IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
ネットエイジグループ(2497 マザーズ)IPO |
セクター:サービス業 公募価格には今後の成長性を十分織り込まれていると想定 07.3期会社発表の業績見通しベースのEPSは約7,800円で、これに対する想定公募価格の上限値62万円はPER約80倍に相当する。 業績自体は高い伸び率を示しているが、現状でPER80倍を超えての業績成長を織り込むことにはリスクが高い。最近上場しているネット系企業の状況と比較しても、現在の市況では公募価格から大きく高騰することは見込みにくい。 連結データ(肩は対前期比(%))
当社グループは、純粋持ち株会社である当社と連結子会社12社、持分法適用会社2社で構成されており、広告配信サービス、メールマーケティングサービス、イー・コマース(電子商取引)サービス等を行うインターネット関連事業と、ベンチャーキャピタル投資、インキュベーションオフィス運営、コンサルティングサービス、人材採用支援サービス等を行うファイナンス・インキュベーション事業を主な事業としている。 インターネット関連事業の中心は、携帯電話向け広告配信サービス(KLASS)で、これと事業上の相乗効果の見込めるPC向けの広告配信サービスについて事業拡大を図っている。また、広告枠を持つ携帯コンテンツサービス・PCインターネットサービスを積極的に開発して、自社所有の広告枠を拡大することで、収益の向上を図っている。 携帯電話向け広告配信サービスは、広告主から受け取った携帯電話向けの広告を携帯コンテンツサービス事業者から仕入れた一般サイトの広告枠に表示することで、表示した広告を経由して一般ユーザーのアクセスを広告主のサイトに誘導するもの。 インターネット関連事業では、そのほかメール配信システムの提供、メール配信代行、メール製作支援などのメールマーケティングサービスや、企業のインターネットシステム等の技術支援サービス、ブログ・ウエブサイトの記事内容を解析して、その文章の内容に沿った広告を表示するコンテンツ連動型広告サービス、メーリングリストや検索エンジン等のソフトウエア販売を行っている。 ファイナンス・インキュベーション事業では、ベンチャーファンドを複数設立・運用し、投資活動を行うと共に、ファンドから安定した管理報酬を得ることを目的としている。現在設立・運用中のファンドは5本で運用総額は4,728百万円。 その他の事業としては、ベンチャー企業等に対する育成の一環としてプレスリリース配信代行サービスや、創業期のベンチャー企業が複数入居できるインキュベーションオフィスの運営、ウエブサイト構築のコンサルティングサービス、ベンチャー企業等の人材採用活動の支援サービスを行っている。 |
06.3期は、インターネット関連事業で携帯電話向け広告配信サービスに注力したことと、ソフトウエア販売会社とコンテンツ連動型広告配信サービス会社をグループ内に編入したことで、対前期比+約98%の増収となった。ファイナンス・インキュベーション事業でも、投資した有価証券の売却と投資先ベンチャー企業に対する支援サービスの拡充に努め、対前期比+約69%の増収となった。 07.3期の会社発表の業績見通しでは、06.3期実績と比較して約50%・10億円の増収が見込まれているが、06.3期の実績からも、今期の想定からも、この増収については、企業買収による規模拡大によって達成するのか、既存事業の増収なのか、ファンド売却によるものなのかは明示されていない。唯一の手掛かりとなるのは、広告配信サービスの年次別売上高が開示されている点だけとなっている。これを見ると、感覚的には約10億円の増収見通しのうち、広告配信サービスで半分程度の貢献を見込んでいるのではないかと想定する。 【表1 広告配信サービスの売上高(千円)】 04.3期 05.3期 06.3期 6,815 255,606 668,119 一方、利益貢献の面では、過年度のセグメント別実績からは、インターネット関連事業よりもファイナンス・インキュベーション事業のほうが利益率が高くなっている。 【表2 事業の種類別セグメントの実績(百万円、%)】 インターネット ファイナンス 連結 売上高 629 381 1,011 05.3期 営業利益 -53 236 62 利益率 -- 62.1% 6.2% 売上高 1,249 647 1,896 06.3期 営業利益 108 439 373 利益率 8.7% 67.9% 19.7% 当社の事業形態の場合、ネット関連事業と投資ファンド事業を両方行っていること、更に両事業とも外部の第三者が収益動向を予想しにくいことがあり、いずれにしろ今期の見通しの達成の確実さについては、不透明な印象が強い。
06年3月時点の発行済み株式数は36,962株で、上場にあたっての公募が3,500株予定されている。ストックオプションの未行使残高は下表のように3,324株あり、このうち3,079株は上場直後から行使可能となる。この分について潜在株式と認識し、上場時点の想定発行済み株式数は43,541株とした。 【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 02年11月 1,040株 75千円 03年1月〜13年1月 02年11月 230株 75千円 同上 04年6月 253株 75千円 05年4月〜15年4月 05年6月 1,556株 75千円 05年8月〜15年8月 06年6月 245株 75千円 08年6月〜16年6月 目論見書での想定公募価格は58〜62万円となっており、この平均価格60万円に基づく公募による当社手取り概算額は約2,060百万円となっている。資金使途は、1,030百万円をインターネット関連事業の事業拡大のためのシステム投資、営業・技術スタッフの採用費用、携帯コンテンツサービスの新規開発等に充当し、残額はベンチャーキャピタル投資、ベンチャー企業支援事業のサービス強化のための運転資金等に充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式数は、株主名簿では4,041株が記載されており、ロックアップ対象とはなっていない模様。ストックオプションによる希薄化効果と、ベンチャーキャピタルの保有ウエイトは共に発行済み株式数に対して1割強程度のウエイトであり、極端に高い状況ではない。
当社ウエブサイトには投資家向け情報開示のページが既に設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメントメッセージと、決算広告、FAQとなっている。上場関連の資料については、承認に関するニュースリリースだけで、詳細資料がサイトで開示されていないのは残念だが、FAQが充実している。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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