9380東海運IPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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東海運(9380 東証二部)

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セクター:倉庫・運輸関連業
業績面では増益を継続して達成しており、今期も好調、将来の期待感もあり
 業績面では、売上高が横這い〜微増だが、利益ベースでは着実に毎期増益を達成しており、今期も増益となる可能性が高い。また、3PL事業への進出等、将来に向けての業績拡大の可能性もある。

 海運業の平均的PERや親会社である太平洋セメントの業績予想ベースPERを参考にすると、共に20倍程度である。当社の今期予想EPSを35円とすると株価水準は700円となる。EPSは更に増額される余地はあるが、子会社ディスカウントも考えられるので、この水準が下限として妥当だろう。将来の業績拡大期待を織り込めば、800円以上もありえる。

事業概要
港湾運送、陸上運送等の物流事業及びセメント専用船等による海運事業
 当社グループは当社、親会社である太平洋セメント、子会社8社、関連会社8社で構成されており、物流事業、海運事業、不動産事業の3事業を行っている。

 物流事業では、港湾における輸出入貨物の受け渡し、揚げ積み、荷捌き保管等の荷役作業、寄託された貨物の倉庫への入出庫、保管作業、税関に対する通関手続き、輸出入貨物の国際複合一貫輸送、一般貨物車・大型トレーラー車等による貨物の運送・コンテナ運送、カーフェリー輸送、引越し業務、得意先の工場構内での貨物の保管・移動・梱包・搬出入業務等を行っている。

 海運事業では、セメント専用船によって、太平洋セメントの製品輸送、一般貨物船による石膏・石灰石・石炭灰等の内航輸送業務等を行っている。このうち、石炭灰等の産業廃棄物輸送は、今後の成長分野として位置づけられている。

 不動産事業では、関係会社が不動産の売買・賃貸・管理等を行っている。

収支の状況
売上高は横這いだが、継続的に増益傾向
 最大セグメントである物流事業が好調に推移しており、これに加えてコストダウン等の進展によって、足元では、売上高では毎期ほぼ同水準であるが、利益ベースでは毎期増益を達成している。今中間期の進捗ペースをみると、今期も増益となる可能性が高いと考えられる。後述のように将来的にも事業成長の芽は持っており、今後、更に収益が拡大する潜在力はある。

 05.3期の物流事業では、国際複合輸送でのプロジェクトカーゴの獲得や中国での特殊コンテナ貨物の取り扱いの増加、海上コンテナでは中国・東南アジアからの輸入が好調であった上、環境関連では汚泥輸送も順調に推移した。カーフェリー輸送も対前期比+12%の増加となった。05.9中間期でも、セメント・建材の陸上輸送は減少したが、米国・中国の景気拡大に伴う海上コンテナの増加や、タイ向け等での輸出入国際貨物の取扱量の増加があった。また、期初から、自動保管システム倉庫である弥富バンニングセンターが稼動を開始しており、収益貢献している模様。

 一方、海運事業では、主要貨物であるセメントの輸送量について、公共投資が低調であることから国内需要が減少傾向にある。東南アジアを中心に海外でのセメント海上輸送の需要は高いものの、セグメント全体では対前期減収・減益となっている。05.9中間期には、国内での石灰灰・石膏等の輸送量が増加、東南アジア向けのセメント等の輸送は前期に引き続いて順調に推移しているなど、持ち直している模様。

 ほとんど業績面では安定しているように見えるが、輸出入貨物をターゲットとした3PL(サードパーティーロジスティックス)事業への本格参入を今後予定していることや、環境事業への注力、ロシア・東欧地域への事業拡大などを図っており、将来的な成長可能性が見られる。3PL事業については、上場にあたっての公募資金の充当先としている弥富バンニングセンターが、事業の本格展開へのキーと位置づけられている。

 当社の有利子負債残高は05.3末で約181億円、05.9末で約171億円となっており、総資産に対する有利子負債依存度でも05.3末で47.3%、05.9末で45.5%と高いウエイトを占めている。ただ、今回の公募増資による手取り金は大部分を有利子負債の圧縮に使う予定になっており、これによって約20億円程度は圧縮されることになる。

 当社は04.3期に固定資産処分損約63百万円、減損損失約123百万円等の特別損失を約194百万円計上し、05.3期にもゴルフ会員権評価損などで約90百万円計上している。05.9中間期でも、本社移転費用等で計36百万円を特別損失で計上しており、一時的損失を毎期処理する傾向にある。今後も、特別損失の計上には注意が必要。

株式の状況
ストックオプションが残っているがウエイトは低い
 05年12月時点の当社の発行済み株式数は24百万株となっている。上場にあたっての公募が3百万株(1単元は千株)予定されている。更に太平洋セメントを売り出し元とする売り出しが3百万株、オーバーアロットメントで900千株が実行される可能性があり、これは主幹事である野村證券を割当先とした第三者割当増資となる可能性がある。ストックオプションの未行使残高が下表のように1,186千株存在する。ストックオプションは上場後半年程度で行使可能となるので、潜在株式として認識する。以上から、上場時点での想定発行済み株式数は、29,086千株とした。

【表2 ストックオプションの未行使残高の状況】
総会決議 対象株数 行使価格 行使期間
04年6月  1,186千株  150円  06年7月〜11年6月

 目論見書での想定発行価格は650円とされており、この価格に基づく公募による当社手取り概算額は約1,805百万円とされている。資金使途は、弥富バンニングセンター土地代金の未払い額に約283百万円を充当し、残額は第三者割り当て増資の手取り概算額約542百万円と共に、借入金の返済に充当する予定。

 既存大株主である太平洋セメントには180日間のロックアップがかけられている。ただし、発行価格の2倍以上での売却は可能となっている。太平洋セメントの保有株は売り出し分を含めて18,700千株で、公募前・ストックオプション行使前ベースでの保有株数は74.3%となっている。上場後もシェアとしては2/3は残しておくと考えられるので、ロックアップが解除された場合には、5%程度は親会社からの売却が発生する可能性はあるとみる。

情報開示の状況
投資家向けページは無いが、財務データは掲載済み
 当社ウエブサイトには、1月27日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。「サイトからのお知らせ」での最新の更新は05年9月で、以降は更新されていない様子であり、ウエブサイトに対しては余り力を入れていない印象を受ける。

 ただ、サイトでは投資家向けとは銘打っていないものの、マネジメントメッセージ・決算広告・財務ハイライトは掲載されている。折角掲載しているのだから、集約して投資家向けのアピールに使わないと、もったいない。


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