IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
協和医科器械(3052 JASDAQ)IPO |
公募価格のPER設定は抑え目だが、諸環境を考慮すると妥当な線か 売上高は増収傾向にあるものの、利益面では05.6期以降ほぼ横這いの状態で、当社に対しての成長性はあまり期待できない。 07.6期見通しベースのEPS約40円に対して、想定公募価格500円はPER約12倍となる。同業他社の平均PERが約20倍程度であることを考えれば、比較的抑え目の公募価格設定とも思えるが、今年上場した案件の中では、2月に上場した3022山下医科器械(東証2部)が、初値形成後に株価が低迷している。この点を考慮すると、当社の場合にはPER約15倍程度の約600円まででの価格形成になると想定する。 連結データ(肩は対前期比(%))
当社グループは、当社と連結子会社1社、持分法非適用関連会社1社の計3社で構成されており、医療機器の販売とメンテナンス、介護福祉機器の販売・レンタルを主な事業としている。事業の種類別セグメントでは、医療機器販売事業とその他の事業に区分される。 医療機器販売事業では、国内の医療機器メーカー・代理店・商社等から仕入れた備品・消耗品等の医療機器を国内の病院等医療施設に販売している。 その他の事業では、介護福祉機器の販売・レンタル事業として、国内の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等から仕入れた介護福祉機器を国内の病院等医療施設と一般個人に販売している。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っている。 また、医療機器の修理・メンテナンス事業として、当社が病院等医療施設に販売した医療機器の修理とアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンス契約を行っている。 |
05.6期は、子会社が循環器・心臓血管外科の専門ディーラーとして静岡県内全域をカバーする体制を構築するなど、営業体制の整備を進めたこと等によって新築病院での設備機器の販売が増加し、また、薬剤溶出型冠動脈ステントの販売が好調であったこと等によって、対前期比で増収増益となった。 【表1 事業の種類別セグメントでの販売実績(百万円、%)】 05.6期 対前期比 05.12中 医療機器販売事業 43,449 +3.4% 22,108 その他の事業 1,829 +14.0% 870 合計 45,279 +3.8% 22,979 06.6期の業績見通しでは、静岡県内で高度先端医療機器の販売が順調、首都圏地域でも新規取引病院の増加等が寄与し、一方で期限切れ医療機器の販売による薬事法違反に伴う業務停止命令があったものの、全体の売上高では対前期比+約6%の増収となる見込み。 この中では、その他セグメントに属する介護・福祉機器の販売・レンタルが順調に推移したことや、公共施設向けにAED(自動体外式除細動器)の販売が増加、放射線機器の修理の増加によって、当セグメント単独では対前期比+約17%の増収となる見通し。 利益ベースでは、利益率の低い大型医療機器の販売増加や償還価格の低下によって、対前期比で経常減益となる見通し。 07.6期の会社発表の業績見通しでは、医療機器販売事業で、病院新築案件の獲得と高度医療機器や最先端の手術器械等の販売増加を織り込み、その他事業でAEDの前期からの販売好調の継続、新規施設の開設による介護福祉機器の販売・レンタルの増加を織り込んで、対前期比で増収とされている。 経常利益では、費用面で人員増に伴う経費増がある一方で、借入金の圧縮・社債の償還に伴う支払い利息の減少の結果、対前期比で、若干の増益となる見通し。 「償還価格」は、公的医療保険制度において、医療機関が診療機関として保険機関に請求できる代金のうち、医療材料として請求できる材料(特定保険医療材料)の請求価格を指す。原則2年に1回実施される診療報酬の改定に伴って償還価格も改定されるが、改定率は一律ではなく、材料によって異なる。当社グループが販売している償還価格の対象となる特定保険医療材料は、売上高の約3割を占めている。 当社グループの売上高の約9割は病院等の医療機関向けとなっているが、病院等は年度末にかけて設備投資を集中して行う傾向があるため、当社グループの販売高は2〜3月に高くなる傾向がある。過年度の売上高では四半期毎の売上高シェアは大きく変わらないものの、営業利益段階では、第三四半期の計上ウエイトが6〜8割程度と極端に高くなり、半期ごとに見ても、下半期のウエイトが7〜10割を占める。
当社は06年5月に1:20の株式分割を実施し、06年8月時点の発行済み株式数は6,021,360株(取引単位は千株)となっている。上場にあたっての公募が1,800千株、売り出しが200千株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプションの未行使残高が下表のように1,023,173株あり、全数が上場直後から行使可能となる。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、8,844,533株とした。 【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 02年9月 1,023,173株 131円 04年9月〜12年9月 目論見書での想定発行価格は450〜500円とされており、この平均価格475円に基づく公募による当社手取り概算額は約779百万円とされている。資金使途は、社債の償還資金に200百万円、次期基幹コンピュータシステム(投資総額約605百万円、07年12月完成予定)の開発資金の一部に218百万円、残額を運転資金とする予定。 株主名簿に記載されているベンチャーキャピタルの持ち株数合計は480千株で、ロックアップは付与されていない模様。ストックオプションの行使による希薄化効果は1割以上あるが、ベンチャーキャピタルの保有分については、それほど高いウエイトではない。
当社ウエブサイトには8月14日時点で、投資家向け情報開示のページは設置されていない。会社概要の中で財務情報について簡単に触れている程度で、上場承認のニュースリリースも掲載されていない状態。そもそもサイトの更新履歴を見ると、2006年で2件しか更新されていない。サイト自体の更新頻度がこれでは、投資家向けの情報開示もあまり期待できないだろう。 |
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