8939大和システムIPO=新規公開株式の上場目論見書に基づいた、銘柄・企業分析、初値予想・適正株価水準の想定
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大和システム(8939 東証二部)IPO

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セクター:不動産業
成長性は高くないが、業績は安定。大和ハウス保有株と減損、新規事業にリスク
 減損損失の計上等の特別損失が04.3期になかったとすると、同期の当期利益は12億円程度であったと想定される。これはEPSでは130円に相当する。不動産販売事業は年度末の売上計上が比較的大きいことを考慮すると、05.3期もこれとほぼ同水準となると想定される。スーパー銭湯という成長事業分野を持つが、不動産ビジネスには高成長は望めないため、大和ハウス並みのPER17倍が妥当とすると、株価水準は2,200円となる。

事業概要
建物建築と、マンション分譲・スーパー銭湯の3事業分野に展開
 当社グループは、当社及び子会社一社(やまとの湯)により構成され、商業用建物・産業用建物・福祉施設・賃貸用建物の建築請負事業のほか、マンションの分譲・温浴施設の経営を主たる業務としている。

 事業セグメントでは、一般建築事業・マンション事業・スーパー銭湯事業・その他事業に分類される。スーパー銭湯事業では、04年3月末時点で16店舗、04年9月末時点で17店舗、上場のための有価証券報告書発行時点では18店舗に増加している。その他事業は、不動産の売買・仲介・賃貸等を行っている。

 セグメント別に事業の状況を見てみると、一般建築・マンション販売については年度によってややばらつきがあるものの、ほぼ安定的に売上・利益を計上している。特にマンション建設・販売については、利益率が年次を追って着実に向上している点が注目される。スーパー銭湯は最も利益率が高く、また売上高増加率も高い事業分野であり、今後も一定の成長が見込まれる。(表1)

スーパー銭湯事業での地区別店舗展開では、関東・近畿に重点的に展開している。(表2)

収支の状況
本業の進捗には特に問題なし。05.3期下期以降の減損計上にリスク
 事業特性上、固定資産・有利子負債が比較的大きくなり、株主資本比率が低く出る構造である。株主資本比率は20%台と低いものの、ROAでは8%と十分な水準であり、保有資産は大きいものの上手く資産活用をすることで、高い収益性を維持している。

 当社の減損認識は、スーパー銭湯事業は店舗別に、それ以外の事業は不動産等の物件単位でのグルーピングとしている。04年3月期には、賃料水準の低下を受け、名古屋市内の賃貸用立体駐車場設備について合計約360万円の減損損失を計上している。04.3期は、上記の減損会計の適用の影響によって、経常利益と比較した当期利益は低く抑えられている。05.3期以降にどの程度の減損計上があるのかは不明だが、賃料低下は名古屋だけで発生しているとは考えにくいため、継続して減損での特別損失が計上される可能性は高い。

 退職給付費用関連では、過年度の数理計算上の差異と退職給付債務の基礎となる割引率を3.5%から2.5%に変更したことに伴う数理計算上の差異、合計約1,781百万円を03.3期に特別損失に計上した。(この他に営業費用として113百万円を同期に処理。)これらの費用処理によって、03.3期には当期純損失となっているが、一時的な費用計上である。むしろ期待収益率も3.5%から0%へと引き下げられる等、安全サイドにたった退職給付債務へと改善されている点が評価できる。

 BSでは、負債・資本構成比率として重大な問題となるには至っていないものの、事業拡大に伴う有利子負債残高の増加は顕著である。特に04年9月中間期には、同3月期末からの6ヶ月間で、短期借入金が50億円増加した結果、残高全体では100億円を突破する水準まで積み上がっている。(表3)

新規事業展開〜場外馬券・車券販売施設の賃貸業に進出
 その他セグメント内の事業として、当社グループでは場外馬券・車券販売施設への進出を実施・計画している。福山市営競馬の場外馬券・車券販売施設(島根県雲南市)の賃貸事業は既に05年3月期内に事業を開始済みである。この施設賃貸事業の収益は大部分が馬券発売額に連動している。

 更に当社グループは04年4月までに大阪市中央区に951百万円で土地を取得、今後岸和田競輪日本橋場外車券場として岸和田市に賃貸する計画である。これについても賃貸料収入は車券発売額に連動する構造となっている。また、本車券場設立については05年2月時点で地元合意がなされていない状態であり、将来投資に見合う収益が計上されるかは不明である。地元合意が得られなかった場合には、減損認識が必要となる可能性もある。

大和ハウス工業鰍ニの関係〜大和ハウス保有株式には市場放出の懸念あり
 当社は04年3月期には大和ハウス工業鰍フ関連会社だが、一般建築事業やマンション事業について、当社と大和ハウスグループとの競合関係が生じてきたこと等によって、今回の上場を機に同社の関連会社をはずれ、独立した企業となる方針である。大和ハウスは当社の20%・1,530千株の株式を保有する筆頭株主だが、この大和ハウス持分については、上場にあたっての売出し予定分が300千株だけとなっている。残り約1,200千株については、上場後に市場売却される可能性があり、上場後の重大な需給圧迫要因となることが懸念される。

株式の状況
ストックオプション等による希薄化要素はない
 当社の現在の発行済み株式数は、7,661千株であり、これに上場にあたっての公募分1,200千株と第三者割当増資で計画されているオーバーアロットメント300千株を考慮して、上場時点での発行済み株式数は、9,161千株と想定した。ストックオプション等による希薄化要素はない。

情報開示の状況
全く開示情報がない
 当社のHPには、05年3月2日時点で投資家向け情報開示のページは設置されていない。決算情報や上場関連書類等も開示されておらず、開示状況はまだまだ不十分と言える。


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