3031ラクーンIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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ラクーン(3031 マザーズ)IPO

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セクター:卸売業
ドリコムの再来となるか
 PLでは前期に単年度黒字化し、売上高・利益ともに今期も大幅に向上する予定だが、BSでは未処理損失が残る状態にある。会社発表ベースの今期予想EPSは単純計算では約12千円だが、法人税を実質的に支払っておらず、実力的には6千円の水準である。

 業績の伸びに関しては今後も高い水準は予想されるものの、公募価格ベースでも既に今期予想の実力EPSに対して、PERは約130倍の水準にある。先日上場したドリコムのように、更に上場後には高い市場評価がされる可能性はあるだろうが、ドリコム以上に将来性を予測しにくい業態であり、評価・判断は非常に難しい。

事業概要
eマーケットプレイスの運営を通じての商品の仕入・販売
 当社は、インターネット上に設けたeマーケットプレイス(企業間電子商取引の場)の運営を通じて、主にアパレル・雑貨の製造業者・輸入業者から仕入れた商品を、主に地方小売店・中小規模小売店に対して販売している。当社の運営しているeマーケットプレイスは、過剰在庫品を取り扱う「オンライン激安屋」、新商品・定番商品を取り扱う「スーパーデリバリー」の2つで、それぞれの06年1月末時点での規模は、「オンライン激安屋」の出展企業数1,811、会員小売店数31,648、「スーパーデリバリー」の出展企業数357、会員小売店数5,515。

 「オンライン激安屋」は出展企業と会員小売店の登録は共に無料だが、「スーパーデリバリー」は、出展企業からは出展時に出展初期費用、出展1年ごとに出展更新料を徴収し、会員小売店からは毎月一定額の回避を徴収している。

 「オンライン激安屋」の仕入れ方法には、消化仕入れと買取り仕入れの2通りがある。消化仕入れは出展企業から販売委託を受け、預かり商品として商品の納品を受ける方式。仕入れ価格は当社から会員小売印への販売価格から一定の販売マージンを差し引いて事後的に計算している。買取り仕入れは、会員小売店への販売に先立って出展企業から商品を買い取る方法で、消化仕入れと同様に、出展企業から買い取った商品は、通常販売及びオークション販売の方法によって会員小売店に販売している。販売方式の併用は、通常販売で一定の販売期間を経た後に、オークション販売に移行するスタイルをとっている。

 「スーパーデリバリー」では、出展企業がサイト上にショッピングモールのように並んで、会員小売店との間で、注文・出荷・商品の問合せ等まで2社間で直接行い、商品代金の決済についてのみ、当社が介する仕組みとなっている。売買契約については出展企業と当社、当社と会員小売店で別個に存在する。また、「スーパーデリバリー」では、会員小売店向けのメールマガジンによる出展企業紹介などの広告サービスや、掲載商品の画像撮影の代行サービスなどの各種オプションサービスを提供している。

収支の状況
「スーパーデリバリー」部門が業績貢献大だが、今期はなおも未処理損失が残る
 売上高では、「スーパーデリバリー」での伸び率の高さが顕著になっている。05.4期から新たに出展企業向けに開始したセミナーが好評であり、またセミナー参加企業の出展企業獲得率が高いことから、出展企業が増加したことによる。出展企業数が増加したことに伴って、掲載商品も大幅に増加したことで商品バリエーションが充実し、その結果、会員小売店数が増加、商品売上も増加する形となっている。

 また、「スーパーデリバリー」では商品自体の売上総利益率は低いが、売上にかかる経費は売上高に比例して増加する構造にはなっていないため、当分野での商品売上の増加は直接営業利益の増加に貢献している。

 当社の取り扱う商品は比較的季節性の高いものが多いため、小売店でのセール時期が終了した直後にあたる8月、1月、2月には売上高が減少する傾向にある。

 当社は、05.4期末で約558百万円の未処理損失を計上している。05年7月には資本準備金約360億円を取り崩したことで一部は解消しているが、05.10中間期末で約162百万円と、依然として未処理損失が残る状況にある。05.4期には当期利益が経常利益を上回る金額となっているのも、法人税等調整額が-約25百万円とマイナスで計上されていることによるもの。05.10中間期についても同様の傾向になっている。今期の会社予想の経常利益は1億円であるため、今期中の未処理損失の解消は不可能であり、早くて次年度末となる。

株式の状況
ストックオプションとVC保有株があり、好需給は望みにくい
 当社は00年11月と01年8月に1:2の株式分割を実施し、05年11月時点の発行済み株式数は7,596株となっている。上場にあたっての公募が1,200株、売り出しが400株(売り出し元は、会社関係者50株、ベンチャーキャピタル350株)予定されている。ストックオプションの未行使残高は1,034株存在する。このうち、上場後1年以内に行使可能となる886株について、潜在株式と認識する。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、9,682株とした。

 ストックオプションによる希薄化効果が約1割程度あり、かつ後述のようにVC保有ウエイトが約2割あることから、株式の需給面ではポジティブな要素に乏しい。

【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】
総会決議 対象株数 行使価格   行使期間
00年7月   20株   62,500円  02年8月〜07年7月
04年7月  866株   200,000円 06年9月〜14年7月
05年7月  148株   200,000円 07年9月〜15年7月

 目論見書での予定発行価格は80万円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は940百万円とされている。資金使途は、「オンライン激安屋」・「スーパーデリバリー」サイトシステム及び社内業務システムに関わる設備投資に242百万円、借入金の返済に75百万円、残額は業容拡大に伴う運転資金やシステム拡充のための資金に充当する予定。

 ベンチャーキャピタルの保有株式数は2,200株(売り出し対象350株含む)となっており、ロックアップ対象とはなっていない。従って、上場後には売り出し分を除いた1,850株が市場に放出される可能性がある。

情報開示の状況
そこそこの開示水準
 当社ウエブサイトには既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライトとなっている。上場関連のニュースリリースが掲載されていないのは残念だが、ある程度の開示水準は期待できそうな状態にある。


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