IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ネクスト(2120 マザーズ)IPO |
成長性は高いが見通し達成にはリスクあり、公募価格は成長を十分織り込んでいる印象 会社発表の07.3期業績予想ベースのEPS約4,500円に対して想定されている公募価格のPERは約50倍となっており、成長性の高い不動産関連ポータルサイト事業としては、ほぼ妥当な価格想定になっているとみる。 ただし、ネクストの場合には、07.3期も高い業績伸び率を会社サイドでは見込んでいるものの、その背景・要因については、十分に情報開示されているはいえず、見通しの達成にはリスクがあるように感じる。比較的参入障壁の低い業態で、競合他社も多く存在することもリスク要因となる。 以上を考慮すると、公募価格には十分な成長性が織り込まれているとみられる。 個別データ(肩は対前期比(%))
ネクストは、不動産の賃貸・売買に関する情報を提供する不動産情報ポータルサイト「HOME’S」を運営している。また、出資の関係から、ネクストは楽天の持分法適用関連会社となる。 事業区分としては、不動産ポータル事業と、広告代理事業、その他事業の3つに区分される。不動産ポータル事業では、「HOME’S」を不動産関連業者にASPサービスとして提供することで収益を受け取ると共に、同サイトを媒体とした広告収入を得ている。 「HOME’S」はユーザーのニーズ別に7つの不動産情報のポータルサイトから構成されている。賃貸・売買仲介物件を対象としたサイト、投資用物件を対象としたもの、新築物件に特化したサイト、新築分譲一戸建てに特化したサイト、工務店・ハウスメーカー・建築士等の注文住宅施工業者を紹介するサイト、リフォーム業者を紹介するサイトと区分されている。 広告代理事業では、大手不動産会社のインターネット広告プロモーションの支援策の一環として、各種インターネット広告の取次ぎを行っている。その他の事業としては、「HOME’S」の派生事業として、損害保険代理店業務、家賃決済可能なクレジットカードの募集業務、レンタルサーバー、パノラマ撮影用のカメラの販売、システム開発とウエブ制作等を行っている。 |
06.3期は、不動産ポータル事業で、営業人員の増強や大阪支店の新設等によって、表1のように加盟店数や掲載物件が順調に増加した。広告代理事業でも、大手デベロッパー等からの安定的な受注を受けたことで、対前期比で増収となった。 その他事業で、従来行っていたシステム開発・ウエブ制作に関して、その人的資源を収益性の高い不動産ポータル事業に集中させるために、新規顧客からの受注を停止した影響で、対前期比で大幅に減収となった。ただ、元々の売上規模が小さいので、業績には影響を与えていない。 06.3期の当期利益の伸び率が経常利益と比較して低いのは、06.3期に本社移転費用を特別損失として計上していることと、法人税調整額の計上によるもの。 表1 販売のベースとなる主な指標の推移(06.3期実績と対前期比) 賃貸・売買HOME’S加盟店数 7,749店 +2,091店 賃貸・売買HOME’S掲載物件件数 1,914千件 +769件 新築HOME’S掲載物件数 2,139件 +294件 HOME’S総ページビュー数 668,434千件 +285,292千件 表2 事業部門別の06.3期売上高(百万円、前期比%) 06.3期実績 対前期比 06.6/1Q 不動産ポータル事業 2,306 +102.6% 785 広告代理事業 327 +18.6% 40 その他事業 87 -55.7% 10 合計 2,721 +68.8% 837 07.3期の業績見通しが会社から発表されている。07.3期は、06.3期を凌ぐペースで大幅な増収増益が見込まれている。こうした強気な見通しとなっている背景については、特に説明はされていない。第一四半期実績の進捗ペースをみると、中間期の見通しに対してはインラインだが、このペースでは通期見通しに対しては、未達となる。システム関連の事業なので、季節変動がある可能性はあるものの、背景説明がされていない状況の中では、強気な通期見通しになっていると理解せざるをえない。
ネクストの06年8月時点の発行済み株式数は73,011株で、上場にあたっての公募が15千株、売出しが2,500株(売り出し元は会社関係者1,500株、法人1,000株)、オーバーアロットメントによる売出しが2,500株予定されている。オーバーアロットメント分については、主幹事である野村證券を割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプションの未行使残高が下表のように3,979株あり、このうち2,859株は上場後1年以内に行使可能となる。この分を潜在株式として認識し、上場時点の想定発行済み株式数は、93,370株とした。 表3 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 00年3月 1,420株 2,878円 00年8月〜10年7月 03年4月 1,030株 15,000円 05年7月〜15年6月 05年3月 409株 66,500円 07年3月〜15年3月 06年6月 1,120株 公募価格 08年7月〜12年6月 目論見書での想定発行価格は22万円で、この価格に基づくネクストの手取り概算額は約3,046百万円とされている。第三者割当増資での概算手取り額上限511百万円とあわせた資金使途は、今期・来期のサービス強化のためのサーバー・ソフトウエア等の設備投資に約762百万円、今期の広告宣伝費に約692百万円、残額を今後のHOME’S事業他のブランド構築、サービスの強化、アクセス数の向上等を目的とした広告宣伝費に充当する予定。 会社関係者3名と楽天、ベンチャーキャピタル5組合については、180日間のロックアップが付されている。ロックアップの対象となっている株式数は68,436株で、うち1,500株は売り出し対象となっているので、実質的には約67千株がロックされている。但し、発行価格の2倍以上での市場売却は可能となっている。
ネクストのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページは9月27日時点で開設されていない。会社概要が掲載されている程度で、ニュースリリースの中では上場承認の件すらリリースされていない状況。こうしたニュースリリースの扱いをみると、上場に対する認識が甘いように感じる。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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