エヌ・デーソフトウエアIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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エヌ・デーソフトウエア(3794 JASDAQ)

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セクター:情報通信業
06.3期は特需による好業績が期待できるが、次期以降の成長性が課題
 05.9中間期は介護保険制度改正に伴う需要増加によって、業績は向上している模様。06.3通期でも売上高で前期を大きく上回る可能性がある。また、05.9中間期では利益率が大きく改善されていることが目につく。この傾向が期末まで維持されれば、通期業績は前期を大きく上回ることが想定される。

 当期経常利益を安全サイドに見積もって10億円、当期利益を6億円と想定するとEPSは約380円となり、上限4,000円とされている想定公募価格は、PER10倍程度で、割安感はある。ただし、制度改正関連の特需効果による06.3期のみの業績向上となる可能性がある。永続的なEPSを200円まで引き下げて考えれば、公募価格のディスカウントは2・3割程度、初値ではPER25倍の5,000円程度が安全な水準と考える。


事業概要
介護事業者支援パッケージソフトウェアの開発・販売
 当社グループは、当社エヌ・デーソフトウエアと子会社日本ケアコミュニケーションズ1社から構成されており、ソフトウエア事業、介護サービス事業、ASP事業を行っている。

 ソフトウエア事業はエヌ・デーソフトウエアの主たる業務であり、介護保険の支援事業者、医療機関・福祉施設等サービス事業者向けのトータルパッケージ業務ソフトウエアの開発・販売を行っている。

 介護サービス事業は、「ほのぼのケアサービス」の名称で、ソフトウエア事業のパイロットユーザーとして、介護保険の要介護者支援事業・介護サービス事業を行っている。

 ASP事業では、子会社が介護保険の支援事業者・医療機関・福祉施設等向けに、インターネットによる介護報酬の電子請求サービスを行っている。ソフトウエア事業との違いは、ユーザーがソフトウエアを購入せずに当社グループが設置したサーバー内のソフトウエアを使用してデータ入力・報酬請求をすることで安価に利用できる点、ターゲットとするユーザー層が比較的小規模の事業者となる点の2点となっている。

 なお、当社は日東電工のグループ会社として事業をスタートさせているが、現在の資本構成上は日東電工の影響は無い。

収支の状況
介護保険制度改正に伴い、今期業績は向上か
 05.3期は、新しい介護保険制度の施行が改正の1年後になったことや、障害者も制度対象に拡大する政府案が先送りされたこと等によって、上期にはユーザーの購買意欲の低下が見られた。しかし、年度後半には介護保険施行時の導入ユーザーがリース期間満了となってきたことや、今回の制度改正への対応などを要因として、市場は再活性化した模様。こうした流れに乗った形で、ソフトウエア事業の売上高は対前期比+22.5%の増加となった。介護サービス事業では、大口利用者の介護保険施設への移動等に伴う在宅介護サービスの利用停止があったことで、売上高は対前期比-2.3%の減少となった。(表1)

 05.9中間期には、05年10月に介護保険制度が一部改正されたことから、制度改正への対応を背景として、業績は順調に推移している模様。また、06年4月には大幅な介護保険制度の改正が予定されていることから、06.3下期にも、上期同様に制度改正対応の需要が発生することが予想される。

 当社ユーザーである福祉施設等では3月期決算のケースが多いことや、施設の補助金の申請が12月〜2月に偏重していること等から、特に利益ベースでは上期と下期のバランスに偏りが発生している。表2のように年間経常利益の約7〜8割が下期に集中している状況にある。今後もこうした傾向が継続すると考えられる。

 これに従って、06.3期も従来通りの上下バランスになると想定した場合、上期の経常利益約4億円に対して、通期では20億円の想定となる。しかし、売上高が半期で約15億円の進捗となっており、こちらを上下バランスを考慮して通期で35億円と見込めば、売上高経常利益率では約60%となり異常値となる。

 売上高を同じく35億円と想定し、売上高経常利益率を過年度実績から10〜15%のレンジと想定すれば、今期の予想経常利益は、4〜5億円程度となってしまい、上期での進捗率が高すぎることになる。双方の妥協案として、売上高40億円、経常利益10億円、売上高経常利益率25%と想定する。


株式の状況
S/Oの行使は先だが、VC保有分による需給悪化の可能性あり
 当社は05年8月に1:5の株式分割を実施し、06年1月時点の発行済み株式数は1,342,500株であり、上場にあたっての公募が250,000株予定されているほか、ストックオプションの未行使残高として下表のように105,400株存在する。ストックオプションに関しては行使可能期間が相当先になっているので、潜在株式には算入しない。以上から、上場時点の想定発行済み株式数は、1,592,500株とした。

【表3 ストックオプションの未行使残高の状況】
総会決議 対象株数 行使価格 行使期間
05年3月  105,400株  1,000円 07年3月〜15年3月

 売り出しにかかる株式181,500株の内訳は、会社関係者保有分が120,000株、それ以外の61,500株はベンチャーキャピタル保有分となっている。ベンチャーキャピタルの総保有株式数は株主名簿では205,000株が確認出来た。ロックアップがかかっていないので、ここから売り出し対象を除いた143,500株も上場後に市中放出される可能性がある。取引単位が100株なので、公募で2,500単元、売り出しで1,815単元、VC保有分で1,435単元の計5,750単元が上場後に流通する可能性がある。

 目論見書での想定公募価格帯は3,500円〜4,000円でこれの平均価格3,750円に基づく、公募による当社手取り概算額は約855百万円とされている。資金使途は、社債償還に100百万円、長期借入金返済に78百万円、研究開発費に59百万円を充当し、残額は主として来期以降の研究開発費に充当する予定。

 有利子負債残高は05.3末時点で約320百万円であり、総資産が約20億円であることを考えると、元々有利子負債への依存度は高いわけではない。公募資金によって元々少ない有利子負債を約150百万円水準まで圧縮することを計画していることになり、これだけでは資本政策に納得感がない。また、公募資金の使途の大半が翌期以降の研究開発費として扱われており、この部分でも資金使途がやや曖昧な印象を受ける。

情報開示の状況
平均的な開示水準であり、悪くはない
 当社ウエブサイトには、既に投資家向け情報開示のページが設置されている。現在掲載されているコンテンツは、マネジメント・ハイライトと、財務ハイライト程度。上場関連のニュースリリースが掲載されれば、上場前段階としては十分と思われる。

 ただ、同時期に上場が予定されているラストリゾートと比較すると、ラストリゾートの開示水準が高いため、平均水準である当社サイトに関しては、注力が不十分な印象を受けてしまう。


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