IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ファンドクリエーション(3233 JASDAQ)IPO |
業績は急成長中だが、不動産ファンドへの現在の市場評価からすれば、妥当な公募価格 会社発表での今期業績見通しに基づくEPSは約6,700円で、想定されている公募価格20万円のPERは約30倍となる。 足元の業績は急拡大中ではある。次期以降も、現在のような年に数倍のペースで増益になる状態を維持できる確証があれば話は変わってくるかもしれないが、今の段階では、同業他社のPERと比較して特に割安感はない。 連結データ(肩は対前期比(%))
ファンドクリエーショングループは、ファンドクリエーションと連結子会社7社から構成されており、ファンドの組成・運営等を行うアセットマネジメント事業、不動産物件への投資、上場企業・未上場企業への投資、証券仲介業務等を行うインベストメントバンク事業と、その他の事業を行っている。 アセットマネジメント事業では、日本の不動産を収益源とした毎月分配型の外国投資信託、中国の不動産を収益源とした外国投資信託、日本の不動産を投資対象としたJ-REITを運用している。受託資産残高は06年5月末で約780億円。 アセットマネジメント事業での収益源としては、投資信託の管理報酬・信託報酬、顧客が保有する資産の管理・保全に関する業務委託報酬、J-REITの資産運用報酬、投資顧問報酬のほか、SPCが不動産を取得・売却、管理・保全する際にフィーを受け取っている。 インベストメントバンク事業では、自己資金による不動産投資を行う不動産投資部門と、自己資金による株式等証券投資や証券仲介業を行う証券投資等部門がある。 その他事業としては、ファンドクリエーションがアセットマネジメントを受託する有限会社が保有する物件についての債権譲渡担保登記に関すると数量と、不動産ファンドスキームの中でSPC設立に関する手数料を受け取っている。また、子会社で美術品投資等を行っている。 |
05.11期実績は、全体では順調に業容を拡大しており、前期と比較して増収増益となった。06.5期中間期実績でも、アセットマネジメント事業については好調を維持している。一方、インベストメントバンク事業では、中間時点での不動産投資部門の売却実績がなく、株式市場の低迷を受けてブローカレッジフィーが伸び悩んだ。更に、SPCで調達した物件取得費用の金利負担によって匿名組合出資損を計上したことで、同部門では営業損失を計上した。 06.11期の会社発表業績見通しでの営業収益は、アセットマネジメント事業では、不動産を対象とした公募の投資信託に対して東京都心部に立地する築浅の居住系物件等を組み入れることや、不動産アセットマネジメント受託残高の増加によるフィーの増加を織り込んでいる一方、国内株式等を対象とした投資信託では市況の影響によって運用成績が芳しくなかったことなどで、合計では1,247百万円、前期比でマイナス約13%の減収の見通し。 インベストメントバンク事業では、不動産開発案件や収益物件バリューアップ案件等の売却に伴う匿名組合分配金や、国内外の未上場株投資等の売却益や証券仲介事業での金融機関との取引先拡大によって、合計で4,116百万円、前期比でプラス約656%の増収が見込まれている。 以上によって、営業収益全体では、5,471百万円、前期比でプラス約165%の増収となる見通しで、増収に伴って、順調に増益となる見通しとなっている。要は、アセットマネジメント事業では、下半期に失速、その分は上半期には収益計上のなかったインベストメントバンク事業での大型案件の収益計上によって十分カバーして、対前期比で大幅な増収となる見通し。 表1 事業部門別販売実績(百万円、前期比%) 05.11期 06.5中 06.11会予 アセットマネジメント 1,504 +241.9% 759 1,247 インベストメントバンク 544 +242.2% 104 4,116 その他事業 13 +22.0% 3 108 合計 2,062 +238.0% 867 5,471
ファンドクリエーションは06年3月に1:2、7月に1:10の株式分割を実施し、06年9月の発行済み株式数は291,928株となっている。上場にあたっての公募が18,000株、売出しが14,200株(売り出し元は、会社関係者4,000株、ベンチャーキャピタル3,200株、藍澤証券5,000株、他法人2,000株)とオーバーアロットメントによる売り出しが3,000株予定されている。ストックオプションの未行使残高が40,660株あり、全数が上場後1年以内に行使可能となるので、潜在株式として認識する。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、350,588株とした。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年1月 17,200株 625円 06年1月〜14年1月 04年10月 9,860株 10,000円 06年10月〜14年10月 05年2月 8,000株 19,500円 07年2月〜15年2月 05年9月 1,980株 19,500円 07年9月〜15年9月 05年9月 3,620株 52,000円 07年9月〜15年9月 目論見書での想定発行価格は20万円で、この価格に基づく公募によるファンドクリエーションの手取り概算額は約3,558百万円とされている。資金使途は、インベストメントバンク事業における不動産関連資産への匿名組合出資に1,400百万円、企業投資資金に1,300百万円を充当する予定で、残額は今後アセットマネジメント事業で組成を計画しているファンドのシードマネーに充当する予定。 藍澤証券と会社関係者2名、法人2社に対しては180日間のロックアップが付されている。ロックアップ対象者の保有株数合計は261千株で、このうち11千株は売り出し対象になっているので、実際のロックアップ対象は250千株となる。従って、大半の発行済み株式はロックアップ対象となる。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は、株主名簿では16,000株となっているので、売り出し対象3,200株を除いた上場後の売却可能数は、12,800株となる。こちらにはロックアップは付されていない。相対的には、ストックオプションの行使影響が最もリスクが大きい。
ファンドクリエーションのウエブサイトには、投資家向けの情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、実質的には財務ハイライトだけとなっている。他で事業紹介等、業務内容の解説をしているページはあるものの、もう少し工夫があってもいいのではないかと思う状況。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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