IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
インスペック(6656 マザーズ)IPO |
06.4期、07.4期の業績見通しが会社から発表されているが、繰越損失が残っているために、両期ともに法人税の実質負担がされていない。この分を考慮した実力でのEPSは約1万円程度になる。 業績面では売上高で毎期約20%程度の増収を続けており順調だが、電子機器の販売動向に大きく影響を受ける構造であり、決して安定的に増益トレンドにあるとはいえない。上記EPSでみた想定公募価格のPERは約50倍となり、割高感がある。 ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが高いことと、ストックオプションが比較的大量にあり、株式需給面でもネガティブ要素がある。
当社は、半導体に使用される精密配線板である半導体パッケージと、液晶のガラスパネル表面に形成されている液晶TFTアレイ(ガラス上の薄膜トランジスタ)の外観検査装置の開発・製造・販売・保守サービスを行っている。当社製品は原則として受注生産となっている。 当社の検査装置には、自社で開発した画像処理システムを搭載しており、次のように世代別にその構成・機能が異なっている。 Inspec I / 市販の画像処理コンピュータとカメラの間に取り付けて性能を向上させる前処理装置で、カメラの画像信号を本装置が持つハードウエアでの画像処理機能で前処理し、検査性能を向上させる機能を持つ。 Inspec II / 8,000画素ラインCCDカメラの画像を高速処理できる画像処理専用コンピュータで、上記カメラの画像処理をハードウエアで実行できるので、ソフトウエアで処理する場合と比較して、100倍以上の処理速度を持つ。検査できるサイドに制限があるため、半導体パッケージのような小さいサイズの検査を対象とする。 Inspec III / 16,000画素ラインCCDカメラの画像を高速処理できる画像処理専用コンピュータ。Inspec IIと比較して約3倍の処理速度を持ち、検査できるサイズに制限がないため、液晶ガラス基板のような大きめのものの検査が可能となる。
04.4期は赤字決算となった。これは、この前年度に販売したテープ検査装置の初号機について、無償保証期間内にユーザーの追加要求が多発し、追加コストが発生したことによる。 05.4期は主力製品であるテープ検査装置について、前年度に初号機を立ち上げて以降、完成度が上がったことで販売が好調で、年間に24台を販売、全体の売上高の約72%を占めている。リードフレーム検査装置も、自動車の高機能化に伴って車載用半導体の用途として生産量が増加しており、品質要求が高いことから、自動検査のニーズが高まっている。こうしたニーズの増加を背景として、05.4期には4台の販売実績となった。 05.10中間期では、テープ検査装置で8台、リードフレーム検査装置で9台を販売した。また、次世代の主力製品として取り組んでいた液晶TFTアレイ検査装置について、納入済みの初号機が今期期初から量産ラインで稼動を開始され、今後の販売が見込める状況となっている。 一般に携帯電話・液晶テレビ・パソコンなどのデジタル家電は、夏・冬のボーナス商戦・新年度商戦にあわせて新製品の発売計画を立案し、出荷数量のピークがそれらのタイミングに合うように生産計画が立てられる。このため、増産=検査装置の増設に入るタイミングが10月、1月、4月頃となる模様。この影響を受けるために、当社業績は下半期にウエイトが高くなる傾向にある。過年度の実績では、売上高は上期・下期でほぼ半々だが、営業利益・経常利益では、15:85のウエイトで下期中心に利益計上されている。 当社製品の販売先では、MCS向けの売上高ウエイトが高く、過去実績では売上高全体のうち、MCS向けのウエイトは40〜60%となっている。特定の顧客に非常にウエイトがかかっている状態にある。また、この販売先は、当社より先に上場を予定している4241アテクトの主要販売先ともなっている。4241アテクトと6656インスペックは共に、MCS社の販売動向に影響を受けるということになる。 結局、検査機器の新製品の性能等と納入先の業績動向で、当社の販売台数が決定される構造となっており、過年度の決算と同様に、今後の業績の変動幅も大きいことが予想される。なお、当社はまだ繰越損失が残っている状態のため、実質的な法人税の負担が発生していない。
当社は06年3月に1:2の株式分割を実施し、06年3月時点での発行済み株式数は8,368株となっている。上場にあたっての公募が2,200株、売り出し(売り出し元は会社関係者)が200株予定されている。ストックオプションの未行使残高は下表のように1,722株あり、このうち上場直後から行使可能な1,598株を潜在株式として認識する。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、12,166株とした。 【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 00年3月 222株 10万円 02年3月〜10年3月 03年7月 200株 20万円 05年8月〜13年7月 04年3月 1,176株 20万円 06年4月〜14年3月 05年7月 136株 20万円 07年8月〜15年7月 * 文中とは合計不一致 目論見書での想定発行価格は55万円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は、約1,094百万円とされている。資金使途は、本社工場の増築工事等に390百万円を充当し、その中から増築工事の先行支払いのために調達した借入金133百万円の返済に充当する。また、次世代向け画像処理システムの応用開発と、これを搭載した最新のデモンストレーション用検査装置の制作に335百万円を充当する予定。 ベンチャーキャピタルの保有株式は5,148株で、公募考慮前の発行済み株式数に対するウエイトは61.5%と高い比率となっている。ストックオプションとあわせると約7,000株となり、発行済み株式数の半分以上が、上場直後から市場に流通する可能性がある。
当社ウエブサイトには既に投資家向け情報開示のページが設置されている。掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライトだけで、上場関連のニュースリリース・関連資料は掲載されていない。もう一息頑張って欲しい。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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