IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
JBイレブン(3066 名証)IPO |
事業上のリスクが幾つかあるため、想定公募価格以上では買いづらい 07.6期の会社発表業績見通しでは、繰越損失が残っていることから実質的な法人税負担が考慮されていない。この分を考慮したEPSは約80円となり、想定されている公募価格のPERは約15倍となる。 現在以上の業績の伸びが見込めるのであれば、この水準から買うことも可能だが、後述のように業績を下振れさせるリスクが数点あるので、想定されている公募価格以上の価格帯で買うことには相当なリスクが伴うと考える。 過去から業績にかかわらず10円の安定配当を継続している点からは、極端に株価が下がった場合には、配当利回り目的として狙う手はある。 個別データ(肩は対前期比(%))
JBイレブンは、極旨ら〜めん「一刻魁堂」と中華定食「中華食堂」を主力業態として、主に郊外型の大型専門店にて多店舗展開している。 地域別の出店状況は、06年10月末で愛知県35店舗、岐阜県8店舗、三重県3店舗、静岡県1店舗で計47店舗を全て直営で経営している。また、店舗食材の一時加工については、名古屋センターに集約している。 JBイレブンの業態別の特徴と06年10月末の店舗数は以下の通り。 ■クイックサービス部門 郊外型店舗の席数100席以上の極旨醤油ら〜めん「一刻魁堂」25店舗 ショッピングセンターのテナント型ラーメン専門店「亀松」2店舗 ラーメンと朝かゆをメインとするフードコート内店舗「SAKURA櫻」1店舗 ■ファミリーサービス部門 中華料理をセット・定食で提供する席数80〜90席の郊外型大型店舗「中華食堂」16店舗 ■カジュアルサービス部門 四川省剣門麻婆豆腐と揚州炒飯をメインとする専門店「龍虎厨房」「龍虎餐房」2店舗 女性層をターゲットとして、炒飯・中華あんかけ焼きそば、アジアンスイーツ、中国茶バーを提供する「J.B.Chang」1店舗
JBイレブンのウエブサイトには11月27日時点では投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社概要が掲載されている程度にとどまる。 |
06.6期は、売上高ではクイックサービス部門で期中に7店を新規出店した効果で対前期比で増収となった。 ファミリーサービス部門では、かつてJBイレブンの主力業態であった中華ファミリーレストラン「11ばん」を業態単位で撤退させている途中であり、6店を退店し、他の業態に転換している。一方で「中華食堂」業態は、「11ばん」からの業態変更を含めて、期中に9店を出店し、部門全体では前期並みとなった。 カジュアルサービス部門では対前期比で増収となっているものの、業態転換を行っている途上で、期末店舗数自体は、前期末比で2店減の3店となった。 表1 部門別の販売実績(百万円、前期比%) クイックサービス 2,379 +22.5% ファミリーサービス 1,262 -0.2% カジュアルサービス 258 +28.6% その他 4 +49.2% 合計 3,904 +14.5% 費用面では、営業費用で本社組織体制の強化に伴って経費が増加したことによって、営業利益は対前期比で減益となった。また、改装・退店に伴う固定資産除却費と減損損失を特別損失に計上したことから、当期利益は前期の赤字から黒字に転換したものの、利益幅は経常利益と比較して大幅に圧縮される結果となった。 07.6期は売上高では前期を大きく上回る見通しとなっているものの、経常利益ではその増収効果があまり出てこない業績見通しとなっている。また、繰越損失が残っていることから、07.6期についても、従来と同様に実質的な法人税負担がされない見込みとなっている模様。 税務上の繰越欠損金は06.6期末で約142百万円なので、07.6期の業績見通しが達成されれば、ほぼ損失は一掃されると思われ、08.6期からは法人税負担が発生する可能性が高い。 07.6期は第一四半期の実績の進捗ペースでは通期見通しを達成できる可能性は高い。しかし、従来からそうなのだが、売上高営業利益率が低めになっていて収益性に課題があること、07.6期の増収見通しが増益につながっていないこと、有利子負債依存度が比較的高く、金利負担が営業利益の2割を占める状況であること、過去には毎期退店関連の損失等を特別損失に計上しており、今後も発生する可能性は十分考えられること、の4点が業績上のリスクとしてある。
JBイレブンは06年9月に1:2の株式分割を実施し、06年10月の発行済み株式数は914,800株(取引単位は100株)となっている。上場にあたっての公募が250千株、売り出しが100千株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプションの未行使残高が87,800株あるが、当面は行使できないので、潜在株式としては認識しない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、1,164,800株とした。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年9月 87,800株 900円 07年9月〜10年3月 目論見書での想定発行価格は1,260円で、この価格に基づく公募によるJBイレブンの手取り概算額は約277百万円とされている。資金使途は、全額を新規出店等の設備資金に充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は株主名簿からの推計では49,600株。ベンチャーキャピタルを含む全既存株主にはロックアップは付されていない模様。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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