IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ヒップ(2136 JASDAQ)IPO |
新鮮味はないが、公募価格は安全サイドで想定 07.3期業績予想をベースとしたEPSを約16千円とすると、想定されている公募価格215千円のPERは約13倍となる。最近の市況の悪化を受けて、比較的安全な公募水準で想定されている。市況さえよければ、そこそこの成長性もあるので、PER20倍程度の30万円までは十分評価が可能な銘柄ではある。 ただ、自動車産業の好調さを背景にして業績が伸びている技術派遣業ということだけであり、銘柄としてのそれ以上の新鮮味はない。 個別データ(肩は対前期比(%))
ヒップは大手メーカーを中心とした各顧客企業に対して、その開発パートナーとして技術、設計、開発、生産技術部門等での機械設計、電子設計、ソフト開発の技術サービスを提供するアウトソーシング事業を展開している。拠点は、東北、関東、中部、関西、九州に15拠点を展開している。 顧客企業の事業区分別にみたヒップの主な設計・開発の内容は下記の通り。 ■自動車・輸送機器関連 自動車のボディ、シャーシ、トランスミッション、エンジン カーエアコン、カーナビゲーション、エンジン制御装置等の車載用部品 ■一般機械関連 半導体製造装置、サービス用機器、アミューズメント機器 ■情報通信・精密機器 AV機器、携帯電話、プリンタ、ファクシミリ、医療機器 ■電気電子機器・電子デバイス関連 デジタルカメラ、プロジェクター、民生用機器、LSI ■情報処理・ソフトウエア関連 通信システム、医療検査システム、制御システム
ヒップのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが一応設置されている。現在掲載されているコンテンツは、財務ハイライト程度となっており、肝心の上場に関するニュースリリースはない。ニュースリリースというコンテンツ自体が見当たらない。地引網大会や研修会の写真もいいが、ニュース発信はしてもらわないと困る。 |
06.3期は全体としては技術者の稼働率は94.3%、技術料金の改定を平均+2.7%増としたことによって、売上高は対前期比で+約14%の増収となった。利益面でも、売上高の伸び以上の増益率となった。 事業区分別に販売実績をみると、自動車・輸送機器ではトヨタグループ・日産グループを主要な顧客としているが、自動車の電子化が進む中で電子・マイコン制御教育を強化して電子設計・制御システムへの受注を確保できたことで、対前期比で増収となった。 一般機械では、半導体製造装置の販売は伸びたものの、産業用機械と民生用機器で減少したことで減収、情報通信・精密機器では、複合機・プリンタ関係の受注が増加したほか、医療関連の受注も増加したことで、増収となった。 電気電子機器・電子デバイス関連では、デジタル家電が好調なことを背景として、デジタルカメラ等の製品開発やそれらを支える電子部品・半導体開発に積極的に技術者対応を行ったことで増収、ソフトウエア関連では制御系分野を中心に増収となった。 表1 事業区分別の06.3期販売実績(百万円、前期比%) 自動車・輸送機器 1,620 +8.9% 一般機械 527 -8.4% 情報通信・精密機器 905 +37.0% 電気電子機器・電子デバイス 770 +25.9% 情報処理・ソフトウエア関連 346 +14.2% 合計 4,169 +14.6% 07.3期の会社発表業績見通しでは、売上高ではアウトソーシング事業で主要顧客である自動車・情報通信機器・デジタル家電等からの技術者要請、設計開発業務が前期から引き続き堅調になっていることを背景に、対前期比+約18%の増収を見込んでいる。利益面では、新入社員・中途採用による技術者の増員によるコスト増はあるものの、増収効果によって売上高の対前期比以上の伸びでの増収が見込まれている。 人材派遣関連の業態ではよくある傾向だが、ヒップの場合にも、新卒入社が多いために稼働率が低下し、逆に教育研修費用がかさむ上半期については、特に利益が圧迫される傾向にあり、下期のウエイトが高くなる。 過年度の実績をみると、売上高では上期:下期の比率は48:52程度で大きな差にはなっていないが、営業利益では33-40:67-60、経常利益では35-39:65-60 の比率になっている。 この点を考慮すると06.9中間期の実績は、年間目標に対してインラインとなり、通期見通しの達成には特に問題はないと見られる。
ヒップは06年9月に1:3の株式分割を実施し、06年11月時点の発行済み株式数は11,676株となっている。上場にあたっての公募が1,500株、売出しが1,800株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプションの未行使残高が下表のように99株あり、全数が上場直後から行使可能となるので、潜在株式と認識する。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は13,275株とした。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年10月 99株 10万円 06年10月〜11年10月 ストックオプションの交付先は、普通は従業員のインセンティブ報酬としての意味合いから、従業員だけに割り当てられるものだが、ヒップの場合には、ベンチャーキャピタルや金融機関までもが対象となっている。潜在株式数としては大きくないので、特に影響はないだろうが、このストックオプションの割当先には違和感を感じる。 目論見書での想定発行価格は215千円で、この価格に基づくヒップの公募による手取り概算額は約315百万円とされている。資金使途は、全額を西部事業区域・神奈川事業部区域に取得を予定している社員寮の取得資金に充当する予定。 売り出し人を含めた会社関係者2名と金融機関3行に対しては180日間のロックアップが付されている。ロックアップの対象株式数は、売り出し考慮前で8,001株、考慮後では6,201株となる。発行済み株式数の約半分弱はロック対象だが、金融機関については持ち合い目的の長期保有が本来の趣旨だろうし、会社関係者については支配権の関係から売り出し以上には売ることは出来ない状態であり、ロックアップにはあまり意味がないように思える。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は推計1,050株であり、これはロックアップの対象とはなっていない。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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