会社株式評価損を特別損失に291百万円を計上したことで、当期利益は圧縮されている。

表2 事業分野別の06.3期販売実績(百万円、前期比%)
プラットフォーム分野 59,521  +7.6%
利活用分野       9,179  +18.0%
合計           68,701  +8.9%

 07.3期の会社発表の業績見通しでは、売上高は対前期比+20%強の増収を見込んでいる。利益面では、前期ほどの追加コストや特別損失の発生は見込まれていない模様で、一応は対前期で増益となる見通しとなっている。

 しかし、それでも05.3期実績と比較すると07.3期見通しでは売上高は約3割増加するにもかかわらず、利益水準では05.3期以下にとどまる見通しであり、顧客の獲得と先行投資などの面で、この2年間は苦戦している状況に見える。

株式の状況
ストックオプション、VC保有なく、当面流通するのは公募・売り出し株式だけ
 ニフティは06年4月に1:10の株式分割を実施し、06年9月時点の発行済み株式数は200千株となっている。上場にあたっての公募が27,800株、売出しが41,700株(売り出し元は富士通)、オーバーアロットメントによる売出しが10,400株予定されている。ストックオプション等の希薄化要素は存在しない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は227,800株とした。

 目論見書での想定発行価格は25万円で、この価格に基づくニフティの公募による手取り概算額は約6,478百万円とされている。資金使途は、利活用分野の事業拡大のための設備投資と、ICT技術関連企業への投融資資金に充当する予定。

 上場前の株主は富士通だけで、富士通に対しては180日間のロックアップが付与されている。発行価格の2倍以上での市場売却は可能などのオプションはついているが、こうしたオプションの有無に関わらず、当面は親会社である富士通からの追加売却はないと考えるのが常識的な判断だろう。当面は公開される約8万株だけが市場に流通する。



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