2480システム・ロケーションIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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システム・ロケーション(2480 JASDAQ)IPO

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セクター:サービス業
そもそも、公募増資の必要性が感じられないが・・
 インターネットを活用した新規性のある事業形態だが、業績自体はリース車両台数に影響される面が大きく、IT関連産業としての爆発的な成長性を示しているわけではない。

 今期予想EPS約150円に対して、想定されている公募価格はPER約45倍と、比較的高めに公募価格は想定されている。また、当社の場合には、公募で得た資金の活用方法に疑問が残るし、それ以前に、現在までに積み上げられた手元現預金の有効活用策も示されていない。

 上場・公募を行うということは不特定多数の投資家から資金を募ることであり、企業としては資金を預かる責任を十分に認識して、資本政策を明確に示してもらいたい。

事業概要
リース会社など自動車関連ファイナンス事業者向けの業務支援
 当社グループは、当社及び子会社1社と関連会社1社から構成されており、リース会社等の自動車関連のファイナンス事業者を対象として、リース期間が満了した車両等の再販売のための機会を提供する入札会のウエブ上での開設と運営、及びこれに必要なシステムの提供・開発を行っている。当社の事業は、車両再販業務支援、システム業務支援、営業業務支援の3つに区分される。

 車両再販業務支援では、売り手である自動車関連ファイナンス事業者向けに出品支援システムを提供、買い手である中古自動車関連事業者向けに入札支援システムを提供し、全国車両保管ヤードの車両情報から、車両状態、入札手続き、落札結果、請求内容の確認についての情報を、インターネット上で提供している。

 システム業務支援では、入札会の開設を通じて得られた中古車の相場を中心とした情報をフィードバックして、中古車両の価値の評価・算定システムを自動車ファイナンス関連の事業者に対して提供している。

 営業業務支援は、06.3から新規に立ち上げた事業で、自動車関連ファイナンス事業者による新規顧客の開拓のための営業活動を支援するツールを提供している。

収支の状況
特殊要因を除くと、業績は微増傾向
 05.3期は、04.3期に1997年4月に改正された消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要時のリース契約車両の終了・解約が急増したことで、入札会に出品される台数が増加したことの反動などの影響によって、車両再販業務支援分野では、前期比マイナス約3%の減収となった。また、システム業務支援分野でも、大口案件が06.3期にずれ込んだことや新規商品の立ち上がりが遅れたことなどによって、前期比マイナス約2%の減収となり、売上高全体でも前期比マイナス約2%の減収となった。利益面では、減収影響があったことに加えて、入札用車両保管ヤードの移転費用が一時的に増加したことと、特別損失に役員退職慰労金の過年度繰入額約72百万円を計上したことによって、対前期で減益となった。

 05.9中間期には、車両再販業務支援分野では、大型台風等の影響を受けて、当初予定されていたリース満了・再販予定車両の返却が鈍化したことにより、売上は伸び悩んだが、システム業務支援分野で前期からずれ込んだ大型案件が計上されたことで、大幅な増収となった。

 06.3期の会社発表の業績予想では、車両再販業務支援分野では入札会出品車両台数が前期比で+約11%の増加が見込まれている。システム業務支援分野では、既存顧客からの継続的なシステム使用料が見込まれることと、システム開発案件での受注増によって、売上高では前期比+約60%の増加を見込んでいる。売上高全体では、対前期比で+約10%の堅調な伸びが予測され、利益面では、安定的な増収を背景として、営業利益で+約37%、経常利益で+約24%の大幅な増益となる見込みとなっている。

 結局PL上では、特殊要因による出入りが04.3期〜06.3期にかけてあったことで年度ごとにバラつきが発生しているが、こうした特殊要因を取り除くと、業績としては微増程度であり、特に大きな成長性は感じられない。

 BS上では、左側では、現金・預金が約11億円あり、総資産約16億円に対して、過半を占めており、右側では利益剰余金が約7億円の規模となっている点が特徴的になっている。これまでの利益については、相当額を内部留保し、その結果、手元現預金が積み上がっていることになる。利益剰余金を一回の配当で全額を還元すれば、1株当り500円程度となる。

株式の状況
公募に必然性は感じられず、資本政策は理解しかねる
 当社は05年12月に1:10の株式分割を実施し、06年3月時点の発行済み株式数は1,150千株(売買単位は100株)で、上場にあたっての公募が40千株、売り出しが120千株(売り出し元は会社関係者)予定されている。ストックオプション等の希薄化要素は存在しない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、1,190千株とした。

 目論見書での想定発行価格は6,300円で、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は、約232百万円とされている。資金使途は、約62百万円をシステム開発費用と設備投資資金に充当し、残額については、人員採用活動費や将来の新規事業を構築する資金に充当する予定となっている。

 これはつまり、公募資金の大半は特に使途が決まっていない、ということを意味する。しかも、当社の場合には手元現預金は上述のように、システム開発費用62百万円を遥かに上回る規模で残っており、公募資金がないとシステム開発が出来ないわけではない。

 また、上記のように、公募前の段階で既に利益剰余金と現金・預金が積み上がっているところに、更に使途の決まっていない公募資金がオンされることで、現預金は更に増加することになる。以上の点を考えると、上場にあたっては売り出しだけで十分であり、資金使途のない公募を行う必然性は感じられない。今回の公募にまつわる当社の資本政策には、理解しがたい面が多分にある。

 株主名簿で判明したベンチャーキャピタルの保有株式は7千株であり、特に注意が必要な水準ではない。

情報開示の状況
一定の開示水準は期待できそう
 当社ウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・メッセージと財務ハイライト、業績予想となっており、上場関連の資料の掲載が無い点だけが残念だが、あとは一定の開示水準にあるといえる。


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