IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
三洋堂書店(3058 JASDAQ)IPO |
業績では若干不透明部分があるが、公募価格は妥当なディスカウント 店舗数の増加に比例して業績は順調に拡大している。07.3期の会社予想ベースでのEPS約100円に対して、想定されている公募価格はPER約18倍の水準となる。 07.3期の見通しでは当期利益だけが対前期で減益となっている。大部分は前期の特別利益計上の反動ではあるが、それが全てではなく、更に要因があると考えられる。この点が若干リスク要因としてはあるが、同業他社の水準を考慮すると、PERで20〜25倍ほどで評価されると考えられる。公募価格には一定の割安感があるといえる。 個別データ(肩は対前期比(%))
三洋堂書店は、郊外のロードサイドでの単独出店とスーパーマーケットが開発したショッピングセンター敷地内に別棟で、書店をチェーン店の形態で店舗展開する小売業を行っている。06年9月時点では、中部地方を中心に、2府7県に80店舗を展開している。 また、01年12月には、書店部門、文具部門、セルAV部門、リサイクル部門、レンタル部門のうち、4部門以上を組み合わせた複合型新業態「MEDISITE」を開発している。 |
06.3期には、店舗を新規出店した。レンタル部門でVHSからDVDへのメディア移行を進め、リサイクル部門では販売店舗数を13店舗から21店舗へ8店舗、買取り取扱店舗は29店舗から45店舗に増加させた。 表1 06.3期の部門別販売実績(百万円) 書店 15,834 文具 955 セルAV 3,135 リサイクル 313 レンタル 4,543 合計 24,782 07.3期の会社発表業績見通しでは、新規出店を期中に5店舗、退店を1店舗予定しており、期末時点の想定店舗数は83店舗となる。売上高については、店舗数の増加などによって、対前期比+約4%の増収の見通し。 当社の主力販売商品である書籍・雑誌は再販商品であり、定価販売となっていることから、経年的な利益率の変動は小さく、増収効果がそのまま利益にも影響する構造となっている。07.3期の見通しでも、増収となる見通しを反映して、経常利益では対前期増益の見通しとなっている。 一方、当期利益では前期に対して減益の見通しとなっている。主な要因は前期に役員退職慰労金制度を廃止したことに伴って引当金の戻入れ約140百万円を特別利益に計上したことだが、07.3期見通し自体、経常利益に対する当期利益の率は通常よりも低くなっている。税率が高いか、特別損失を予定しているのかのどちらかだと思われるが、詳細については開示されていない。 05.3期は決算期の変更によって元々7ヶ月の変則決算となっているが、中でも当期利益が極端に小さく計上されているのは、減損損失約169百万円等の特別損失の計上によるもの。
06年10月時点の三洋堂書店の発行済み株式数は2,200千株(取引単位は100株)で、上場にあたっての公募が200千株、売り出しが120千株(売り出し元は会社関係者等)、オーバーアロットメントによる売出しが48千株予定されている。ストックオプション等の希薄化要素はない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は2,400千株とした。 目論見書で想定されている発行価格は1,750円で、この価格に基づく公募による三洋堂書店の手取り概算額は約340百万円とされている。資金使途は、全額を設備資金に充当する予定。 主要株主13名・3社に対しては180日間のロックアップが付与されている。ロックアップ対象は、1,930,529株となり、売り出しとオーバーアロットメント168千株を考慮すると、上場後のロックアップ対象株式数は、1,762,529株となる。ロックアップ対象の発行済み株式数に占めるウエイトは約8割となる。
三洋堂書店のウエブサイトには、10月5日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。直接参考になる情報としては、上場承認に関するニュースリリースが掲載されている程度。 ただ、三洋堂書店のサイトでは、経営理念と社史が詳細に説明されている。長期での株式保有を考えている人にとっては、参考になる情報だろう。 |
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